2014/11/24

Post #1328

台北、台湾
いかんいかん、出張先のホテルで四方田犬彦の労作『白戸三平論』を読みふけっているうちに、今日という日も終わろうとしているではないか?
仕方ない、面白いんだからな。
君は白戸三平を知っているか?『カムイ伝』『サスケ』『忍者武芸帖』など、さまざまな忍者漫画を生み出してきた日本漫画界の至宝だ。ライフワークのカムイ伝は、連載開始から50年を経た今も、長らく中断されたまま、完結していない。もう白戸先生80過ぎだから、完結は無理だろうなぁ・・・。

俺は正直、こんな不毛な商売なんて、とっとと見切りをつけて忍者にでもなりたいと思ってるんだ。
なんて言ったって、俺の本名は服部だ。先祖は忍者の里で名高い伊賀者なんだ。近代まで伊賀の欄間師として暮らしながら、各地に赴き、大名たちの秘密を探ってきたんだ。血統的には申し分ないだろう。
俺は海外旅行に行った先で、自己紹介するときは必ずこういうことにしてるんだ。
『俺は日本でも有名なニンジャ氏族の末裔で、俺のアンセスターは服部半蔵、つまりモスト・フェイマス・ニンジャマスターだ』って。
そうすると、誰もが驚いて、一言So COOL!って言ってくれるぜ。ざまぁ見ろ!
なにしろ、忍者は世界中で人気なんだ。海外に行って、忍術を披露して日銭を稼ぐ方が、ちんけな現場監督なんかやってるよりも、よっぽど面白おかしく生きることができるってもんだろ?

さまざまな仕事をしてきたおかげで、天井裏に潜むのなんか大得意だ。君が部屋の中で視線を感じたら、俺が君の部屋の天井裏に潜んでいるかもしれないぜ。気を付けろよ。
観光地なんかでよく見かける手裏剣でも買い集めてみようかな。
仕事のないときに、サンダーで研磨して、十分に鋭利に仕上げて、気に入らない奴にお見舞いしてやるんだ。君たち、俺に気に入られるようにしておかないと、手裏剣が飛んでくることになるぜ。せいぜい気を付けるんだな。
ナルト走りなら、ばっちりマスターしていて、点滅し始めた横断歩道を走って横断するときには、つい両手が斜め後ろにのび、背中を屈めるようにして走ってしまう癖がついてるぜ。もちろん誰もついてくることなんか出来やしないさ。
写輪眼ならぬ老眼なら、とっくにマスターしてるしな。それだけじゃない、近眼も乱視も揃ってる。
最近じゃ、向こうから歩いてくる女の子が美人かどうか、さっぱりわからないぜ。よく見ようと思って目を凝らすと、人相が悪くなって、ほら、女の子が避けていくぜ。仕方ない、何のことはない、そんなイイ女がそうそう歩いてるわけもないから、気にもしないさ。それが嫌なら、心の目で見るしかないってこった。何しろ俺は暗室のなかで、闇の視力を養ってるからな。視力検査じゃ俺の視力は計測できないぜ。

これはもう、忍者になるしかないかのぉ・・・。

しかし、忍びの道は険しいんだ。忍びの道は人の通わぬ獣道だ。
世界で大人気のナルトみたいに友情とか言ってるような甘っちょろい忍者じゃだめなんだぜ。
白戸三平先生の描く、カムイや赤目、影丸みたいに孤独でストイックなニンジャじゃないとダメなんだ。他人を信じることもできないんだ。なんせ、追い忍が紛れ込んでるかもしれないからな。うっかり他人を信用しようもんなら、次の瞬間には、みじめな骸を晒すことになるんだ。

けれど、俺はこう見えて、結構寂しがりだからな・・・。
そうだ!何なら君も一緒にどうだい?君が女性ならくの一ってのもいけてるんじゃないか?おっと、そっちを探求すると、今度は山田風太郎先生になっちまうなぁ。ストイック、ストイック。

読者諸君、失礼する。いい年こいて、そんな子供じみたことを考えているときが、一番愉しいってものさ。

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