2026/09/03

POST#1958 新しい本を買うと、新しい知見が広がる

那覇 分岐点
ここんとこ、金利3%の話をしていただろう。

大体、標準的な経済の成長の目安がこの数字、年率3%から5%だ。

しかし、年率3%で20年成長したり、20年お金を借りていると、資産はほぼ倍になり、負債はほぼ倍になる。これが富裕層が益々富み栄え、負債を抱えている庶民がいつまでたっても富裕になれないからくりの一つだ。

この基準ってのは、もともと地主が土地を貸していた時の年間所得をもとに標準とされているんだ。要は、一年間その土地を借りると、土地代金のおおよそ3%から5%を支払うことになるという慣行だ。

これが金融の仕組みにそのままビルトインされたってわけだ。

この辺りのことは、トマ・ピケティの『21世紀の資本』や『資本とイデオロギー』などを読むと詳しくわかる。まぁ、資本主義って大きなシステムは、資本家が富み栄え、庶民はいかさぬように殺さぬようにカツカツやっていくというように設計されているということだ。まるで徳川幕府のようだが、そんなのよりもさらに巧妙だ。

この世界に、ほかの道はないのか。俺は思案に暮れる。

さまざま思案した末に、イスラーム金融論に関する本を買って読んでみることにした。名古屋大学出版会刊行 長岡慎介京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 教授の書いた『現代イスラーム金融論🔗』という硬派な本だ。ビックテック企業のAmazonではなくて、近所のくまざわ書店にe-hon🔗で注文して取り寄せたんだ。近所の本屋さんの利益になってほしいからね。近所の本屋さんがなくなると、その地域から知の前線基地が消える。知の前線基地が減ると、ますますみんな阿呆になっていく。だから地域の本屋さんを応援しないといけない。

イスラム金融は古くから、イスラム法にのっとって、利子を取ることを禁じていた。

これは、中沢新一が述べているように、一神教と深く結びついているという見方もある。キリスト教圏で発達した近代金融は、神と子=イエスキリストの間に増殖してゆく精霊とい存在を置いた。この精霊が増殖することが、資本の増殖へと援用されたという見方だ。

一方で、同じイスラム教では神と預言者ムハンマドの間に、精霊のような存在は考えられていない。融資は相互の信頼と一種の喜捨=イスラム教徒が行うべき善行の一つとしてとらえられている。

イスラム教というだけで、拒否感を示す人々は多い。しかし、それは人間を記号に還元する愚かな行為だ。その意図するところを現代的な意味を知りたいと思ったのさ。

見れば見るほど、知るだろう。

知れば知るほど、わからなくなる。

わからなくなるという、森の中を歩くような感覚を愉しみたいのさ。


 

2026/09/02

POST#1957 労働者の皆さんに、素敵なニュースだ!

愛知県一宮市
今朝の朝日新聞の経済面にちょいっと載った記事は、あっさり書かれていたが呆れるような内容だった。

悪いが引用させてもらおう。『利益最高でも働き手の分配率は五年連続で低下🔗』だ

2025年度の法人企業統計調査で、金融保険業をのぞく全産業の経常利益が前年度より8.8%増え、過去最高を更新した。売上高(1.6%増)と設備投資額(4.3%増)も過去最高。人件費も2.6%伸びたが、企業が生んだ付加価値に占める割合(労働分配率)は5年続けて下がり、1973年度以来の低水準になっている。

 財務省が1日に発表した。金額では、売上高は1720兆2560億円。経常利益は124兆8313億円。いずれも比較可能な1960年度以降の最高値を5年続けて更新した。

 業種別では、情報通信機械や電気機械が大幅な増益だった。事業の効率化やAI(人工知能)、データセンター向けなどの需要が押し上げているという。飲食などのサービス業や建設業も利益を増やした。食料品は価格改定の効果などで売り上げを伸ばしている。

 設備投資は全体で57兆8999億円。化学や生産用機械で、半導体関連や医薬品の生産能力増強の投資が押し上げた。不動産業や電気業でも伸びが目立つ。

 一方、従業員や役員の給与・賞与に福利厚生費を加えた人件費の合計は235兆2869億円。営業利益ベースの付加価値に占める比率は63.0%で、前年度の64.2%を下回った。』

これだけ物価が爆上げしている以上、企業の利益が爆増するのは容易に推測できるだろう。

で、労働分配率は5年連続で低下?

まるでマルクスの19世紀だな。誰もこの理不尽に声を上げないのか?

資本に任せていても、資本は自己増殖を繰り返すだけだ。

政治が動くべき時だが・・・我が国の政権にその意思も力もないな。残念ながら。

彼らはいわゆる国論を二分するような課題にしか興味がないからね。 ふざけるな!

蛇足のようだが 最後に一言言わせていただこう。 人間のために資本があるのであって、資本のために人間があるのではないはずだ。

 

2026/09/01

POST#1956 日本国債の長期金利が値上がりした。

チェンマイ、タイ
国債の長期金利が3%に値上がりした。インフレの処方箋の定石としては、金利を引き上げて、市場の資金調達の意欲を押さえ、経営者のアニマルスピリットに水を差すことにある。

しかし、これは単に金利が上がったという見方は正解じゃないだろう。金利が上がると、国債の調達は楽になるが、利子率が割高のローンで、国は借金=国債を借り換えることになるだろう。

そうだとすれば、対ドルベースでの円安はますます続く可能性もあるな。なぜって、実質的な円の価値が安くなればなるほど、国債残高は圧縮されていくからだ。これは、太平洋戦争後に、国の経済基盤が崩壊しているところに悪夢のように積みあがっていた戦時国債を償還するために、円の価値を下げ、円を切り上げたことを思い出させるな。考えすぎだといいんだけれど。

3%の国際利率というのは、実に30年ぶりの水準だそうだ。この30年で、円の価値は対ドルベースで半分ほどに落ち込んだ。30年前の3%とは、意味合いが違うだろう。

日本国債への購入意欲をくすぐるために、金利国債金利が上昇すると、これに歩調を合わせるように、各種金利も上昇していくだろう。

しかし、イランとアメリカの軍事的な衝突やアメリカと中国の政治的緊張によるコストプッシュ型のインフレ局面に、この国債利率の上昇がどのようなブレーキをかけうるのか、未知数だ。

そして、長期金利は値上がりしても、食料品や原材料の値段が値上がりしても、給料は上がらない。上がるのは売り手市場の若者の初任給だけで、おっさんの給料は上がらない。だれしも将来性を削って、未来への可能性を日々擦り減らしながらおっさんになっていくのだ。これがこの世の中の無情さ。

俺たち庶民には、今日より明日がよりマシな一日になるかどうか祈ることしかできないのさ。

家のローンの金利が上がったら、ちょっと嫌だな。