2026/07/19

POST#1912 エルサルバドルの向こうにうっすらと中世日本が垣間見えるのは老眼のなせる業か?

ベトナム、ハノイ
じゃぁ、思考実験を続けていよう。ご存じの通り、俺はねちっこいんだ。 

いいですか? まず、皆様に大人気の限定2100万枚のビットコインを、分割、分割、分割して、スマホで現金に変換するというわけだ。

そうすることによって、それをブロックチェーンで計算していく。何しろこの計算こそが、このビットコインの価値を担保してるんだからね。これをマイニングっていうんだろうけど、このプロセスはとんでもなく膨大なエネルギーを消費すると思うんだ。

地球温暖化だなんだって、ずっと揉めているのに、電力はこれでバンバン使われている。全世界の電力需要の0.5パーセントくらいが使われていると見積もられているらしい。

このコストは、実際に通貨として使える金額をはるかに上回ってしまうのではないだろうか?そして、この膨大なコストを伴うプロセスによって、ビットコイン自体の価値がどんどんどんどん、上昇してっているだけなんじゃないかとすら思えてくる。

ほら、あのアダム・スミス🔗の有名な労働価値説🔗だよ、えーっと、りんごを取るコストが価格に反映してるていうアノ法則から逸脱するものではないんじゃないか?

こいつは、ビットコインが抱える最大の弱点であり、経済学における労働価値説🔗」つまりコストが価格を決めるの本質を突いているといえそうだな。

「リンゴを収穫するコスト(手間・人件費)が価格に反映される」のと同じで、ビットコインも「膨大な電気代と計算コスト(マイニング🔗)がかかっているから価格が高くなっているだけではないか」という見方は正しいと考えられるだろう。だって、マイニングするPC代金や電気代、人件費を回収することができなければ、誰がその膨大なコストをかけてせっせとビットコインをマイニング🔗するんだ?人はただでは指一本動かさないと話したよね。

この「莫大なエネルギー消費」と「通貨としての実用性」の矛盾について、経済学と技術の視点から考えてみるかい?OK、Ready GO!

1. 「ジュースを買う決済」に使うのはコスト的に不可能

ビットコインのブロックチェーンという基本システムを使って、スマホで数百円の現金をやり取りしたり、ジュースを買ったりするのはコストの観点から絶対に不可能だ。

昨日の話とは切り口が違うけれど、それはコインの裏表。じゃぁ、今日の理由は何かって?ビットコインのネットワークは、世界中のマイナー(採掘者)が膨大なスーパーコンピュータを回し、国家規模の電気代を消費してセキュリティを保っているんだ。あぁ、マイナーといっても、メジャーの反対のマイナーじゃないぜ。採掘、つまりマイニング🔗をする人さ。

ニールヤングの名曲『Heart Of Gold』にも出てくる穴掘って金を探してる鉱夫さ。もっとも、この曲とは探してるものの性質が正反対だけどな。

てことは結果的にどうなのよ。まったく割が合わないってことだ。
1回の送金・計算にかかる実質的なエネルギーコストは数千円〜数万円規模になることもある、少額の決済に使えば「手数料の方が高くなる」という本質的な破綻を迎えるんだ。昨日の話のトイレットペーパー1ドルに手数料1ドルかかるなんて話は、如何になまっちょろい話だったかということだね。

2. 「リンゴのコスト」が価格を支える限界

経済学の視点から見ると、ビットコインはまさに「莫大な電気代」というコストが価格の下支えをしているわけだ。

そのからくりとしてはこういうことだ。マイナーは、電気代よりもビットコインの価格が安くなってしまうと赤字になり、現実世界で破産することになる。この破産は、仮想じゃないところがミソだ!
じゃ、現実的な解としてはどうするか?
仕方ないな。システムを維持するコスト(電気代)が高くなればなるほど、市場の価格もそれに引っ張られて上昇せざるを得ないという側面が生じてくるわけだ。こいつはアダム・スミスが描いた実体経済の「モノの価格」と全く同じ構造だ。
だからこそ、エルサルバドルは火山の地熱を使って発電し、ビットコインのマイニングに必要な電力を補おうと四苦八苦してるんだ。

