2014/12/07

Post #1341

Bhaktapur,Nepal
俺の住む街から、そんなに遠くない街で、8月の台風の夜、2匹のヤギが盗まれた。
俺の住んでるあたりでは、新聞でも報道されていたので、知っている人も多いかもしれない。先日、その犯人が捕まったそうだ。
ヤギが盗まれた町、美濃加茂市では、除草費用を半減させる実験のため、岐阜大学と農業法人と協力して、約20匹のヤギを里山に放ち、セイタカアワダチソウなどの雑草をモリモリ食わせていたそうだ。
このヤギ、子供たちとのふれあい体験を通じて、市民にも親しまれていたそうだ。
それが台風の夜に首輪だけを残して、2匹消えてしまったのだという。
市はメディアを通じて、犯人に返還を呼びかけていたのだが、それは叶わなかった。
なぜなら、そんなころにはヤギはとっくにさばかれて、犯人たちの胃袋に収まっていたのだから。

ヤギを盗んだのは、3人のベトナム人で、車で仲間の家に運び、自分たちで解体して食っちまったのだという。ベトナムではヤギは普通に食されているそうな。
因みに、世界中でヤギは食われているらしい。

さて、この3人は留学とか技能実習生とかで入国したらしいが、現在は無職やアルバイトとのこと。
ここになんとなく俺は引っかかる。
留学で来た人ってのは、就学ビザで入国しているはずだろう?世界でも指折り排他的な日本の入国管理局が、就学ビザで来たものが、無職でぶらぶらしているのを看過していたのだろうか?
日本人でも無職でぶらぶらして暮らしているのは、自分の経験上、心細いことこの上ないというのに、世界的にも生活コストの高いこの日本で、無職でぶらぶらしていたら、ヤギでも盗んで食ってやろうかと思ってしまうのも、イイとは言えないが、無理のないことよのぉとも思えてくる。
実際、俺も失業していた時は、川を泳いでいるカモを見て、うまそうだなぁ・・という思いが脳裏をよぎったことがある。
まぁ、小人閑居して不善を為すといったところだ。

そして、世界的にも悪名高い日本の技能実習生制度。
俺も現場で中国人やベトナム人の技能実習生を見かけることがある。若いころに働いていた工場では、インドネシア人の技能実習生ってのがカレーの香りのむんむんするタコ部屋に押し込まれるようにして働いていた。俺の住んでる町にも、中国人の技能実習生がたくさんいて、驚くような低賃金で、日本人の若者がやりたがらないような仕事を担っているという。
そして、この技能実習生というのは、いわゆる出稼ぎではなく、あくまで技能の習得に来ているという名目なので、びっくりするほど賃金が安い。なかには、パスポートを取り上げられているケースもあるという。
研修期間中は厳密には『労働者』ではないので、労働関連法案は適応されない、つまり残業代も、労使契約もあったもんでないというのに、受け入れ企業さんは、安価な『労働者』としてこき使う。あまりに批判が多かったので、一応今では『労働者』扱いされることとなったが、転職の自由もないし、賃金不払い、人権侵害、過労死と思われる突然死も相次いでいるという。

ひどいもんだ。国際的にもこの制度は問題視されているという。日弁連は2013年6月、実習制度の早急な廃止を求める意見書を政府に提出し、米国国務省も、2014年人身売買に関する年次報告書で、劣悪な強制労働の温床となっていると批判したという、とんでもない代物だ。ベトナム人のあんちゃんたちが、うんざりしてドロップアウトした挙句、生活に困窮して、一丁ヤギでも捕まえて、腹いっぱいっ食ってやろうぜとなっても、ある意味仕方ないんじゃないかとも思えてくる。

日本の生産現場ってのは、農業から工場まで、この技能実習生といういかがわしい制度を使わないと成り立たないらしい。まるで年季奉公だ。いまどき丁稚や奴隷はないんじゃないのか?

日本人自身がやりたがらない、やれないような仕事を、研修生という名目の外国人の若者に押し付けておいて、使い捨てるような制度は、問題だと俺はずっと思ってきた。
同一労働、同一賃金というルールは、現在の日本にはない。
女性の賃金は低いままだし、派遣社員と正社員が、同じ作業をしていても、給料は全然違う。ましてや、技能実習生の賃金は驚くほど低いのだ。
そして、そのような奴隷制まがいの制度を使わないと存続できないような産業は、小手先の延命策ではなく、抜本的な改革が必要なんじゃないのか?それは痛みを伴うだろうけれど、何時までも避けて通れる問題ではないんじゃないのか?
この日本社会に渦巻く根深い矛盾が、今回のヤギ盗難事件の奥には横たわっているように、俺には思える。

読者諸君、失礼する。俺は果たして考えすぎだろうか?けれども、俺はこの日本が、奴隷制度の上に豊かさを享受するような国であっては欲しくないな。

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