| 宇和島の商店街 |
俺が行った日がたまたま商店街が休みの日だったのか、それともとにかくどの店も閉店状態のシャッター銀座なのか。
たった一日しか見ていない俺には、判然としない。
町を歩き回っても、小さな町ではすぐに寂れた街角になってしまうのだが、立派な商店街にも人影はまばらだった。俺の住んでる町以上だ。似たようなもんだし、よく見りゃ同じようなアーケードなんだけどな。
じつは、仕事で日本のいろんなところに言った経験からすると、どこも地方はこんなもんだ。
かつては人でにぎわっていたであろう商店街はシャッターが閉まっているばかり。昔の写真を見ると今では信じられないほどの人々が歩いていた辻々では、猫が日向ぼっこをしているだけだ。人々は車に乗って通り過ぎるだけ。産業がないところからは若者は蒸発し、老人だけが取り残される。戦後の産業構造の変化と、東京をはじめとした大都市への人口集中を止めることはできない。
かつての半自給自足的な経済構造が破棄され、日本全国津々浦々、世界的な自由経済に組み込まれてしまった以上、産業のないところでは自足した生活を営むことはできない。
俺たちは、デュルケームが説いたように社会という巨大な機構の歯車として生きるしか道はないのだ。
俺はそんなことは全く考えず、ケニーからの連絡を持ちながら、グーグルマップでご当地グルメを探しながら歩いた。酔っぱらって宿に帰れなくなるのは困るから、素面のうちに土地勘をつかんでおかないとな。
そうこうしているうちに、連絡が来た。どこにいる?というんで、商店街の信用金庫の前に座っているよと伝えると、すぐにそっちに行くということだった。
俺はぼんやりと、カラオケから所在なさげに出てきた高校生くらいのあんちゃんたちの退屈しきった姿を眺めながら、こんなところでケニーはいったい何をやってるんだ?とぼんやり考えていた。
そうこうするうちに、なんとなく見覚えのある顔の男が、ママチャリにのってやってきた。
「おう」
俺は35年ぶりに会うにもかかわらず、つい先週も一緒に飲みに行った地元のツレのような感覚であいさつした。まるでタイムマシンだ。
「おう、久しぶり」ケニーも似たようなもんだ。もう少しお互い、感極まってもいいんじゃないか?まぁ、いいおっさんが二人して感極まってるのも気持ち悪いが。まったく、少年老い易くなんとやらだ。
お互いに、すっかりおっさんだ。浦島太郎だぜ。
次回に続く。

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