2011/09/30

Post #321 つまらねぇ、写真なんてもうやってられないぜ!

仕事で来ている池袋、俺は朝の朝の6時くらいまで働いて、宿に帰って眠りについたのは、もう8時過ぎだったろうか?11時には目を覚まし、シャワーを浴びて外に出た。掃除をするので出て欲しいってことだ。ゆっくり眠らせておいてくれってカンジだが、仕方ない。
星占いでは、俺の山羊座は12位と運気は低迷していた。気にもしなかったが、もう少し気にしておくべきだった。俺は眠たく、かつ疲労した体を引きずりながら、街を歩き回った。もちろん愛用のコンタックスT3がお供だ。見も知らぬ大勢の人々が行きかう。誰もかれも疲れているようにも見えるし、不機嫌そうにも見える。悲しくなってくるぜ。俺は気楽にいつものように、ノーファインダーで行きかう人々をパチリパチリとやっていたんだ。それくらいしか俺には楽しみなんかないからね。

そろそろ掃除も終わった頃だ。宿にかえってひと眠りさ、なんて思って歩いていると、向こうからオマワリが二人してやってきやがった。面倒だな。しかも俺に声を掛けてきた。職務質問だ。
俺は、東京で歩いていると、必ず職務質問に会う。
か・な・ら・ず・だ。ふざけやがって!
どうして奴らは俺を狙ってる?
俺はオマワリから見ると、そんなに怪しいのか?
地元じゃ、俺は町の人気者なのに。どうなってやがるんだ、この東京って街は。

俺はもう怒る気もなく、財布から免許証から、タバコからパイプやライターまで、全部奴らに見せてやったぜ。こういう時は明るく、協力的にやり過ごすのが一番だ。内心では煮えくり返っていても、食って掛かれば奴らの思うつぼだ。表面上にこやかに、きわどいゲームのように話を進めていくのがポイントだ。

オマワリが俺の免許証を一応照会させてもらうと言ったまま、なかなか電話が終わらない。嫌な雰囲気だ。俺の犯罪歴は、去年の夏のスピード違反くらいしかないはずだ。それもとっくに罰金は払ったぜ。俺は何にも悪いことしてないぜ。こう見えても、正義の味方なのさ。