3. だからこそ「通貨」ではなく「デジタル・ゴールド」になった

このエネルギー問題があるため、ビットコインは「日常的に使う通貨」になることが完全に出来なくなったわけだ。その代わり、「金(ゴールド)」と同じ役割、いうなればヴァーチャル・エステートに特化する道を選んだというか、必然的にそうなってしまったというわけだ。

金(ゴールド)とビットコインの共通点はなにか?
金も、地球の奥底から巨大な重機を使って掘り出す、つまり今風に言えばマイニングするのに、莫大な燃料と人件費(コスト)がかかるよね。そもそもの希少性に加えて、その莫大なコストがかかっているからこそ、世界中で価値があると認められているわけだ。

ビットコインも構造的にはまったく同じだ。
マイニングと呼ばれるブロックチェーンの暗号計算をするのに、莫大な資本とエネルギーが必要になる。こんなのを使って、コンビニでポテトチップスとカップヌードルを買おうもんなら、手数料のほうがはるかに高くつくわけだ。
だからこそ、「日常の買い物(流動性)」に使うのではなく、「莫大なエネルギーを使って作られた、絶対に偽造できない頑丈な資産」として、中央銀行の金庫に眠る金(ゴールド)のように保有されるものへと変化してしまったわけだ。
それを法定通貨にしようって、とち狂ってるとしか思えないよ。
せめて金本位制みたいにビットコイン本位制とかにしとけばよかったんだろうな。それでも価値は乱高下するから、ビットコイン本位制は危なっかしくて成り立たないな(笑)。

つまり、ビットコインは「少額でスマホでサクサク使う通貨」としては、エネルギー効率が悪すぎて完全に失格でござーます(笑)。

2026/07/18

POST#1911 救世主はどこにいるんだ?!もうババ抜きにはうんざりなんだ

 

Thailand、Bangkok

昨日も話したエルサルバドルや中央アフリカの話は、もうちょっと深掘りしてみると面白そうなんで、掘ってみることにするかな?

社会的にデジタルインフラの普及や、社会資本の蓄積が十分でない社会でビットコインを『法定通貨』にするというのは、あまりにも無謀でリスクが大きい話だと思うんだ。

まず第一にデジタル弱者の人たちが、価値の交換手段を喪失してしまうという事態が容易に想像されるんだ。

こいつは単なる技術的な問題ではなく、人権や生存権に関わる極めて深刻な構造的欠陥だといえないか?俺はうちの近所の戸松さんご夫妻(御年80代後半)が、ビットコインで買いものするなんて想像できないよ。

情報インフラやWEBリテラシーが十分でない社会で、ビットコインを無理やりに法定通貨にすることは、「デジタル弱者を社会の経済活動から完全に排除する」という最悪の結果が来ること120%間違いない。とんでもなく無謀で、とんでもなくリスキーなんだ。


1. 「生存のための交換手段」の喪失

ちょっと想像してみてほしい。デジタルインフラやスマートフォンなどの端末を持たない、あるいは使いこなせない人々にとって、決済手段がデジタルのみ(あるいは推奨)に移行することは、命に関わる死活問題だ。とりわけ、こういったデジタル端末を持っていない人は、持ちたくても持つ経済的な余裕のない人である場合もあるだろう。また、新しい技術についていけないという人もかなりの割合でいるだろう。

近所のスーパーのセルフレジキャッシュレス専用で途方に暮れている老人を見たことがあるだろう?まさにあの光景が、全国的に広がるわけだ。君なら、どうする?

日常の売買からの排除
 エルサルバドルでは法律(ビットコイン法第7条)で「すべての経済主体はビットコインによる支払いを拒否してはならない」と定められたそうなんだが、露天のおばちゃんやおじちゃんはどうなるんだ?
もしこれが厳格に運用され、現金(米ドル)の流通が滞れば、スマートフォンを持たない貧困層は農作物や日用品を売ることも買うこともできなくなるだろう?
いやいや、やばいな。
基本的人権の侵害
国家が認める「交換の手段」にアクセスできないということは、市場から強制退場させられること意味してるわけだ。つまりこれは、デジタル弱者は資本主義社会からオミットされるだけでなく、生存権を脅かされることでもあるんだぜ。
これは経済的な格差を広げるだけでなく、生存そのものを脅かす暴力的な政策じゃないか?
まったく、エルサルバドルって、THE 救世主って意味なんだけど、まったくどんな救世主だよ?!

