2010/11/29

Post #13 The Working Class Hero


Hong Kong

う~む、出張中に拾ってきた風邪がこじれてるぜ。
なんせ昨日は仲間を集めて、北風が吹きすさぶ中、ひと仕事してきたからな。しかも、高校時代の数少ない友人に連絡を取って、夜一緒に飯なんか食ってたもんだからなおさらだ。仕方ないぜ、昨日の星占いには『古い友人に連絡を取ってみて、懐かしい話で盛り上がり、楽しい時間を過ごせるかも』ってあったからな。
奴とは中学高校と一緒だった。人生で最も多感な時期だ。今日の俺の基礎が形成されたのはそのころだ。こう見えても、俺は私立の中高一貫進学校に通っていたんだが、一体俺はどこで道を間違えたのか?(本当はあそこと、ここだってわかっちゃいるけれどね。後悔すれども反省せずだぜ)
奴は某一流企業の課長だし、俺はしがないワーキングクラスなのさ。けれど、こうして会えば、肩書なんて関係ない。二人とも群れるのが嫌いで、周囲から浮いていた者同士、真っ暗な夜道を自転車をこぎながら、好きな女の話や、将来のことを語り合ったあの頃に戻ることができるのさ。
こんな俺だから、古い友達はみんな縁が切れてしまった。確かに、近所の医者に行けば、その学校で同級生だった奴が、2代目でセンセーをやっている。実際に、痛風の発作が起きたとき、写真家のロバート・メイプルソープか、時計仕掛けのオレンジのアレックスみたいな髑髏の杖をつきながら、足をひきづって行く病院の院長は、そんな奴の一人だ。(この杖は、金属でできた髑髏が握りについているもので、殺傷力、破壊力抜群だ。だから、痛風で苦しんでいても、みんな気遣ってもくれないのさ。)
しかしですよ、面識があるだけじゃ友達なんて言えないだろ。
お互いの心の中の秘密を知ってって、自分の中の、年を食ってもヒワヒワと柔らかな部分に響くものを持ってないと本当の友達だなんて言えないさ。少なくとも俺にとってはね。だから、風邪をひいていても、楽しく過ごさせてもらったぜ。
俺は、このブログを通じて、一見強面で、警察にはプッシャーなんかと間違えられて、しばしば職質されるような俺の中の、そんなナイーブなところを、さらけ出していきたいと思っているんだがね。
どうだろう?俺は君たちにだけはオープンでいたいのさ。

楽しいひと時の後には、いつもキビしい現実が待っている。今回もそうだった。見事に風邪をこじらせた俺は、今日は家から出ることもできず、冷えピタなんかを額に貼ってこれを書いている。洟のかみ過ぎで、鼻の下も痛い。こんな姿はなかなか人前にはさらせないぜ。

そんな状況の中、これまた別の古い友人に電話をしてみた。この人は俺の音楽の師匠だ。
まだ、モヒカン刈りだったあの頃、パンクロックに飽き足りなくなって、パンク以前のロックを聴き始めたころ知り合った、8歳ほど年上の方だ。いろんな音楽をその人から教わった。その人との出会いがなければ、今日の俺はないだろう。いまだにモヒカンで、いい年こいてティッシュを配っているかもしれない。それも人生だ、ロックンロールだとも思うが、いささか情けないしな。
つまり、感謝してもしたりない大恩人だ。
あいにく師匠はお留守だったんだが、師匠の奥さんと話をしていたんだ。話は師匠の息子のことに及んだ。師匠の息子のK之介は、高校に進学せず、いつも仲間たちと昼間っからスケボーばかりやっている少年だ。まだ、生まれたばかりのころを知っている。電池で動く恐竜のおもちゃをあげて、不思議そうに喜んでいた姿は、今でもしっかり覚えているさ。
俺は自分で仕事を始めたばかりのころ、K之介やそのスケボー仲間のRay也なんかをアルバイトで雇って連れて行ったことが何度かあった。どうやら俺は彼らがイメージする大人とはズイブン違っていたようで、日頃、大人たちに対して反抗的な少年たちが、妙にかしこまって俺の言うとおりに一生懸命に働いてくれるのが、何とも言えずに可愛かった。
彼らを連れて行くと、取引先の人から『SPARKSさんの息子さんですか?』とよく訊かれたもんだ。俺は、身持ちの悪い自分が、もし世間様並みに子供をもうけていたのなら、もうこれくらいの生意気盛りの息子がいてもおかしくないような年齢になってしまったことに気が付いて、『いえ、息子って訳じゃないんですけど・・・、そんな様なものです』といつも少し照れくさそうに答えたもんだっけ。仕事はともかく、若いうちに金をためて海外に行ってみるといいとか、彼女とヤルときは、ちゃんと避妊しろとか、同じ目線で語り合った。ロックンロールな大人もありだって俺は教えたかったのさ。そんな彼らが俺の師匠に『SPARKSさんは、俺らとおんなじガキがそのまま大人になったみたいな人だ』って語っていたのをきいて、ますます好きになった。
そんな風に何回か仕事を手伝ってもらったあと、K之介は母親の働いている会社でアルバイトを始めた。真面目に続くか心配していたら、職場のおっさんおばさんたちに可愛がられて働いているって聞いて、安心した。ポルトガル人とのハーフの彼女がいるんだといっていたRay也はどうしているだろうと思っていたら、水道工事屋で働き始めたそうだ。
奥さんが言うには『SPARKS君の仕事をしてから、なんか変わったみたい』だって。うれしいじゃないか。元気が出てくるぜ!



