2011/08/29

Post #289 Photographica #10

本日8月29日は仕事がWヘッダーだ。たまらん。毎度まいどこんなことをしてちゃ、早死にしてしまいそうな勢いだ。おそらく時間の問題だろう、諸君、まだ生きてるけど、香典はいつでも受け付けてるぜ。俺が死んだと思って、諸君の温かなお志を包んで送ってくれるのは、一向に苦にならないぜ。ダッハッハ!
さて、昨日は名古屋市美術館にレンブラントを見に行き、夕方からはボリショイサーカスなんか行って、熊の曲芸なんか見て、それがし、大いに感銘を深めていたんだが、そのついでに駅前のT島屋百貨店に入っている投球HANDSを覗いてきたんだ。そこの『男の書斎』コーナーは、男の物欲を刺激する素敵な商品が(もちろん女性の立場から見てらガラクタという訳ではない。)てんこ盛りで、俺はそこでしばしば買い物をするんだ。昨日の場合は金は無いけどね、市場調査ですよ。
そこで、中古カメラが売っていた。俺の目に留まったのはコンタックスⅠ型と、FujiのTX-1かな。TX-1は持ってるんですけどね。目には留まりますよね。グリップがオプション品がついてましたんで、余計にね。
まぁ、今更クラッシックなカメラを新規導入するのも物入りなんで、心の物欲に火がつかないように、ネコが物陰に隠れるようにすぅーと歩み去って行こうとしたら、名古屋の老舗カメラ店、今池の松屋の社長さんに呼び止められてしまった。長身、総白髪の上品な紳士なんだな、松屋の社長さんは。男の書斎にぴったりだ。お金もありそうだし。そういえば、ここに並んでいるカメラは松屋さんの出品だった。俺もかつては松屋さんで、コンタックスⅢaやスーパーイコンタなんかを買ったりしたもんだ。もっとも、最近はとんとご無沙汰だけどね。
この社長、単にカメラを売るだけじゃなくて、海外旅行もお好きで、ご自分で写真を撮るのもプロ裸足というすんばらしいカメラ屋さんなんだ。実際、そこにかけてあった写真は、ノルマンディーとかヴェニスとかで社長が自ら撮影したモノクロ写真だった。羨ましい限りだ。
で、海外の撮影旅行についてちょこちょことお話しさせて頂いているうちに、お店に俺の写真を8枚ピックアップして展示しようという話になった。今はコスプレ写真が展示されていて、その次は風景写真の人が決まっているそうなんで、その次ということだ。
面白い。受けて立つぜ。一挙に地元名古屋でファン拡大を狙おうか?ドラゴンズかスパークスってのも夢じゃないぜ。いや、そりゃいくらなんでも調子のり過ぎだな。
しかし、8枚か。セレクトが難しいな。読者諸君が気に入っている写真があったら、コメントしてくれ。参考にさせて頂きたいぜ。

閑話休題。
そして、昨日はボリショイサーカスに行く前に、これまた行きつけのNADIFF愛知で、天才アラーキーの写真集『楽園』(2011年Rat Hole Gallery刊)を購入したぜ。限定500部、定価1260円税込だ。財布にもお優しい金額だ。ココは限定ものとかが必ず入荷してるんで、要チェックなお店だ。
荒木経惟 『楽園』 Rat Hole Gallery刊
アラーキーこと荒木経惟は、森山大道と並んで好きな写真家だ。緊縛とかヌードとか猥雑な写真も好きだが、俺が一番好きなのは、大昔の写真集『東京は秋』だ。電通を辞めた荒木氏が、東京アッジェを気取って毎日4×5のカメラを担いで東京を撮影し、その写真を今は亡き荒木氏の愛妻・陽子さんとともに、ああでもないこうでもないと一枚づづ語っていくという、素敵な写真集だ。『センチメンタルな旅・冬の旅』がその次だな。
それはさておき、この写真集。表紙、裏表紙含めてたったの21枚のカラー写真からなっている、多作饒舌なアラーキーにしては寡黙な印象を与える写真集だ。
そのほとんどすべてが、荒木氏の自宅の屋上、氏の写真にたびたび登場するあの屋上か、もしくはスタジオで撮影されている。楽園に見立てられた屋上に、あたかも生き物のように配されたゴジラや恐竜のフィギア。色鮮やかな花に這い回る、ビニールの恐竜。少女の人形の頭にかじりつくトカゲのような人形。
生々しくも静謐な写真が並んでいる。
俺は、最晩年のメープルソープを思い出した。メープルソープも、AIDSに冒された最晩年、花やギリシャローマの彫刻のレプリカを撮影していた。スタジオから動くことが出来なくなったからだ。そんな不吉なことを想ったのにも訳がある。アラーキーは近年、前立腺癌を患っている。東京ゼンリツセンガン、東京ホーシャセンなど、そんな自分を戯作する様なタイトルの写真集が発汗sれ他のも記憶に新しい。愛妻陽子さんの死後18年の長きにわたってアラーキーの内面を支えてきた愛猫チロも死んだ。そして、去年NHKの番組で見たアラーキーは、今まで見たことのないくらい気弱になっているように見えた。もちろん、そんなことにお構いなく、相も変わらず多作な荒木氏ではあるが、どうも自分のキャリアで埋もれていたものを、近年発掘するような写真集も見受けられるしなぁ。
そして、この写真集だ。
写真集としては、小さいながらも、とても美しく、素晴らしい出来だ。しかし、どこか死後の世界すら連想させる『楽園』というタイトル。そして、写真の中に漲る不吉な予感。
荒木経惟ほどのエネルギーと世界に通用する作風、そして何より清濁併せ飲む強烈な個性を持った写真家は、残念ながら今の日本には彼をおいて他にいない。アラーキーは俺のオヤジと同じ年だが、俺のオヤジは近年新しい彼女を作って頑張っているんだ。アラーキーにも、まだまだしばらく眼べってもらいたいと、心から祈ってる俺だ。
荒木さん、しっかり病気治して、エロスとタナトスが写真から放射するあなたの写真集を、これからも末永く量産し続けてください。
読者諸君、失礼させて頂くぜ。俺はアラーキーが大好きなのさ。君はどうだい?

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