2012/09/03

Post #616 君子三日会わざれば刮目して見よ!

HomeTown
久々に、古い友人に会った。3年ぶりくらいか。
男子三日会わざれば刮目して見よというけれど、ここ3年で20キロも太っていやがった。一瞬どこのおっさんだよと思ったくらいだ。
余りに急激に太ったもんだから、脂肪によって横隔膜が押し上げられ、肺が圧迫されて縮んでしまったそうだ。そんな阿呆らしいことがあるものかどうか、俺は知らんが、実際にそんな話が納得できるほど太っていやがった。
俺がそんなに太ったら、誰か俺を屠殺場に連れて行ってくれ。俺の自意識はそんな醜態をさらすことに耐えられそうにないからな。
もっとも、旨い肉ってのは、脂肪だけじゃだめなんだけどね。脂肪と筋肉が適度に混じった肉がジューシーで旨い。松坂牛を見よ!人間で言えば、プロレスラーのような身体か。痛風患者の肉食男子たる俺が言うんだから間違いない。
ただのデブじゃ、脂肪から石鹸を作るくらいしか用途はなさそうだ。これは俺が適当に言ってることじゃなくて、20世紀の前半にドイツ人がユダヤ人やロマ人を相手に実験をした実例がある。奴等は髪の毛も潜水艦の断熱材に利用していた。まったく、合理的とは怖ろしいものだ。
なに、人を喰ったことがあるのかって?
大岡昇平か佐川君じゃあるまいし、あるわけないだろう?
もっとも、人を喰ったような発言なら、しばしばしてるけれどね。
読者諸君、失礼いたす。

2012/09/02

Post #615 かつて、ある日曜日に

かつて、香港に旅行した時のことだ。
ある日曜日、九龍半島の觀塘の碼頭からフェリーに乗って香港島にわたった。
そこはどこかうらぶれた港町だった。地下鉄を降りて、碼頭までの道すがら、人の姿を見ることも少なく、港湾エリアによく見られるような倉庫が立ち並ぶ、どこか殺風景な港町だった。
フェリーに乗り込むと、乗客もまばらだった。俺はいかにも遠くまで旅に来たという思いに満足していたんだ。
フェリーは觀塘と北角を結ぶ。この北角の碼頭を降りると、そこには海港道という庶民の市場があるはずだった。俺はそれを見にゆくつもりだったのだ。
しかし、田舎くさい港を降りるとそこには、多くの女性が集まっていた。
NorthPoint,HongKong
中華系の人々ではない。南方の人々だ。なかには頭にスカーフを巻いている人もいる。イスラム教徒だろう。すべて女性ばかり。聞きなれない言葉で世間話に興じているのだ。コンクリートの打ちっぱなしの床に敷物を広げ、弁当のようなものを囲んで、数人のグループに分かれてお喋りを繰り広げている。きっと、出身地が同じ者同士が寄り集まり、親類縁者の話題に花を咲かせているに違いない。その声は、まるで無数の鳥がさえずっているようだった。
遠景に強い日差しにさらされた香港島の中心街にそびえるビル街が見える。しかし、ココはまるで別世界だ。東南アジアそのものだ。
NorthPoint,HongKong
俺はこの風景を目にしたとき、いったい何が起こったのかよくわからなかったが、その日が日曜日だったことに気が付いて腑に落ちた。
出稼ぎメイドに来ているインドネシアの女性たちが、日曜日に休みをもらい、ココに集まってきて、同郷の仲間たちとひと時の歓談を楽しんでいるのだと。
それは、どこかさびしくもあり、それでいて心温まるような風景だった。今日も北角碼頭には、何百人ものインドネシア人の女性たちが集まり、にこやかな笑みを浮かべ、故郷の言葉でさえずるように話し合っていることだろう。
ふと、出張先の港町で、そんな過ぎたある日曜日の風景を思い出したんだ。それだけのことさ。

2012/09/01

Post #614 我に九月を

Kyoto
八月も終わりだ。やっと九月になった。子供たちの夏休みも終わりだ。今年は9月の頭に土日が入るので、何だか夏休みのロスタイムのようだ。
俺にとっての八月は、苛酷な仕事が前半と後半にみっしりだった。そんな仕事にカツサンドのカツのように挟まれて、10日間の旅行といった格好で、俺の43歳の8月は埋め尽くされた訳だ。
もうずいぶん、家を空けている。そろそろ帰りたい。
もうそろそろ、フィルムの現像が上がってきているだろう。帰ってフィルムを受け取り、クソ暑い暗室でプリントしたいんだ。確かにこの時期、クーラーの無い暗室作業は殺人的な暑さが付きもんだ。構わないぜ、どうせ今の現場は毎日サウナに入っているかのように暑いんだ。毎日熱中症寸前だ。大きな窓から陽の光はさんさんと差し込むが、風は通らない。窓は開かないのさ。もちろん、クーラーなんか工事中だから入っちゃいない。一日中、汗をかきながら働いているんだ。毎日の疲労は並じゃない。誰か犠牲になって、熱中症で死んでしまわない限り、この状況は改善しないことだろう。
冗談じゃない。俺はウェストがすっかりすっきりしちまった。ダイエットにはもってこいだ。このままじゃ、真っ先に俺が犠牲になっちまうことだろう。今のうちに香典を集めておくことにするぜ。君も一口どうだい。
そりゃ飯を食うためには、仕事をして稼いでいかねばならない。しかし、俺の人生の限られた時間は、刻一刻と削り取られている。人生は長いようでいて、いつどこから剣が差し込まれるかわからない黒ひげ危機一発のようなものだ。何時時間切れになるか分かったもんじゃない。時間はないんだ。毎日まいにち冷汗脂汗で、熱中症寸前になるまで働くなんて、こんなことやってられないぜ、まったく。
他人はどうだか知らないが、俺の人生にはもっと重要なことがあるんだ。
そう、プリントだ。
暗室が暑くったって、構うもんか、誰の眼も気にせずパンツ一丁でやってりゃいいんだからな。
まだ、プリントしていないネガは山ほどある。俺のこの多忙な生活で、それをすべてかたずけることができるのか、いささか不安になってくるというもんだ。だから、こんな仕事ばかりしている場合ではないんだ。
我に九月を、芸術の秋を与えてくれ。そうしたらきっとまた、スゲーのを君たちにお送りするよ。間違いないぜ、約束するさ。出来ることなら、もうちょっと涼しくなってはくれないかな・・・。
失礼する。