2012/08/30

Post #613 Gimme Wander

Haw Par Villa,Singapore
俺達は、見たままの世界が世界の全てだと思っている。
既に、各種の科学の発展がこの世界の神秘をことごとく葬り去った。
空に龍が舞うこともない。海の底に我々の世界とは異なる世界があると信じる者はいない。ケッタイナ姿をした深海魚や甲殻類だのが蠢いているだけだ。
白い雪を頂く山々に、神々が住むこともない。ただ、山があるだけだ。そこは空気が薄くて、人間の住む世界ではない。
神々が水晶の巨大な結晶に変化し、天竺から本朝に飛び来たることもない。ジェット機が飛び交うだけだ。
三本足の輝く鴉が、神の使いとして舞い降りることもない。鴉は早朝、ゴミをあさるだけの下賤な鳥に格下げだ。
天空に神々の座は既に無い。そこにはほぼ無限に広がる宇宙空間と互いに気が遠くなるほど離れた恒星が、孤独に回っているだけだ。
俺達は、それを科学の進歩のおかげだと思っている。さまざまな知識を得ることができたんだ、けっこうじゃないか、とね。しかし、世界は不可視の領域を、想像力の領域を失い、俺たちが接する世界は、確実に表面だけの薄っぺらなものに成り果てた。
かつて神の住んでいた森は切り開かれ、住宅地となった。
携帯電話など知らなかった、いわゆる未開の人々が世界を見るとき、現実に見える以上にイメージの世界が目の前に広がっていたんだろうってことは、俺には痛いほど想像できる。目の前のモノは、常に何かを象徴していた。風のそよぎは予兆を語りかけてきた。鳥のさえずりは、迫りくる不幸を告げた。タブーも畏れもなくなり、人間は世界に対する謙虚さを失った。親に対する尊敬芯を失った思春期のガキのようだ。それに比べて、21世紀に生きる俺たちの世界認識は、張りぼてのように表面だけの薄っぺらで、まったく以てお粗末きわまる。
Sir Mariamman Temple,Singapore
俺は、そういった薄っぺらな世界に、ほとほと嫌気がさしてる。驚きを求めているんだ。Gimme Wander だ。
だからどこかグロテスクな神々や仙人や怪物なんかを、大真面目に造形しているようなのを見ると、嬉しくなってくる。日本なら、さしずめ関ヶ原ウォーランドか。あそこも面白かったな。
そんな俺が今回の出張に持ってきた本は、平凡社ライブラリーから2冊、大昔の中国の仙人について書かれた『列仙伝・神仙伝』と、やはり大昔の中国の不思議な出来事を収集した『捜神記』だ。なかなかに面白いぜ。
家に帰ったら、澁澤龍彦の『高岳親王航海記』でも読み直してみたくなってきたぜ。かつて空海のもとで密教を学んだ平安時代の親王が、インドを目指して旅をするという素晴らしい小説だ。かつて、インドは、いかなる怪異すら起こりえる神秘の国だった。今はどうだ?発展途上国からいつの間にか新興国とかラベルが張り替えられて、IT大国だ。つまらん。
現実逃避?別に何と言われても構わないぜ。
俺は現実って奴にいい加減うんざりしてるんだ。ロマンのかけらもありゃしねぇからさ。そう、美しい女はクソもゲップもしないって、信じていたいだろう?現実と虚構の合間にこそ、神秘は生まれるんだぜ。
Gimme Gimme Wander!俺を驚かせてくれ!
読者諸君、失礼する。