Barcelona
俺は別段、金持ちになんかなりたいわけじゃない。セレブだぁ?そんなのただの成金だろ?いくら金があったって、心の中にロックンロールがなってないような大人にはなりたくないと思っていたのさ。
そう、俺がなりたかったのはワーキング・クラス・ヒーローなんだ。
ワーキング・クラス、つまり労働者階級の英雄だ。
史上、その栄えある称号を与えられた人は俺の知るところでは、2人。たったの2人だ。それはジョン・レノンとポール・ウェラーだ。
ワーキング・クラス・ヒーローは、富や名声で勝負したりしない。看板で商売したりはしないのさ。二本の足で自分の信じた道を踏みしめ、二本の手で自分の仕事をきっちりこなすのさ。まさに腕が二本、足が二本で資本充実してるのさ。
自分の自由を貫くためには、自分の責任をきっちり果たすことが必要だと知っている。しかも決して自分の功績を誇ったりしないし。自分より若い連中にも、偉ぶったりしない。その反面、自分より年を取っていたり社会的な地位があるものでも、筋が通らなければ、敢然と戦いを挑む。
年長者からは安心され、仲間からは信頼され、若いKIDSたちはあんな大人になってみたいと憧れる。そんな漢になりたいとずっと思っているのさ。
そんなヒーローには程遠い俺だが、若い奴らが俺と接したことで何かが変わってくれたのなら、男としてこんなに幸せなことはないぜ。あんな大人がいるのなら、大人になるのはうんざりするようなことじゃないんだ、素敵なことなんだって思ってくれたなら、サイコーだろう?
君はどうだい?若い奴らからリスペクトされるような、カッコいい大人になろうじゃないか。
俺は今日、師匠の奥さんの話を聞いて、目からうろこが落ちたぜ。そうだ、俺は挫けるわけにいかないんだって。日々の稼ぎに汲々として、心が小さくなってなかったか?心にブルースがあったって、ダハハッって笑って、乗り越えていくような男でいたかったんじゃないのかい?それでも心にロックンロールがなっているって、胸を張って言えるのかい?

『ぼくはでてゆく
無数の敵のどまん中に
ぼくは疲れてゐる
がぼくの瞋りは無尽蔵だ

ぼくの孤独はほとんど極限に耐えられる
ぼくの肉体はほとんど苛酷に耐えられる
ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる
もたれあふことをきらつた反抗がたふれる』(吉本隆明 ちひさな群れへの挨拶)

俺はスパークス、つまり閃光なんだぜ!真っ暗なこの不景気に負けてたまるかよ。俺の後に続く若い世代に、KIDSたちに、俺が踏んで拓いた道を見せてやりたいんじゃなかったのかい?
OK、俺が悪かった。心が弱ってた。不健全な精神は肉体も不健全にするのさ。いつまでも風邪ひいているわけにはいかないぜ。
明日も、ロックンロールを胸に、無数の敵のど真ん中へ、男一匹出てゆこう。

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