2014/12/16

Post #1350

Swayambhunath,Kathmandu,Nepal
俺の大好きな金子光晴の本の一節から。

『日本人の美点は、絶望しないところにあると思われてきた。だが、僕は、むしろ絶望してほしいのだ。(中略)しいて言えば、今日の日本の繁栄などに、目をくらまされてほしくないのだ。
 そして、できるならばいちばん身近い日本人を知り、探索し、過去や現在の絶望の所在をえぐり出し、その根を育て、未来についての甘い夢を引きちぎって、すこしでも無意味な犠牲を出さないようにしてほしいものだ。
 絶望の姿だけが、その人の本格的な正しい姿勢なのだ。それほど、現代のすべての構造は、破滅的なのだ。
 日本人の誇りなど、たいしたことではない。フランス人の誇りだって、中国人の誇りだって、そのとおりで、世界の国が、そんな誇りをめちゃめちゃにされたときでなければ、人間は平和を真剣に考えないのではないか。人間が国をしょってあがいているあいだ、平和などくるはずもはなく、口先とはうらはらで、人間は平和に耐えきれない動物なのではないか、とさえおもえてくる。』
(金子光晴『絶望の精神史』講談社文芸文庫刊)

読者諸君、失礼する。俺たちには絶望が足りない。

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