2013/09/25

Post #948

Singapore
シンガポールの中華街

路上で華人の老人たちが、髪の乏しい額を突き合わせるようにして、額を彫っている

職人であろう老人は鑿と金槌

見守る二人の老人は、依頼主であろうか

それとも額に揮毫した書家であろうか

はたまた近所の茶飲み友達か

汗ばむような日差しを避けるようにして、

風の抜ける回廊でのんびりと刻んでいく

おそらくは、この老人たちが世を去った後も残るであろう扁額を


それはアジア風な優雅な営み

千年前とて、同じような光景を目にすることが出来たであろうよ

既に我が東方神州日本國では、この手の額は機械が刻む

コンピューターで制御され、納期厳守の味気なさ

風の中に槌音が響くこともない

人の手はすでに、道具を介して素材と語り合うことを忘れてしまった

技術は不要とされ、人間は誰も皆、生きてるだけで穀潰しの厄介者

否、ひたすらに世界を使い潰すだけの虚しい消費者


読者諸君、失礼する。世の中そんなもんさ。

俺が暗室にこだわる理由も、このあたりにあると想うのは、君の考え過ぎだろうよ。

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