2012/03/16

Post #489 16/Mar/2012

Paris
俺は静かに悲嘆に暮れている。
吉本隆明が、戦後最大の思想家と言われた、あの吉本隆明が、87年の生涯を閉じたのだ。
随分前に海でおぼれて死にそうになってから、随分体が衰えていた。永年糖尿病だった。もう何年も前から、何時かそう遠くない時期にこんな日が来ることは分かっていた。分かっていたんだ。
そして、87歳、いつ死んでもおかしくない年齢だ。
軍国少年から詩人、左翼運動家、そして思想家という激しい人生を送られた。もはや十分に人生を生き切った感が漂っている。
しかし、これからの人生、何かの折に、吉本隆明なら、この事態をどう考え、どのようにふるまい、どのように言葉を発するだろうかと、幾度も考えることだろう。
個人のほうが、公つまり国や社会なんかよりもずっと大きな世界で、個人の方こそ、重要で尊重されるべきものなんだということを、生涯言い続けた人だった。俺の考え方に、最も影響を与えた人だった。
独立左翼吉本隆明。
税金で運営される大学の教授とかなんかに収まることなく、常に大衆の一人として、独学で学び、その強靭な思考力で、専門の学者を蹴散らし、容赦なく頓馬呼ばわりしてくれたのも吉本隆明だった。
生前、高村光太郎の詩の一節『死ねば死に切り、自然は水際だっている』と、折に触れ語り続けた吉本隆明だ。追悼だのなんだのは野暮ってもんだろう。
さようなら、そして御機嫌よう、吉本さん。いつかまた、地獄で会おう。
失礼する。何だかさみしー風が吹くのさ。

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