2011/01/06

Post #49 Transgender #2

う〜ん、ヤバい。またしても窮地に陥ってしまったぜ。今日は税務署に行って、納税の手続きについてソーダンしてきたんだ。で、家に帰って損益計算書と貸借対照表を作っていたんだが 、貸借対照表が合わないのだ。知っての通り貸借対照表は貸方と借方、双方の金額がぴったり合わないといけないんだが…、これが合わないんだな。う〜ん、もう今日はヤメだ。明日だ、明日。明日は帳簿を全部チェックしてみよう。

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今日はひとつ、トランスジェンダーの方にまつわる思い出ばなしをしよう。例によって写真には何にもカンケーない話だ。
今から20年近く前、名古屋の栄の地下街を歩いていた時の事だ。当時の俺は、今みたいにもじゃもじゃしてなかったし、スーツも来ていた。いわゆる好青年ってやつを演じていたんだ。仕方ない、前も言ったように、宗教関係の仕事だったからな。
すると、一人の和風を着たご婦人が道に迷っているのを見つけたんだ。名古屋は昔から地下街が発達しているといわれる。このために名古屋の地下街は複雑だと思われるかもしれないが、実は意外と単純で、規模もさほどではないんだ。俺からしたら大坂や東京のほうが、はるかに複雑で規模もでかい。しかし、どんなところでも道に迷う奴は迷うもんだ。とりわけ女はよく迷うんだ。
悪くいえばお人好しでお節介、よく言えば親切で善良な青年だった俺は、その明らかに迷っている風情のその和装のご婦人に、よせばいいのに声をかけた。『どちらに行かれますか?』ってね。その声に振り向いたご婦人の顔には、安堵の色とともに、フレディー・マーキュリーみたいな口髭が張り付いていたぜ!なんてこった!
さすがの俺も、こんときは引いた。ドン引きだ。声をかけて失敗したと思った。だって、女装しかも和服にヒゲだぜ?どっちかにしろよ。しっかりファンデーション塗って、化粧までしてるのにヒゲはないだろ、ヒゲは!あんたはマカロニほうれん荘のきんどーちゃんかよ?それとも、そりゃなんかの罰ゲームかよ!
しかし、人を外見で差別しちゃいけないんだ、差別する奴はいつか自分が差別されても、それを受け入れるしかないからな。
俺は平気のへーざだぜって顔で、『迷っておいでなら、ご案内しましょうか』なんてかましたんだ。すると、ヒゲオバサン、これまた嬉しそうな顔で言うんだよ『あたし、地下鉄の改札がわかんなくなっちゃって…、よかったら教えてくださる?』ってね。俺はとっさに『改札でしたら、僕も今からそちらの方にまいりますから、一緒にお連れしましょう』って言ってしまったんだな。
そしたらヒゲオバサン、にっこり笑って、ありがとうって腰をくねくねさせながらお礼を言うんだよ。マンガだったら、絶対にハートマークが、おばさんの廻りに描かれていただろう。まいったなぁ、まったく…。

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そんなこんなで俺は、ヒゲのオバサンを連れて歩きだした。オバサン、なんだか嬉しそうだぜ。で、歩きながら俺に言うのさ『あんた、イイ男ねぇ』ってね。俺は焦ったぜ。今夜付き合わないかって言われたら、問答無用で、ダッシュしてたろう。写真でお届けしてるような方なら、お付き合いしてもイイかもしれないが、ヒゲオバサンじゃねぇ。これは差別とは言わないよな?
ヒゲオバサンのトークは続く。『名古屋の地下街って、広くて込み入ってるでしょ、だからアタシ、分かんなくなっちゃって、困ってたのよ、助かるわ〜。ところでアナタ、お化粧してんの?』 化粧?なんのこっちゃ?『いえ、してないですけど』『あらあら、そうなの?アナタの目、アイラインひいてるのかと思ったのよ』 俺は色が黒い。だから、目の回りの粘膜というか、目の輪郭部分の色素が一段濃くなっていて、見ようによってはそうも見えなくもない。ヤバい、このオバサン、俺の事を同類と思ってないよな?俺は必死に、しかし気にもしてないって口振りで、『あぁ、そりゃ生まれつきなんです』って言うのがやっとだったぜ。
『本当にイイ男ねぇ』なんてダメ押しされた頃、改札が見えてきた。やった!『ほら、あの階段を昇ってすぐ右が改札ですよ』そしたらオバサン『あらあら、ホントにありがとう。またどこかで会いましょう』だって。オバサン、切符を買って改札に消えていったぜ。Thanks God! こうして俺はなんとかピンチをまぬがれたぜ。
今の俺ならもっと余裕で状況を楽しめたんだろうが、いかんせんハタチそこそこのボーヤじゃ、無理だろ。しかし、こうしてみると、俺は昔からホモとかの人に好かれるんだなぁ。俺は若い女の子に好かれたいんだがね。なかなか人生、そうも行かないぜ。
まぁ、それが人生さ、ロックンロールさ。

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