2012/08/29

Post #612 No One Know What she feels

Osaka
私たちは、他人のなかにいったいどんな思いが潜んでいるのか、知る術を持たない。残念ながら。
ふと、そんな当たり前のことを思い出した。
私たちに出来ることは、少しでも他人のことを知り、相手の立場に立って想いをめぐらすことだけだ。
それは、面倒臭い。
だから、自分以外の人間を、意志の無いロボットのように扱おうとする。
もしくは、そんなものがあったにしても、スルーする。自分の都合を最優先だ。それが効率的に生きるということさ。
いや、待てよ。それでいいのかい?
君が今、すれ違った女性が、幸せそうに見えていても、その心の奥に、どんな嘆きを秘めているのか、想像してみないか?
取るに足らない男が、どんな無謀な夢を思い描いているのか?
黄色いスポーツカーに乗った男が、どんな恐れを心に抱いているのか?
老いさらばえた老人が、どんな人生を歩み、その時々にどんな思いを味わったのか?
知りたくはないか?
もしそれを知る術があったなら、きっとどうでもいいニンゲンなど、いなくなるだろう。
誰も彼も、それぞれに謎を秘めた魅力的な小さな宇宙になる。
もし、それを知る術があったなら、下らないTVなんか見ているヒマはないだろう。
悲劇を演じる俳優よりも、生身の人間のほうが面白いに決まっている。

しかし、写真には、人間の心は写らない。残念ながら。
写るのはいずれ消えてゆく、その姿だけなんだ。残念ながら。

もしも、写真にそれを写し取ることができたなら。その方法さえあれば・・・。

読者諸君、失礼する。そんなことを想ってみても仕方のないことならば、考えない方が効率的な人生だろう。しかしそれは、きっとつまらない人生だろう。俺はそう思うぜ、なんとなく。なんとなくだけれどね。 

2012/08/28

Post #611 饕餮、そして物乞いに関する2、3のこと

Fes,Morocco
どれだけ働けば、豊かになれるのかい?
どれだけ食べれば、腹は満たされるのかい?
どれだけ多くのものを持てば、幸せになれるのかい?
どれだけ長生きすれば、満足して死んでゆけるのかい?

世界の中の日本、そう、そこは世界で一番キレイ好きな国。
世界の中の日本、けっこう世界の皆さんからは根拠不明に尊敬されている。
世界の中の日本、そう、ココにはなんでもある。
世界の中の日本、そう、だけどみんな疲れた顔をしてる。
喰い過ぎて太り、ダイエット食品を喰って痩せようとする奇妙な世界。

けど、まぁ、そういうのが好きなんだから、それで、ええんじゃなかろうか?

俺如きがトヤカク言った所で、なんも変わりゃせんよ。
けど、そうは言っても世界は広いぜ。
貧乏そうでも楽しそうに笑ってる奴は、意外とたくさんいる。
これは、厳然たる事実だ。むしろ貧乏な奴らのほうが、楽しそうに見えるときがある。

あぁ、そうそう、最近気が付いたんだけど、物乞いの人はいつも弱弱しい声と力ない手つきで掌を差し出してくる。子供を抱いてるパターンも多い。食うに困っても子供はできるのだ。
あれ、どこ行ってもそうなんで、最近面白くなってきて、小銭があればあげるようにしてるんだ。
やはり、元気な物乞いでは、小銭を与えようという気持ちにはなりにくいのかもしれない。
そういえば、この豊かな国日本では、ホームレスですら物乞いせずに暮らしている。驚きだ。

人間が人間であるという理由だけで、尊重される世の中になってほしいもんだと思っています。
しかし、生産性の低いニンゲンは粗大ゴミのように扱われております。
これは政治の課題である以前に、私どもの人間観、人生観に起因する病理だと思っております。
俺自身は、何時なんどき、自分が全てを失って、段ボールの家に暮らす日が来ないとも限らぬと、永年にわたって覚悟しております。
しかし、幸か不幸か、なかなかしぶとく資本主義社会の泥水の中を、おぼつかなくも泳いでおりますなぁ。

読者諸君、失礼する。 

2012/08/27

Post #610

Tokyo

明日の仕事のことを考えておきたいので、今日はこれだけ。
昼間のうちにやっておけばいいものを、ブラブラ写真撮りに出歩いてるからこうなっちまうんだよ。
読者諸君、失礼する。

