2012/05/10

Post #529 紫色のクロコダイルのベルト

俺はここ最近、名古屋の繁華街の路面店で仕事をしている。仕事の合間に表でパイプを吹かしながら道行く人々をぼんやり見ていたりする。イイ女だなぁとか、なんだあのブタ子は?とか、うむ、俺はあんなチャラけた小僧どもは虫が好かねぇなぁとか、いろんなことを想ってるわけだ。
男の服のセンスというのは、なかなかに難しー。女の場合はその時々の流行のものを着ていればいいだろう。しかし、男のファッションには、さしたる流行なんてものはない。あったとしても、遺憾ながら俺にはあまり興味が無い。俺は自分に合うスタイルをちゃんと知っているからだ。40過ぎて、今更その辺のチャラけた小僧のように、ホストみたいな品の無い格好はしたくない。かといって、日曜日のお父さん、上から下までユニクロとかいうのもゴメンだ。老け込んじまうぜ。あるいは、何だかどっか爽やかで可愛げな少年のような格好もゴメンだ。人の好みはそれぞれあるが、俺には向いてない。プードルとかじゃないんだ。
Fes,Morocco
俺は、少し前にある友人と久しぶりにあった時、『あんたはいつもブリティッシュでええなぁ』と言われて嬉しかったぜ。ありがとよ、ぐっちゃん。君は俺の狙いがはっきり分かってる。何時もあったるわけじゃないが、俺のことをよく分かってくれている。俺はロック好き、しかもUKモノが好きなんだ。そんなロックの似合うようなスタイルを心掛けてるんだ。OK、分かるかい?
けれど、気をつけなけりゃならないことがある。一歩間違うと、おかしなメイクをして、ドクターマーチンを履き、街角でティッシュを配ってるアルバイトの若い衆のような格好になってはならないということだ。なにしろ俺は43歳だ。同じベクトル上にあっても、より洗練されたスタイルが求められるというものだ。
とはいえ、懐具合は厳しい。バカ高いブランド物を着たいとも思わないしな。どんなにいい服を着ていても、裏通りの怪しげな店で買ったように思われてしまう俺だ。ブランドのロゴの入ったラベルがついているだけで、バカ高い服を着る必要はないだろう。
俺がこだわっているのは、靴とベルトだ。
上質な仕立てと素材でいながら素敵に傾いた靴があれば、全てOKだ。どんな服を着ていても、ばっちりと決まってくるというもんだ。よくサラリーマンのおじさんが履いてる紳士モカシンとかいう得体のしれないような靴は、ゴメン蒙る。パイソンとかの派手で高そうな靴が、俺のおしゃれを際立たせるのさ。それにやたらとつま先が反り返っている靴も、品が無くって嫌いだ。バルタン星人じゃあるまいし。素材はゴージャスで、デザインは正統派、それが理想だ。
そして何よりイカしたベルトがあれば、小僧どもとは一線を画したスタイルが完成だ。ココは手を抜いてはいけない。これを安モンで済ますと、どんなおしゃれも全てが台無しだ。どんなにいい服を着ていても、何だかみすぼらしく見えてしまうってもんだぜ、気を付けろ。

けれど、俺の心にビビッとくるベルトや靴には、そうおいそれと出会えるもんじゃない。もっとも、そうそういつもそんなものに出会っていたら、俺は破産だ。金がいくらあっても足らないぜ。なにしろ足は2本しかないし、腰は一つしかない。必要なものは、ほんのちょっぴりのお気に入りのアイテムだ。
先日、ベルトを買った。その何日か前に見かけて、悩んでいたんだが、生憎というか幸いというか、俺の現場はその店のすぐ目の前だったんだ。俺は、仕事の昼休み、作業服のまま、ベルトを買いに行った。
イタリア製のクロコダイルのベルト。型押しじゃない、マジもんのワニだ。色は紫、いやパープルと言った方がいいだろう。俺は思わず、昔懐かしいプリンスを思い出した。そう、パープルレインだ。
紫は本来、上品で粋な色なんだが、どうにも今の日本では品の無い色と思われがちだ。しかし、俺は紫が結構好きだ。お値段はそこそこした。昔なら即決で買っていただろう。しかし、不景気のどん底、働けど働けどなおわが暮らし楽にならず、じっと手を見る足を見るの俺だ。何日か悩み、煩悶した。人間、金がないと決断力が鈍るというものだ。
しかし、買っちまった。俺は買っちまったよ、紫のベルト。そのうち君にもお見せしよう。
昔々、戦国時代には、武将たちは自分の強さをアピールするために、派手で目立つ格好を好んでしていたんだ。迷彩じゃないんだぜ。強さに自信があるから、目立つ格好をして、俺はここにいるぞと主張していたんだ。しかし、天下泰平の江戸時代を経て、日本人のセンスはすっかり変わっちまった。出る杭は打たれるだ。目立つことを嫌い、みんなと同じような服を着る奴らばかりだ。あれこそ、本当の都市型迷彩服だ。冗談じゃない、今の日本人のおとーさんたちにも、もっと戦国時代のような考えを持ってもらいたいもんだぜ。出る杭は打たれる。上等じゃないか?
読者諸君、失礼する。風呂に入って眠るのさ。

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