2012/06/09

Post #559 喉を腫らして苦しんでいた

木曜日に、仕事もなく徒然なるままにしこしことプリントしていたら、喉の奥イガイガしてきて、どうにもよくない兆候だなと思っていたんだ。
思えば、その前の日も少し微熱があって医者に行こうかと思ったんだが、お生憎様、水曜日の午後はかかりつけの医者が休みなんだ。一日手をこまねいていたら、この有様だ。参ったなぁと思いつつ、プリントしていたら、とっくに病院の診療時間をぶっちぎっていた。仕方ない、明日行くことにしよう。
で、朝目を覚ますと、喉は酷いことになっていた。喉の左側がひりつくように痛い。喉にバスケットボールをぶち込んだみたいだ。鏡で覗いてみると、熟れきった果物みたいに腫れ上がっている。痛くて朝食のパンなんて喉を通らない。コーヒーだって飲みたくないくらいだった。キヨシローも髭の殿下も咽頭癌だった。きっと俺もそうに違いない。
俺は思わず、仕事に出かける連れ合いに、蚊の鳴くような声を絞り出して『長らくお世話になりました、さようなら』と念のために言っておいた。
医者に行き、いつものセンセーに見せると、彼はあっさりと咽頭炎という診断を下した。この先生にかかると、なんでもなんとか炎ということにされてしまう。ひょっとしたら、俺を不安にさせないために、もっとシリアスな本当の病名を伏せているんじゃないのか?
『センセー、俺咽頭癌ってことはないよね?』俺は念のために訊いてみた。『それはない、安心しろ。注射打つか?』『そうしておくよ』俺は注射を打ってもらうことにした。どうにも俺はこの病院では、やたらと注射を打ちたがる患者だと思われているようだ。
『いつも注射を打ちたがるから、なんか変な趣味嗜好があるんじゃないかって気がしてくるわ』いったいどんな趣味だよ?
『そうかい?みんなフツーは注射を打ちたがらないのかい?』注射を打つ打たないは必要性の問題であって、趣味嗜好の問題じゃない気もするんだが、どうなんだろうか?
『そりゃそうよ、痛いんだもの』と看護婦。そんなものか?
『よしてくれよ、ガキじゃないんだから。変な趣味があるかどうか、一度二人きりで試してみるかい?』俺の質問には彼女は笑って答えず、さっくりと注射を打ってくれた。確かに痛い。しかし、それはほんの一瞬だ。しつこい喉の痛みに比べれば、屁でもないぜ。
Fes,Morocco
とっとと家に帰って、なんでも喉を通りそうなものを胃袋に押し込んだ。薬は食後となっていたからだ。もらってきた薬を飲んでひたすら眠っていた。ふと、子供の頃のことを思い出した。まだ、6つか7つの頃、アデノイドを切る手術を受けた時のことだ。部分麻酔をされながら、切除されたアデノイドが、喉の奥から食道へ落ちていったような気がしたモノだ。
そのあと3日ほど、スープくらいしか食べることが出来ず、うんうんうなりながら横になっていた。まるで今日の俺のように。もう、そんなことは30年以上思い出したこともなかったのに・・・。
結局、さっさと薬が効いて、喉の痛みはズイブンと楽になった。まったく、仕事が無くてよかったぜ。とはいえ、今日はまたプリントする気でいたのに残念なことだ。人生、いいことばかりはないってことだ。
一日、布団にくるまって、チャールズ・ブコウスキーの短編小説ばかり読んでいた。
酒と競馬とセックスと暴力、そんなものばかりがどの短編にも延々と描かれている。しかし、そこには人生における本質的なモノが潜んでいるような気がしてくる。

読者諸君、失礼する。言われる前に自分で言っておくけど、せいぜい大事を取って養生させてもらうよ。

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