2012/08/26

Post #609 写真×パンクロック もしくは写真の金玉

Kyoto
お盆を過ぎても、クソ暑い。海じゃクラゲが湧いてくる頃だというのに、いったいどうなってるんだ?
赤道直下のシンガポールのほうが、よほど涼しかったぜ。
俺はちびまる子ちゃんの舞台になった清水に仕事で来ている。例によってビジネスホテル暮らしだ。日本のいわゆるビジネスホテルってのは、つまらないこと限りない。どこも同じだ。記憶にサッパリ残らない。そんなもんさ。
で、明日は現場が休工日なんで、俺は暇を持て余していた。写真を撮りに出歩こうか?いい雰囲気の飲み屋があったら、久々に一杯、キンキンに冷えたジンなんかにありつくのもいいかもしれないなぁ。イカシタおねーさんが怪しい瞳で俺に微笑みかけたりするのさ。きっとケツの毛まで抜かれちまうだろう。たまらないぜ。
が、ココ清水にはそんな雰囲気もない。とっくに現地調査済みだ。さすがは日本中の子供たちを魅了してやまない『ちびまる子ちゃん』の舞台だけある。そこら辺の爺さんが友蔵に見えてくるってもんだ。健全だ。健全きわまる。人間が人間らしく生きるためには、多少の悪徳も必要だというのに。
致し方あるまい。
最近余りの反響の無さになんだか情熱を陰らせているブログでも久々に更新してみるとするか。
今日もクソ暑かった。俺の働く工事現場には、当然クーラーなんて気の利いたものはありはしない。それどころか、風の通るような窓すらない。劣悪な労働環境だ。昭和なカンジだ。しかも、今日は思いっきりの肉体労働だった。疲労困憊だ。若いときに怠けていた報いを、今こうして受けているのだ。ざまぁみろ。
あぁ、脱いだ衣服から悲しくなってくるような臭いが漂ってくる。しかし、写真のような女性の場合は、そんな臭いどころか、きっと甘やかな匂いが漂ってくることだろう。素晴らしい・・・。俺はいくつになっても女性には幻想を抱いていたい。真実が残酷だとしてもね。
強い光が、輪郭を溶解させるような写真は、それはそれで好きだ。
その瞬間の光の強さが、生理的に感じることができる。光の熱さすら、思い出してしまう。それは遠赤外線だろうか。モノクロ印画紙は赤色光線には感光しないはずだがなぁ。
色彩豊かで、上手でキレーな写真に興味のある方は、納得いかないどころか、ご不満かもしれないな。いや、その手の向きは、はなっから俺のことはスルーだろう。いや、スルーちゅうのは、目には留まってるということなので、俺のような映像的クズ拾いのことは、見つけることすらできないだろう。写真の世界のアリですらない、水虫菌のようなものだ、クソっ!
まぁ、このあたりに、俺のやる気を減衰させる要因が潜んでいるのだが、今それをぐだぐだいっても始まらない。今は、このハイキーな写真の話しだ。
時折出現するハイキーな写真は、俺自身も最初はどうにも納得がいかなかったんだが、何時しかそれはそれとして受け入れることにした。
自分の暗室技術の未熟さと根気の無さによる結果を、むしろ一つの個性として俺は受容したんだ。
そこに、写真におけるパンクロック魂が見え隠れするわけだ。
つまり、3コードしか弾けなくても、OK。
音痴でも、がなってるだけでもゼンゼンOK。
ルールや世間の価値観なんか無視してやりたいようにやってOK!
欠点を受け入れることで、自分の個性とするという大胆な発想の転換。ポジティブシンキングだ。
フレーミング、テキトーでOK!
アレ、ブレ、ピンボケ、全然OK!
プリント、下手糞で真っ黒、真っ白でOK!
肖像権、無視でOK!
色?コダックのリバーサルが無くなった時点で、無くてもOK!
カメラ、ホントのところは写るんですで充分!しかし、それでは舐められるのでもうちょっとまともなものを使っておくことにするか。
むしろ、誰が撮ってもお上手に写真が撮れるようなカメラがジャンジャン市場に出回っている今だからこそ、天邪鬼な俺にはこのスタイルが似合ってるというものさ。
そう、誰が撮っても撮れるんなら、俺じゃなくってもイイんだからな。
俺がそんな写真を撮ってみたって、まったくのところ去勢された馬みたいなもんだ。物足りないったらありゃしないぜ。
正直言って、俺は俺の写真が大好きなんだ。毎日見ていても飽きることが無い。
去勢どころか、写真に金玉がぶら下がってるように感じるぜ。
それはどんな感じかって?
頭の中で、ウィリアム・クラインとジョニー・ロットンという二つのタマタマがブラブラ揺れながら、一つの袋に入ってセッションしているような感じだよう!
そういえば、ストーンズの『メインストリートのならず者』のジャケ写真はロバート・フランクだったなぁ。あれもよかったな。いかん、また脱線だ。