電話を終えたオマワリが俺に告げたのは、俺と思しき人物に写真を撮られたと言って、女性が警察に届けたということだった。やめてくれよ、悪い冗談だろう。
俺はスカートの中を撮ったりするような変態じゃないんだぜ。
肖像権?いつからそんなものが大手を振るようになったんだ?
コンビニやスーパーや百貨店で、俺達は嫌になるほど撮影され続けてるってのに、それにはみんな文句を言わない。オマワリだってやってるだろう?車のナンバーをチェックするNシステムとかね。
俺達は、いつだって誰かに撮影され続けてるってのに・・。
俺はうんざりした。変な疑いをかけられるのはまっぴらだ。
俺はフィルムをカメラから抜いて、オマワリの目の前で、パトローネからフィルムをすべて引き出して、感光させた。そうするとオマワリは、証拠隠滅だと思ったんだろうか、ますます俺に対してあたりをきつくさせてきやがった。挙句の果てには、現代の技術では、感光させてしまったフィルムでも、再現可能だってこきやがる。そんな訳ないだろう。化学の知識があれば、そんなのは脅しだってわかる。
で、結局どうなったかっていうと、撮られたと主張している女が俺に一言文句を言いたいっていうんで、俺はおまわりに促されるように連れられて行った。
そこにいたのは二十歳くらいの小娘二人で、憎悪に燃えた目で俺をにらみつけていた。
こんな小娘撮ったかどうか、まったく身に覚えはない。女の子を撮るのはしばしばな俺だが、この程度の精度の女、撮る気にもならないしな・・・。正直言って、身に覚えがないんだが、そいつらは、俺をずっとつけていたというんだ。とんだ暇人だ。それとも自意識過剰か。こんな手合いを相手に争っても、時間の無駄だ。俺は早く宿に帰って、眠りたいんだ。
正直に言って、撮ったか撮っていないかは、全く以て覚えがないが、カメラを持っていたのは事実なので、ゴメンなさいと頭を下げて謝ると、『これだけフィルムがあれば、(たった1本ですけどね)私たち以外にも、撮ってんだろう。私等はその人たちを代表して怒ってんだよ!』とぷんすかしている。まいったなぁ。まぁ、読者諸君はよく御存じのとおり、そりゃいつも撮ってますけどね。
けど、それは俺に言わせれば、マグロに泳ぐな、鳥に空を飛ぶなというようなもんだわさ。反省してないのかと突っ込まれると、困るが、読者諸君には言っておこう。
いやぁ、まいったなぁ~。
警察に促されて深々と頭を下げて謝る俺に、奴らは『東京から出てけ!』とか、『訴えて金とってやろうか!』とか、『誠意を見せるためにカメラを壊せ』とか、『謝り方が気に入らない』とかさんざん罵声を浴びせてくれたぜ。ありがとよ。いいケーケンだぜ。
俺が頭を下げ続けている間に、女たちはぷんすかしながら行っちまった。俺はおまわりに何度も促されて始めた頭をあげ、その場にドカリと座り込んだ。
オマワリが言うには、こういうのは痴漢と同じで、やった覚えがなくても、女性がやったといえば、やったことにされてしまうので気を付けたほうがいいということだ。冗談じゃないぜ。そして、こういう繁華街ではカメラを持って歩かないように、約束してくださいとまで言われちまったわな。やってられないぜ。俺の喉はカラカラだ。俺はオマワリに一言言ってすぐそばの自販機で水を買って飲んだ。さすが、星占いってのはあたるもんだ。こんなところに来て、こんな目に遭うなんて、思ってもみなかったぜ。大人しくホテルでアダルト放送でも見とけってことかよ?泣けてくるぜ。
俺には解かった。どうしてどいつもこいつも、公園のブランコだとか、花だとか、風呂屋の書き割りみたいな風景だとか、自分の身の回りの私的なモノゴトを撮るのかってことが。俺のような写真は、なかなか撮れないってどいつもこいつも言うのか、はっきりと解かった。了解した。
俺のような写真を撮っている限り、社会との軋轢は避けられない。
誰だって、面倒なことはゴメンだろう。けど、そんな俺からすると人畜無害な写真を撮ってるくらいなら、写真なんてきっぱりやめてしまいたい。俺はもっと生々しくて、人間の生の姿が写っているような写真を撮りたいってのに。こんなことでいちいち裁判沙汰だって脅かされていたら、やってられないぜ。
いっそ、きっぱりやめるか。そうなりゃ当然、このブログもおしまいだ。
権力と、権力によって肖像権とかいうまやかしを吹き込まれ、映像の体制独占に知らず知らずに片棒担いでるような奴らがいっぱいな世の中だ。やってられないぜ。バカバカしい。生存権とか、労働権とかはいくらでもないがしろにされているのに、この肖像権というのはお上の腹も痛まないので、大いにもてはやされている。
聞けば、防犯カメラとかの映像には、肖像権は無いんだということだ。おかしくないか、それ。
ゆっくり考えてみよう。本当にバカバカしくなってきた。後悔すれども反省せずがモットーの俺だが、こんなくだらないことで犯罪者扱いされちまったら鬱陶しくてかなわないぜ。
写真よさようならだ!
以前にも書いたことがあるが、写真ってのは、どこか後ろめたく、反社会的な営みだってことが、骨身にしみるぜ。俺は基本、今日までずっと、反権力でやってきた。今、やっと見つけた自分の生きがいで、犯罪者扱いされ、権力からやんわりと警告されている。
俺が俺であるために、これは欠かせないものであるのだが、そんなことを警察官や、場合によっては裁判官にいってみたところで、彼らは芸術を、しかも反社会的なにおいのするゲージュツを理解するような回路は持ち合わせていないんだ、残念ながら。
誰か有能な弁護士を探すべきか。いや、奴らは金がかかりすぎる。ソクラテスの弁明のように、自分自身で自分の弁護をすべきなのか。もっともソクラテス自身は、自らの身の潔白を確信しながらも、疑われたことにうんざりしたのか、ドクニンジンを飲んで処刑されたけどねその気持ちも分からなくはないさ。道を歩いているだけで、犯罪者に見られる。俺だって、ドクニンジンでも食いたくなって来るってもんだ。
犯罪者、浮浪人、亡命者、ボヘミアン。俺はそんな風に見えているのか。ゲージュツは犯罪、つまり人間の暗い側面と気脈が通じているからな・・・。喜ぶべきか、悲しむべきか・・・。
どうするべきなのか。俺は、社会との軋轢を覚悟の上で、写真を撮り続けるべきなのか。それとも、大人しく尻尾をまいて、カメラをさっさと売り払い、パチンコでもして暮らすべきなのか?
読者諸君、しばらくゆっくり考えさせてくれ。君たちの意見も聞かせて欲しい。今回ばかりは真剣に聴いているんだ。もちろん、裁判沙汰になったりすることがあった時、俺の弁護人になってくれなんて頼んでいるわけじゃないさ。だから、頼む。俺はうんざりしまくってるんだ。世の中、こんなに写真を撮られることが嫌いな奴が多いなんて。魂を撮られるとか、丑三つ時に写真を使って呪うとかするつもりじゃないんだぜ。それが心配なら、アラブ人みたいにチャドルでもきればいいだろう?そのくせTVの中継の時には、レポーターの後ろで、カメラ目線でピースしたりするような奴がごまんといるってのに。

