2012/08/04

Post #604 職業選択を間違った男

それは、私です。
正直言って、今の現場、しんどいわ。もう毎日、ボロカスに言われ、その上きっと金もよくない。挙句の果てには40過ぎて、『やる気がないなら、帰っていいよ』なんて言われた日には、マジで帰ってしまおうかとも思ったくらいだ。まぁ、モチベーションを下げてくれているのは、そういうことを言って下さる当のご本人なんだけどね。『なんで昨日やってないんだよ?!』って言うから、理由を説明しようとすると、『言い訳なんか聴きたくねぇんだよ』ときたもんだ。思わず笑えてくるぜ。
俺は、こんな商売をやりたかったんだろうか?状況に流されてくるうちに、気が付けばここに流れ着いたようにこの商売をやっている。なりたくてなった訳じゃない、それが正直なところだ。そんな事を書くと、またなんかドッカから説教されそうだが、そもそも俺はこんな商売には向いてないのかもしれない。考え直すんなら、早い方がいい。人生は短いんだ。
子供の頃に本当になりたかったのは、考古学者だ。
遺跡を発掘し、土器やらなんやら古代の人々の遺したピースから、パズルのように古代の人々の暮らしぶりや何を考えて活きたいたのかなんかを推量するのは、とても楽しそうだ。くだらない競争をしたり、ノルマに追われたりすることもない。浮世離れして、穴を掘って、土をふるいにかけ、刷毛でそっと砂を払っていく。実に楽しそうだ。しかし、もう無理だ。大学に通ったりするには、俺はもう老いぼれたぜ。よって却下。
Tokyo
そうそう、ハニーハンターに憧れた時期もあった。軽トラックの荷台に蜂の巣箱を満載し、花が咲いている地方を目指して、西から東へ、南へ北へ旅をするのさ。相手は可愛らしいミツバチだ。心が和むぜ。なにしろ俺は蜂蜜が大好物だからな。趣味と実益がマッチしてるぜ。
蜂たちがぶんぶん飛び回り蜜を集めている間、俺はスナフキンみたいにパイプを吹かしながら、川で釣りでもしてるのもイイだろう。気が向いたらハーモニカでも吹いてみよう。しかし、そんなんで飯が食っていけるのか?スーパーに行けば、デカい中国産のアカシア蜂蜜がびっくりするような安値で売っている。どれだけの蜂たちがアカシアの木に群がっているんだ?そんなのに太刀打ちできないぜ。そもそも、アカシアの木って、そんなにたくさん生えてるモノなのか?よって却下。

他にも、いっそパリにでも行って、日本からちょっとむっちりとした女の子を呼んで、トップレスでふんどし一丁で相撲興業を行う女相撲のプロモーターになるという道を夢想したりしたこともあったなぁ・・・。夜な夜な世界中からパリに集まってきた紳士淑女の前に、紋付き袴で登場し、『ぼんそわーる、ムシュ・エ・マダァム』なんて、口上を述べて、間違った日本文化を発信するんだ。眼鏡と出っ歯の入れ歯も欠かせないだろう。ステレオタイプの美学だ。様式美だ。きっといい金になる。ムーランルージュとかあるピガールの歓楽街あたりに店を持つんだ。下らない妄想はどこまでも広がる。大和撫子とはこういうもんだ!と世界に見せつけてやるんだ。そんなバブルの頃の歌舞伎町のような夢を見ていた時期もあった。
しかし、そんなの出来っこないよなぁ。人件費がかかりすぎる。
現地調達の女性じゃだめだ。日本文化なんだ、日本からムチムチした大和撫子を連れてこないとな。中国産のうなぎじゃないんだ、ってことだ。となると、かなりの金額を提示しないとな。それにまた、道義的にどうなんだろう。大阪の宗右衛門町じゃないんだぜ。きっと日本の恥さらしとか言って、ネットでたたかれまくるに違いない。そもそも、そんな品の無い商売をするには、俺は品があり過ぎる。
そう、天才アラーキーも言っていた。『下品にも品がある、下品格!』という奴だ。よって却下。

写真家

冗談じゃない。俺程度の腕じゃ、それこそ仕事になんかなりっこないぜ。俺如きじゃ、戦場カメラマンにもなれないだろうし、風俗嬢のアルバム写真を撮るほどの腕前も持ち合わせちゃおらぬ。そもそも俺の写真如きが仕事になるんだったら、毎日1万PVくらいはいかないとな。趣味で飯なんか食えるわけないぜ。趣味だからこそ、モノクロ手焼きなんて時代遅れな方法論がまかり通るってもんだ。俺は自分の分をちゃんとわきまえているのさ。よって却下。
あぁ、悲しいことだが、そんなわけで、明日もまたボロカスのクソミソに踏みつけられに行くんだ。自尊心はボロボロだ。無力な20代に若返ったような気分さ。せめてさっさと眠ろう。バカバカしい。しかし、人生というのはそういうバカバカしいガラクタでいっぱいだ。人生の意味を嫌でも考えさせられる。いかんいかん、そんなことをしてちゃ、また眠れないだろう。

読者諸君、失礼する。うちひしがれた中年を励ましてくれ。頼むぜ!

0 件のコメント:

コメントを投稿