写真×パンクロック

ふとそれこそが、自分の原点だと思いつくわけだ。だから、巧くなくていいのさ。そういうのが好きな人には、もっと上手い人たちがキレーな写真を撮っているだろう。ブブ漬けでも食って、さっさとそっちに行っておくれやす。そもそも俺は女子供が喜ぶような写真を撮る気ははなからありゃしねぇんだ。はなからちょうちんさ。
思い出した。俺は俺の好きな写真を撮りたいだけなんだ!はなから自己満足じゃないか?まいったなぁ。

読者諸君、余りの暑さと反響の無さにすっかりやる気を喪失しているこの俺に、励ましのコメントでもくれないか?あぁ、ただしいつものホモはくれなくっていいぜ。俺のケツを貸してやる気はサラサラないんだ。俺はこの写真を見ても分かるように、女好きで通ってるんだ。
明日は暇潰しに静岡にでも行ってみるかな。失礼する。

2012/08/22

Post #608 あの角を曲がれば

Kuta,Bali,Indonesia

帰ってきた。昨日の朝早く。いろいろと忙しく駆けずり回って、やっと少し時間が出来た。出張先のホテルの部屋だ。席の温まる暇もないとはこのことだ。こんな風に時間はいたずらに流れ、何一つなすこともないままに、年老いていくって訳だ。OK、どうせ人間なんてそんな風にしか生きてはいけないモノさ。まぁ、それはいい。今言っても仕方がないことだからな。
飛行機を乗り継いで、バリ島、ジャワ島のジョグジャカルタ、そしてシンガポールにも足を延ばしてきた。
モノクロフィルムを31本、リバーサルを4本、締めて1300カットほど撮ってきた。まだ、現像は上がってきてはいない。例によって上りが楽しみだ。またもや自分の天才を確信することになるんだろう、なんてね。
今回も毎日、南国の照りつける太陽の下を、ひたすら歩いた。歩かないと写真はとれない。高速で移動することによって、どれほどの風景を掴み取ることができるというのだ?写真はやはり、歩かないと撮れないものだ。御苦労なことだ。熱中症になるんじゃないかとも思えたが、この日本なんかより全然過ごしやすいんだぜ。夜なんか一枚余分に羽織っていないと肌寒いくらいだった。まったく、この日本ちゅう国はどうかしてるぜ。
時折、写真を撮って歩き続けていると、ふと、こんなこと、単なる自己満足にしか過ぎないんじゃないかって思えてくる時がある。意味の無いことに、貴重な時間と無駄な労力を費やし、写真を撮り続けていることが、単なる難行苦行のよう感じる。ほら、インドなんかにいるだろう?40年以上もずっと手を上にあげている苦行者とかさ。それと大差ないような気になってくるんだよ。このデジカメ全盛の時代に、モノクロフィルムだなんて、時代錯誤も甚だしいとすら思えてくる。
また、どれほどシャッターを切ってみても、自分が目にしたものすべてを、世界の全てを写真にすることなど、出来るはずもない。どれだけシャッターを切り続けてみても、所詮は同じようなイメージの繰り返しなんじゃないかって、ふとネガティブに冷めてしまう一瞬が来るんだ。
けれど、もしかしたら、そこの角を曲がったところに、美しい女性が佇んでいるかもしれないし、見たこともないようなモノが、俺を待っているかもしれない。
いつだって、その角を曲がったところに、何かがあるかもしれないと自分自身に言い聞かせるようにして、写真を撮り続けています。
そして、これからもまぁ、相も変わらずなことでしょうよ。
しかし、今回の写真をはやくプリントしてみたいもんだなぁ。とはいえ、まだ当分家には帰れないんだろうけど。

