2011/10/23

Post #344 The Dictator was killed

昨日の夜、うちの連れ合いと電話で話していたら、『あんたが禿げる夢を見た。禿げには気をつけなさいよ』なんて言われてしまった。確かに髪を洗うと、びっくりするほど抜け毛が多い。とりわけ、東京に出張してからより多いような気がする。放射能の影響だろうか?まぁ、ごく一般的な成人男子に比べるとかなり髪が長いんだから、同じ本数抜けても、そのボリュームはかなりのものだ。それに、日常的にはしばっているし、くせ毛で絡まっているから、髪を洗うと一挙に毛が抜けたように感じる。ココは俺もかなり心を砕いているところなのである。正直、ハゲはゴメンだ。
何故、彼女がそんな夢を見たかといえば、リビアのカダフィ大佐が拘束された時の映像をニュースで見たからだそうだ。あのくせ毛が、逃亡生活によってかなり薄くなっていたらしい。そりゃ薄くもなろう。
俺が生まれた年に、クーデターを起こし、リビアの王の如くに振る舞っていた独裁者、人民の兄貴、カダフィはついに死んでしまった。何とも寂しい気がする。世界からアクのあるプレイヤーがまた一人減ってしまったのだ。ちょっぴり残念だ。何故って、俺は結構カダフィのことは気に入っていたんだぜ。
日本から輸入した回転ベッドを愛用していたり、国力の違いをモノともせず、アメリカにくってかかってみたりした。さすがは狂犬と言われた男だ。その挙句NATOに空爆されても、間一髪しぶとく生き延びた。さすが悪役っぽいぜ。フランスに行ったときにはエリゼ宮の庭に、わざわざ巨大なテントを建てて、自分は遊牧の民ベドウィンなのだと誇示してみたりもした。さすが非常識だぜ。アフリカ大陸の国々に団結を呼びかけ、石油でしこたま儲けた金を、惜しげもなくアフリカ諸国にばら撒いて国際的な支持を集めてもいた。さすが成金のオヤジのような気前の良さだ。
自らブルドーザーを運転して、刑務所の壁をぶっ壊してみせては、反政府分子を釈放したりもした。この大向こうを狙った芝居がかったところも素敵だった。かと思えば、著名なシェイクスピア研究家として、世界的に認知されていた。意外とインテリなのだ。
外遊の際には、必ず身辺警護にカダフィガールズと呼ばれる女性兵士を引き連れていたってのも、チープな悪役っぽくて、どこか滑稽なこけおどし感が漂い、何とも憎み切れないアル・アフ、つまり兄貴だった。
もっとも、俺がリビア人だったなら、そんな呑気なことも言っちゃいられないだろうが、俺は長年カダフィ大佐の底抜けに人間臭いエピソードの数々に好感を抱いていたんだ。主義主張の問題じゃなく、あくまで人間としてね。そう、純粋に俺から見ておもしれーオヤジだったってことだ。
古くはナポレオン、そしてヒトラー、ムッソリーニ、スターリンってのもいたな。昔のPUNKバンドじゃないぜ。最近では独裁者の生息地帯は中東・アフリカに移ってフセイン、ムバラク、そしてカダフィ・・・。独裁者の末路は常に悲惨だ。ムッソリーニの死体は裸に剥かれて電柱に吊るされていた。モグラのように隠れていたフセインは、まるでホームレスのようだった。そしてカダフィ。自らが愛用していた黄金のピストルで、頭を撃ち抜かれて死んでしまったのだ。盛者必衰の理を感じるほかない。
Paris/カダフィの落ち目もこのチュニジアの革命から始まった
独裁者、或いは古くは王が殺されるというのは、日本ではあまりピンとこないかもしれないが、世界的に普遍的なことだ。大昔からそうだ。大昔には、白髪が生えた王は殺されることもあった。虫歯が出来ただけでぶっ殺された王様だっていた。国民の前で年に一度全力疾走できなければ、王位を奪われ、殺される王もいた。アルカイックな世界では、王は常に強く若々しくなければならなかったんだ。ロックスターよりも苛酷だ。何故かって?
もし、生命力の衰えた王がいつまでも国土に君臨していたならば、その国では作物は実らず、水は涸れ、さまざまな天変地異が起こると人々に信じれれてきた。だから、身体機能の衰えてきた王は容赦なく人々に追われるように王位を簒奪され、命を奪われたわけだ。そして、若く力強い王が即位することになるんだ。そうすることによって、国土の衰えた生命力を、乱れた自然の調和を取り戻すことができると考えられていたんだ。リビアも豊かな国になれるのだろうか?
俺がまた、冗談を言ってると思っているだろう。そう思っている君はぜひともフレーザーの名著『金枝篇』を読んでみるとイイだろう。これは何年か前のアニメ、エウレカセブンの中で、重要な登場人物の一人ホランドがいつも読んでいた本だ。民族学の歴史的名著だ。上下二巻、殺される王について、偏執狂的にくどすぎるほどの例証をあげて、持論を展開している。これは面白い本なんだけれど、なかなか読破出来ない。
しかし、今回の出張で暇潰しに読んでみようと思って持ってきたんだ。チョイとエウレカセブンのホランドをまねてみたい気もあってね。そうしたら、カダフィが殺害された。仕方ないカダフィもすでに78歳だ。俺が生まれた頃から、ずっと独裁者だったんだ。髪だってかなり薄くなっていた。王が殺されるには充分な、そう充分すぎる理由だろう。もっと早く、若い奴に道を譲っておけば、殺されることもなかっただろう。そう、体力の衰えた王は、殺されてしまうのさ。世界の、国土の豊穣と平和のためにね。
読者諸君、また会おう。今回はちょっといつもとケイコーと対策が異なっていたかもしれないな。それでもイイさの。さらば国民の兄貴、そしてViva La Revolution!
新しいボスに会ってみるがいい。きっと前のボスとそっくりだろうよ。そんなことにならないようにしてもらいたいぜ。人々が、銃を手にして戦うような国じゃ、写真なんて危なっかしくって撮っちゃいられないさ。

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