かつて森山大道の写真集には、こんな素敵なタイトルが付けられていた。
『写真よ さようなら』

4 件のコメント:

  1. なるほど、写真という趣味では不可避なトラブルかもしれませんね。でも、フィルムを感光させてしまったのはミスなんじゃないかな。ちゃんと見せれば誤解も解けたかもしれないのに。
    しかし、まあ今回はとんだ災難でしたねえ。
    そうだ!sparksさんが、写真家としてビッグネームになれば解決するってばよ!応援してるぜ!

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  2. とんだ災難でしたね
    女の子の台詞にビックリです
    いろんな人がいるのでいろんな考えがあるのでしょうか
    それでも肖像権やらで写真を撮る事がそんなに悪いとされるなんて驚きました
    そんなものがまかり通ってしまったら随分つまらない世界になりそうですね
    私だったらたまたまの不運が一気に舞い降りたと思って気にせず撮り続けます〜♪
    (実際同じ目に会ったらかなり凹むとは思いますが 笑)
    sparksさんの写真これからも楽しみにしています

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  3. 親愛なるたけはらさん、コメントありがとう。
    アラーキーのようなビッグネームを目指して、歯をくいしばって頑張るべきだよな。しかし、その道は遥かに遠い。ガンダーラだ。
    そこに辿り着くまでに、どれたけこんな目に遇うんだろう?
    はげまし、ありがとう。

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  4. Aria _ msさん、いつもほんわかとしたコメントありがとう。冷たい世間の仕打ちに炒飯のように痛めつけられた俺には、あなたの励ましがいつも以上に沁みるってもんです。
    まったく、世知辛い世の中になったものです。この世界で最も豊かな国では、人々はイライラして生きているんだと痛感しました。
    カメラを持たずに歩くのは、退屈でツラいものです 。とはいえ、さすがに今回はヘコミました。おっしゃる通り、ずいぶんつまらない世の中になったもんです。ではまた。ありがとう。

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