2012/08/11

Post #607 南へ、オーストロネシアへ

皆の衆、悪いけれど十日ほど日本からトンズラさせて頂くぜ。
昨日は名古屋から箱根まで往復し、帰り道ではUターンラッシュで高速は30キロの渋滞。下道をひた走り、高速の渋滞をかわし、真夜中に帰ってきた。眠らずに準備を続けたぜ。俺は旅慣れているからな、旅の準備はあっという間に完了だ。
HongKong
今度の旅は東南アジアだ。インドネシアのバリ島だ。そしてシンガポールによって帰ってくる予定だ。まだ見ぬ世界が俺を呼ぶのさ。金のことはあとで考えるとしよう。
カバンはフィルムではちきれそうだ。毎度おなじみのトライXだ。そして、金子光晴の『マレイ蘭印旅行記』だ。悪いが生きてることを愉しんでくるつもりだ。帰ってきたら、そのあとはみっしりと仕事が詰まっている。俺はできれば鳥になってしまいたいと思う程に疲れているんだ。行きつ語が必要だ。いや、違う。まだ見ぬ世界に触れること、それこそが生きてるということだ。てっとり早く言えばね。
休暇の取れる人は、存分に楽しんでくれたまえ。休暇の取れない人は、どうぞ体を労わりながらいそしんでくれ。仕事なんかで体を壊すのはつまらないことさ。
俺は赤道を越えていくのさ。

2012/08/09

Post #606 Get Away!

あと一日我慢すれば、いま俺を苦しめている現場から抜けることができる。
しかし、昨日も新たな問題が発覚したところだった。俺は思わず腰が抜けそうになったぜ。どう切り抜けるのか、見ものだな。だが、俺は知らん。知りたくもない。
俺は逃げるんだ!
Efes,Turk/交通事故さえなきゃ、猫の暮らしはサイコー
サラリーマン社会たる我が国の生き辛さよ。
それはですねぇ、嫌な奴とも上手いこと折り合いをつけて、中長期的にお付き合いしてゆかねばならないことにあるんではないかと、推察いたします。
俺は、立場の弱い一匹狼なんで、様々なストレスによって脳みそをやられちまった人格破綻者どもから、時としていわれのない嫌がらせを受けることがある。まぁ、ごくまれにだが。
今回の仕事の難しさはまさにそこにあった。めんと向かって俺に、お前はムカつくとかそんなことばかり言う奴と仕事をするのは、さすがの俺でもかなりしんどい。
俺は奴らの属する会社という村社会にとっては、ストレンジャーなんで、奴らは俺に対して遠慮というものがないのだ。ましてや俺は外注下請け、金が欲しけりゃぐっとこらえることしかできないんだぜ。それが世の中の仕組みだ。だから、奴等は調子にのって俺をストレスのはけ口にしてきやがるわけだ。
最初は、腹も立ったし、かなり凹んだりもした。
しかし、今思えば、哀れな奴よのぉ・・・。
そんな人格が歪むほどストレスを抱えて仕事をするなんざ、俺はゴメンだ。
ゴメンだから一人で商売してるわけなんだが。おかげでちっとも儲かりゃしないぜ。なぁに、かまやしないさ。金の無いのには慣れっこさ。
さぁ、いよいよ現場は火を噴いている。このまま関わり続けていたら、俺は火だるまになるところだったろう。しかし、俺はもうすぐいなくなる。はるか彼方へしけこむ算段だ!
ざまぁみろ!俺は南の島に旅立つのさ。インドネシアさ、バリ島さ。リゾート地だ。東松照明も写真を撮った南島だ。せいぜい奴等は虫歯のようにストレスを抱えながら、盆も正月もなく、蟻のようにはたらきつづければいいのさ。ばっからしいったらありゃしないぜ。俺は知らん、それが本音だ。
そう、そんな一見無責任なことが言えるし、やってしまえるのが何の保証もないフリーランスの、唯一の利点なんだぜ。
そうさ、俺は南の島へと逃げるんだ。ゲッタウェイだ。
さすがにそこまでは仕事も追いかけてはこないんだ!
くそ!楽しみでたまらないぜ。
 
読者諸君、失礼する。この暑い中、赤道直下の南の島に行くなんて、なかなかに酔狂だろう?そうは思わないかい?