2. 「社会的共通資本」の圧倒的な不足

ビットコインを日常的に使うためには、国家規模で膨大な「社会的共通資本」つまりインフラが必要だろう。どこでもつながる通信網、WiFi環境、停電したりすることのない送電網とか、そういった俺たち日本人が当たり前に享受してるインフラだ。

しかし、この手の破綻・脆弱国家にはこれが決定的に不足しているってのがお決まりのパターンだ!どうするんだよ?

電力と通信インフラの脆弱さ
中央アフリカ共和国のインターネット普及率はわずか数%、電化率も10数%程度だった。

電気が通らず、電波も届かない村でデジタル通貨を法定通貨に指定すること自体が、現実を無視した机上の空論であったことは明白というか、はっきりいって狂ってるだろう。
そんなあほなことを発想してるから、いつまでたっても破綻国家に甘んじることになるんだ。
高額な手数料の壁
ビットコインは取引や送金のたびにネットワーク手数料がかかる。当然だ。
君も、世の中の人間は、タダでは指一本動かさないと思っておいた方がいいぜ。
これが何を意味するかといえば、ネットワークが混雑すると、数ドルの買い物を補うために、それを上回る手数料が発生することもあるってことだ。
例えば、1ドルのトイレットペーパーを買うのに、手数料が1ドルかかってたら、実質購買価格は2倍ってことになるだろう?
資本の流動性が、がくっとおちること間違いなしだ。ビットコイン自体はインフレーションしなくても、実際に物を買うのに手数料込みの金額になることで、モノの実際の単価はインフレーションしてしまうからだ。
これは、キツイ。日本人でもきついだろうが、1日の生活費が数ドル以下の破綻国家の貧困層にとって、いくらお上がこれを使えって言ったところで、ビットコインは実質的に「使ってはいけない通貨」になっちまうよな。
そうなると人々は物々交換でしのぐか、日常的に流通する、非公認のトークンを生み出して、自主的に流通させることで経済を回していく必要が生じるよね。
生きていくためには知恵を絞らないといけないんだ。

3. 「価値の保存」すらできない価格変動

弱者にとって最も残酷なのは、ビットコインの激しい価格変動(ボラティリティ)だ。

資産の目減りという恐怖
今日、一ヶ月分の食費に相当するビットコインを持っていても、明日その価値が20%暴落すれば、明日の食事を諦めなければならなくなるよな。
もし君が富裕層で、当面の暮らしに差支えがないのなら、「今は我慢の時。長期的には値上がりするはずだから、欲しがりません勝つまでは!」とビットコインの保有を続けられるかもしれないけれど、俺のようにその日暮らしの弱者にはその猶予は、まったくない!
君なら、どうする?
略奪的な構造
結果として、価格変動リスクを負えない弱者=貧乏人はビットコインをすぐに手放し、リスクを許容できる富裕層や外国の投資家だけが利益を得るという、構造的な富の吸い上げ(搾取)が発生するだけだ。まさに逆流した富の再分配だ。
しかも、この富裕層の懐に溜められたビットコインは、流動することがない。
なぜって、この人たちはビットコインを塩漬けしておけば、その希少性から(世界中の欲の皮の突っ張った連中が幻想を抱いているうちは)最終的には価値が上がると確信している欲の皮の突っ張った連中の一員だからだ。
さらに言うと、こうした失敗国家の国民のほとんどは、残念ながら失うものは命と鎖しかないというほどの貧乏人だったりするんだ。

結論:国家の責任放棄

MMTの観点から見ても、国家の本質的な役割の一つは、「すべての国民が安心して経済活動に参加できる共通のインフラ(信頼できる通貨)を提供すること」に他ならないはずだ

