2015/03/12

Post #1436 漢の食卓

漢の食卓。もちろん立ったままで。
ここんとこカミサンが出張に行っているので、誰も俺に餌をくれる訳ではない。
作ろうと思えば、食事を作るのは訳ないことなんだが、どうにも自分ひとりのために、夜勤明けの寝ぼけ眼で何か作る気にもなりはしない。
いや、本当だぜ。うちのカミサンはかつて一年ほど首都圏に単身赴任していたくらいだ。その間も俺はなんとか生き延びたんだ。もう20年近く前の話だが、洋風居酒屋の厨房で働いていたこともある。

『すきや』だとか『なか卯』だとか『吉野家』だとかに行けば、何らかの食い物にはありつけるが、心満たされるわけでもない。アレはまるで、ガソリンを給油するような味気ないものさ。
いずれにせよ、ひとりの食事は、侘しいものだ。

だから勢い、コーヒーとフランスパン、そしてオレンジを一つ。そんな食事になってしまう。
道理で痩せてしまうわけだ。
俺の腰回りは、18歳の頃と変わりないくらいさ。
もちろん、皿など使わないぜ。
俎板が皿代わり。流し台の前で立ったまま食べるんだ。
漢の食卓だからな。行儀が悪いと叱られることもない。
こう見えても、ガキの頃は、食卓で肘をついただけで、母親に物差しでぶたれるほど厳しく躾けられていたんだがな。
かつてのリトルジェントルマンも、堕ちるところまで堕ちたものさ。

そういえば、写真家の森山大道が80年代にパリで暮らしていた時も、こんな食事ばかりだったと読んだ覚えがある。

ふと、独りさみしく暮らしている人たちの食卓は、どんなものだろうかと思いを馳せる。
心の中に、心当たりのひとを何人か思い浮かべてみる。
誰もみな、大切な人ばかりだ。
その人たちの食卓は、もっと侘しいものなのだろうか?
それとも、その人たちすら、眉をひそめるような俺の食卓なのかしらん?

もし君が、独りで食事をするのにうんざりしてるんなら、どうだろう、僕と一緒に食事をしないかい?

読者諸君、失礼する。君と一緒に食事をしたら、きっとお互い楽しい食事になるだろうな。

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