2012/09/30

Post #637 本当の俺が分かるかい?

From The Who "Quadrophenia” Booklet, Phot by Eathan A Russel
1972年に発表されたThe Whoのアルバム、Quadropheniaは、ひとりのティーンエイジャーの青春と挫折を描いた、2枚組の大作だった。俺が初めて聞いたのは、まだ18くらいの頃だ。
ちなみにQuadropheniaとは、日本語に訳すと四重人格だ。メンバー四人それぞれに、テーマとなる曲が割り当てられ、それがお互いに絡み合い、全体としてトータルなアルバムとして(そう、まるでオペラかミュージカルのような音楽劇のように)作られている。
主人公として描かれるジミー少年は、60年代中ごろにイギリスを席巻していたモッズの一人で、細身のスーツを着て、ハデハデにデコったスクーターを乗り回し、夜通しクラブで踊りまくる労働者階級の少年だ。
彼は夜通し踊るために、アンフェタミンなどのドラッグを常用しており、週に一回、精神科にカウンセリングに行く。そして、精神科医に訊ねる。本当の僕が見えるかい?
そして、母親に俺は狂っているんだと言えば、その気持ちはよく分かるわ、何故ってそれはうちの家系だからって言われる。本当の僕が分かるかい、母さん?
そんな歌詞の爆裂ロックナンバー“The Real Me”からアルバムは始まる。そして、全編を通じて、一人ぼっちの自分、つまりI’m A Oneから、確固とした自己、つまりI’m The Oneへの成長が描かれる。
AとTheの違いは微々たるもののようだが、その違いはとても大きなものだ。まぁ、それも行き過ぎると、周囲から理解されない奇人変人になってしまう恐れもなくはないんだけれどね。
こいつは俺にとって、とても重要なアルバムで、LPも持っているし、CDはリマスタリングされたときに新たに買いなおしたくらいだ。最近、デモとかも含めた豪華なBOXセットが発売されたんで、買おうかどうか、ずっと迷っている。金の捨て所は他にもたくさんあるからな。けど、そのうちきっと買っちまうんだろうな。
しかしまぁ、音楽の好みは人それぞれだから、聞き流してくれて構わない。しかし、このアルバムで看過できないことは、同梱されているブックレットだ。
このアルバムの見開きのジャケット裏には、ギターのピート・タウンゼント自身によって、随分と長いジミーの物語が記されている。
このストーリーを辿るように楽曲は展開していくのだが、さらには写真家イーサン・A・ラッセルによるストーリーに沿った写真集が、単体のブックレットとして添えられている。ラッセルはビートルズのLet It Beのジャケットなんかも手がけている。ロックの周辺で活躍する写真家だ。CD版ではそれはちいさなものでしかないが、古いLP盤を手に入れると、その大きな写真から放たれる迫力には目を瞠るものがある。
全編、ざらりとした粒子のハイコントラストな写真が並んでいる。今にして思えば、少しエルスケンを思い出すようなタッチだ。
上にあげたのはそのうちの最初のほうのカットだ。労働者階級のジミーの(なんだか不味そうな)朝食と、ターゲットTシャツを着てひとり地下道を歩くジミー。日常の退屈さと、ジミーの抱える鬱屈が表現されているように感じる。俺は、このアルバムが好きなのと同じくらい、このイーサン・A・ラッセルの手による写真集“
俺は、写真を始めるずっと前から、ロックにまつわる写真を眺めて暮らしてきた。
それが、自分の写真に影響を与えているのは言うまでもない。
これはもちろん俺の写真、Amsterdamにて
俺は時折、自分の写真を見ては、そんなルーツを感じる。それが本当の僕の姿だと思い起こすように。
読者諸君、失礼する。明日も朝早いんだ。もういい加減働くのに飽きてきた。風邪で一晩寝こんだと思ったら、次の日にはもう35時間働きづめだった。そう、朝の7時から次の日の夕方6時まで働いていた。冗談じゃない。俺の人生は萎れているぜ。そろそろいい加減、俺自身のために俺自身の人生を生きていきたいと思ってるんだがな。しかし、生きていくためには、そうも言っちゃいられない。金だって必要なんだ。人生は夢と現実のはざまでいつだって揺れている。しかし、それもまた人生だ、ロックンロールだ。また会おう。

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