社会的な富の蓄積とインフラの整備が不十分なままでビットコインを導入することは、ずばり、国家としての責任を放棄し、国民(とりわけデジタル弱者や貧困層)を情け無用な弱肉強食な市場という、万人の万人に対する闘争の修羅場に、裸一貫で放り込むという「極めて無謀で、実験的な暴挙」であったと言わざるを得ないわな。

皆の衆、日本に生まれてラッキーだったな。

だからこそ、中央アフリカはすぐに撤回し、エルサルバドルも義務化を事実上取り下げざるを得なかったわけだ。てか、そんなことぐらい、ちょっと考えたらわかりそうなもんだけどな。まったくどうかしてるぜ。

2026/07/17

POST#1910 現代貨幣理論でビットコインを解剖してみようぜ!

ハノイ

近年、賛否両論巻き起こしている経済思想がある。

現代貨幣理論🔗すなわち、MMT🔗だ。

こいつはさかのぼれば金本位制🔗全盛の今から100年ほど前に考え出された、クナップ🔗貨幣国定説🔗にまでさかのぼるだろう。

MMT🔗では、通貨の価値を生みだす源泉は、それが税金として支払うことができるというシステムに依存していると考えられているんだ。これは昨日の末尾でも少し触れたね。

この観点から見ると、ビットコインで税金を支払うことはできるだろうか?

結論から言えば、MMT(現代貨幣理論)の「租税貨幣論」の観点から見ても、一部の特例的な国や地域を除き、原則としてビットコインで直接税金を支払うことはできないんだな。

MMTの根幹にある「租税が貨幣に価値を与える」というロジックと、ビットコインの現状について、以下の3つのポイントに分けて考えてみよう。


1. MMT(租税貨幣論)における「通貨」の定義

MMT🔗では、国家が通貨を発行し、その通貨による「納税の義務」を国民に課すことで、初めてその通貨に強制的な価値が生まれると考ている。

政府が認めた通貨のみ
政府は「法定通貨(日本なら日本円、米国なら米ドル)」でのみ納税を認めるわけだ。
貨幣の価値の裏付け
 国民は「税金を払わないと処罰される」ため、必死にその法定通貨を手に入れようとするって算段だ。これが、ただの紙切れやデジタルデータに価値が生まれる原動力になるんだ。

2. ビットコインで税金が払えない理由

このMMTの観点に基づくと、ビットコインが「真の通貨」になれない理由が明確になるんだ。

政府が受取を拒否している
 ほとんどの国家(日本、米国など)は、ビットコインでの直接納税を認めていない。
日本円への換金が必要
 ビットコインで得た利益(決済や売却)に対して税金は課されるんだけれど、これを税金として納める際は必ず「日本円(法定通貨)」に換金して支払う必要がある。
ビットコインには価値の担保がない
そもそもMMTの視点では、政府が「ビットコインで税金を受け取る」と宣言しない限り、ビットコインは国家に裏付けられた「通貨としての真の価値」を持つことができないんだ。

3. 【例外】ビットコインで納税できる国や地域

ただし、世界の一部ではMMTの枠組みを揺るがす、あるいはそれを逆手に取った例外的な動きが存在することも付言しておかないと不公平だろう。

法定通貨化している国
エルサルバドルや中央アフリカ共和国のように、ビットコインを「法定通貨」として採用した国では、ビットコインでの納税が理論上・システム上可能ではある。
なかなかチャレンジャーだろう?
しかしそれにはそうせざるを得ないだけのにっちもさっちもいかない現実があるんだ。それは後で話そう。

地方自治体の実験
 スイスのツーク州やルガーノ市、米国のコロラド州など、一部の先進的な地方自治体では、納税者がビットコインを支払うと、仲介業者が即座に現地通貨(スイスフランや米ドル)に自動換金して役所に届くシステムを導入しているんだそうだ。

MMT観点からの総括

MMTのレンズを通して見ると、ビットコインは「政府から納税手段として指定されていない」ため、現段階では通貨ではなく単なる「民間の投機的資産(商品)」に過ぎないとみなさざるを得ないだろう。
国家がビットコインを納税手段として全面的に認めない限り、MMT的な意味での「真の通貨」としての地位を獲得することはないといえるだろうな。