2012/08/05

Post #605 終わらない仕事はない、はずだ

本日、何も言うことなし。じっと耐えるのみだ。
HomeTown/Nagoya
ここ最近の不毛な仕事のおかげさんで、俺は人生を無駄にしている気がしてたまらない。気が付いた時には、きっとこんな爺さんになってしまってることだろう。まるで浦島太郎だ。岡本太郎とはえらい違いだ。ぞっとするぜ。寒気すらしてくるぜ、ねっとりと空気が肌にまとわりつくような熱帯夜だというのに。
あぁ、写真を撮りに出撃したり、プリントしたりしたいもんだぜ。

読者諸君、失礼する。もう少しの辛抱だ、旅が俺を呼んでいるんだ。そうだ、終わらない仕事はないんだからな。

2012/08/04

Post #604 職業選択を間違った男

それは、私です。
正直言って、今の現場、しんどいわ。もう毎日、ボロカスに言われ、その上きっと金もよくない。挙句の果てには40過ぎて、『やる気がないなら、帰っていいよ』なんて言われた日には、マジで帰ってしまおうかとも思ったくらいだ。まぁ、モチベーションを下げてくれているのは、そういうことを言って下さる当のご本人なんだけどね。『なんで昨日やってないんだよ?!』って言うから、理由を説明しようとすると、『言い訳なんか聴きたくねぇんだよ』ときたもんだ。思わず笑えてくるぜ。
俺は、こんな商売をやりたかったんだろうか?状況に流されてくるうちに、気が付けばここに流れ着いたようにこの商売をやっている。なりたくてなった訳じゃない、それが正直なところだ。そんな事を書くと、またなんかドッカから説教されそうだが、そもそも俺はこんな商売には向いてないのかもしれない。考え直すんなら、早い方がいい。人生は短いんだ。
子供の頃に本当になりたかったのは、考古学者だ。
遺跡を発掘し、土器やらなんやら古代の人々の遺したピースから、パズルのように古代の人々の暮らしぶりや何を考えて活きたいたのかなんかを推量するのは、とても楽しそうだ。くだらない競争をしたり、ノルマに追われたりすることもない。浮世離れして、穴を掘って、土をふるいにかけ、刷毛でそっと砂を払っていく。実に楽しそうだ。しかし、もう無理だ。大学に通ったりするには、俺はもう老いぼれたぜ。よって却下。
Tokyo
そうそう、ハニーハンターに憧れた時期もあった。軽トラックの荷台に蜂の巣箱を満載し、花が咲いている地方を目指して、西から東へ、南へ北へ旅をするのさ。相手は可愛らしいミツバチだ。心が和むぜ。なにしろ俺は蜂蜜が大好物だからな。趣味と実益がマッチしてるぜ。
蜂たちがぶんぶん飛び回り蜜を集めている間、俺はスナフキンみたいにパイプを吹かしながら、川で釣りでもしてるのもイイだろう。気が向いたらハーモニカでも吹いてみよう。しかし、そんなんで飯が食っていけるのか?スーパーに行けば、デカい中国産のアカシア蜂蜜がびっくりするような安値で売っている。どれだけの蜂たちがアカシアの木に群がっているんだ?そんなのに太刀打ちできないぜ。そもそも、アカシアの木って、そんなにたくさん生えてるモノなのか?よって却下。

他にも、いっそパリにでも行って、日本からちょっとむっちりとした女の子を呼んで、トップレスでふんどし一丁で相撲興業を行う女相撲のプロモーターになるという道を夢想したりしたこともあったなぁ・・・。夜な夜な世界中からパリに集まってきた紳士淑女の前に、紋付き袴で登場し、『ぼんそわーる、ムシュ・エ・マダァム』なんて、口上を述べて、間違った日本文化を発信するんだ。眼鏡と出っ歯の入れ歯も欠かせないだろう。ステレオタイプの美学だ。様式美だ。きっといい金になる。ムーランルージュとかあるピガールの歓楽街あたりに店を持つんだ。下らない妄想はどこまでも広がる。大和撫子とはこういうもんだ!と世界に見せつけてやるんだ。そんなバブルの頃の歌舞伎町のような夢を見ていた時期もあった。
しかし、そんなの出来っこないよなぁ。人件費がかかりすぎる。
現地調達の女性じゃだめだ。日本文化なんだ、日本からムチムチした大和撫子を連れてこないとな。中国産のうなぎじゃないんだ、ってことだ。となると、かなりの金額を提示しないとな。それにまた、道義的にどうなんだろう。大阪の宗右衛門町じゃないんだぜ。きっと日本の恥さらしとか言って、ネットでたたかれまくるに違いない。そもそも、そんな品の無い商売をするには、俺は品があり過ぎる。
そう、天才アラーキーも言っていた。『下品にも品がある、下品格!』という奴だ。よって却下。

