2014/08/27

Post #1239

Ubud,Bali,Indonesiaしゃ
遮二無二に仕事に打ち込んでいるうちに、

風にはもうどこか秋の気配。

どこか涼やかで、乾いている。

仕事だけで終わってしまった今年の夏を思うほどに、

子供の頃のキャンプで感じたような、

照りつける太陽と、

どこか甘い木々の香りを含んだ

心地よい風が吹き抜けていた、

バリのウブドが懐かしく思い出される。


そこでは木々の緑は

あくまで濃く、

あくまで深く、

太陽の光はくっきりとした影を大地に描き、

人々がこの世界に確固として存在していることを、

無言のままに、しかしあきらかに知らしめる。


意味だの価値だのといったくだらないものにかかわりなく、

世界はただあるようにしてあるのだと、

意味だの価値だのといったくだらないものにかかわりなく、

俺たちはただいまここに、あるようにしてあるのだと。

太陽は刺すような光で、黒々とした影を描き、

俺たちに語り掛けている。


無言のうちの雄弁だ。


ウブドの裏通りの、カフェというより飯屋で出会ったドイツ人の男は、

3か月ドイツで暮らし、

3か月バリで暮らす、

そんな暮らしを何年も続けていると言っていた。

きっと息の詰まるような、

力ない太陽の下での暮らしに、

便利ではあるが、どこか押さえつけられているような社会に、

倦み疲れ、息継ぎをするかのように、

ここに戻ってくるのだろう。

渡り鳥のようにね。


どうやって暮らしを立てているかは知らないが、

それは余計なお世話というものさ。

いやいや決してそうじゃない、

どうやったらそんな暮らしができるのか、

出来たら教えてほしいと言っているのさ。


そのドイツ人の流儀に倣えば、

俺だってそろそろ仕事をまとめ上げて、

バリ島あたりにしけこむ頃合いのはず。

しかし、そんな気配もない俺の暮らしぶり。


俺の心中の羨望を、

知ってか知らずかそのドイツ人、

立ったまま瓶ビールを飲み干すと、

陽気に笑い、ノーヘルのまま、

エンジンをかけっぱなしで停めていた

原付で走り去っていったっけ。

まったく、羨ましい限りだな。


照りつける太陽の光が、原付のミラーを通してなお、

俺に語り掛けていたものさ。

俺の目を射るようにして。

あるようにしてあればイイと。

読者諸君、失礼する。しかし思うに、そのあるようにしてあるという、力みのない状態ってのが、人間には難しいんだよなぁ。

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