写真家

冗談じゃない。俺程度の腕じゃ、それこそ仕事になんかなりっこないぜ。俺如きじゃ、戦場カメラマンにもなれないだろうし、風俗嬢のアルバム写真を撮るほどの腕前も持ち合わせちゃおらぬ。そもそも俺の写真如きが仕事になるんだったら、毎日1万PVくらいはいかないとな。趣味で飯なんか食えるわけないぜ。趣味だからこそ、モノクロ手焼きなんて時代遅れな方法論がまかり通るってもんだ。俺は自分の分をちゃんとわきまえているのさ。よって却下。
あぁ、悲しいことだが、そんなわけで、明日もまたボロカスのクソミソに踏みつけられに行くんだ。自尊心はボロボロだ。無力な20代に若返ったような気分さ。せめてさっさと眠ろう。バカバカしい。しかし、人生というのはそういうバカバカしいガラクタでいっぱいだ。人生の意味を嫌でも考えさせられる。いかんいかん、そんなことをしてちゃ、また眠れないだろう。

読者諸君、失礼する。うちひしがれた中年を励ましてくれ。頼むぜ!

2012/08/03

Post #603 やってられない夜もある

俺だって、こう見えて常識的な社会人として各方面にご厄介になっているので、時にはクソミソにけなされても、ぐっとこらえていなければならない時もある。内心には、やってられっかよ、バカ野郎!と思いながらも、それをやっちまったらおしまいなのだ。
今夜もそんな夜だった。
Osaka
そんな時、どうするのか?
酒でも飲んでふて寝したいが、痛風持ちの俺としては、それは避けたい。あれは痛いからな。もちろん、酒をかっ喰らっても、問題は解決しない。
ゆっくり風呂に浸かってリラックスしよう。もちろん、それで問題が解決するわけではないが、心身がリラックスするのは悪いことじゃない。少なくとも、どこかで切れて関係者一同をまとめて虐殺してしまったりするよりは、ずっと建設的だ。内心は虐殺とまではいかなくても、俺の知ったことかって、ほっぽり出したい程度なんなだが・・・、さすがにそれじゃオマンマの食い上げだ。
今夜もそんな夜だった。
むっとして、うんざりし、疲れ果てて帰ってきた。で、風呂に入ってゆっくりしたんだが・・・、気が付けば真夜中も真夜中だ。驚くぜ、ざっと4時間も風呂に入っていた計算だ。

読者諸君、失礼する。俺は眠るぜ。明日も朝早い。寝言は寝て言うに限るぜ。

2012/08/01

Post #602 ふと思い出す金子光晴

車を転がしながら、金子光晴の『愛情60』という詩を思い出した。

  人が戀しあうということは、
  あいての人のむさいのを、
  むさいとおもわなくなることだ。

  もとより人は、むさいもので、
  他人をむさがるいはれはないが、
  じぶんのむささはわからぬもの。

  じぶんのからだの一部となつて、
  つながつたこひびとのからだを
  なでさすりいとほしむエゴイズム。

  じぶんのむささがわからぬ程に
  あひてのむささがわからねばこそ、
  69(ソアサンヌフ)は素馨(ジャスミン)の甘さがにほう。
Osaka
言いえて妙だよな。Soixante-neuf はもちろん、あのシックスナインという奴だ。
俺が生まれた年も69年だがね。何ということはないけれど、ふと身近な出来事から連想して、運転しながら、思わずニヤリとしちまったぜ。人を愛するってのは、そういうことさ。
読者諸君、失礼するぜ。また会おう。