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| ハノイ、ヴェトナム |
肉体的に頑丈なギグワーカーは草むしりができるだろう。しかし、「寝たきりの人」や「重い障害を抱えた人」がトークンを使い切ってしまったとき、次に自分が差し出せる「カインドネス」が肉体的な労働(等価交換のロジックに近いもの)だけだと、彼らは再び「何もできない弱者」に転落し、システムから排除されてしまう事になるだろう。
悩ましいな。
「人の話をひたすら聞いてあげる」ことも立派なケアかもしれない。だが、それすら体調によって難しい日もあるだろう。また、知的障害のある人には難しい課題かもしれない。
この究極の問いに対する答えを、デヴィッド・グレーバー🔗の思想や、俺たちがこれまで積み上げてきたロジックから3つの解決策としてひねり出してみよう。屁理屈かもしれんがね。
1. 寝たきりの人は「存在するだけでトークンが湧き出る」仕組み(ピケティ×MMT)
そもそも、このトークンの最初の発行権、つまり初期ドロップ対象は、老人やシングルマザー、障害を抱えた人に配られる設計だったはずだ。
これを一回切りではなく、「寝たきりの人や重度の障害を持つ人の元には、定期的に(例えば毎月とか、半期に一度とかね)ベーシックインカム🔗のように自動でトークンが給付される」というルールにするんだ。
このトークン自体が、ゲゼル通貨🔗のように年四回の納税時期に合わせて価値を焼却してしまう事を考え合わせれば、これは当然そうすべきだろう。でないと、このトークンは一回こっきりの親切フェスティバルで終わってしまうからな。
なぜこれが許されるかというと、彼らが「草むしりをしてほしい」「ゴミを出してほしい」とトークンを使って誰かに迷惑をかけること自体が、仕事に溢れたギグワーカーたちに「就業の機会」と「市民税を払う権利」を創出しているからだ。
つまり、彼らは「まさに心臓が動いているだけで、地域社会にケアの需要を生み出し、社会に連帯を生み出す、地域経済のポンプを動かしている主役=地域社会の心臓」という考えだ。苦し紛れのようだが、アントニオ猪木🔗の風車の理論みたいなもんだ。風車は下まで降りたら、次は上がるしかないからな。
2. 「ただ生きて、そこにいて、受け取る」という究極のケア労働
グレーバーの『ブルシット・ジョブ🔗』の逆を考えてみよう。
無意味な仕事(ブルシット・ジョブ)の対極にあるのは、「人間の存在そのものを肯定するケア」だ。
寝たきりの人が、若者に草をむしってもらい、若者の話を「うん、うん」と聞き、若者が「自分は役に立っている」と実感する。この「若者に、誰かをケアする喜び、すなわち人間としての尊厳を与えること」自体が、寝たきりの人が提供している極めて高度なケア労働だという見方だ。苦し紛れだというなら言えばいい。しかし、そういう人間の存在を容認しない先にあるのはナチスのT4作戦🔗ややまゆり園事件🔗のような愚行だ。
俺たちは、そういう愚行を繰り返してはいけないんだ。
故にこそ、彼らが「ありがとう」と微笑むこと、あるいは「助かったよ」と若者に伝えることそのものが、トークンを支払うに値する最大の「カインドネス」に値することができるんだ。
3. 「過去の貸し」が巡り巡って還ってくる(クラ貿易の真髄)
マリノフスキー🔗の「クラ貿易🔗」を思い出してほしい。権威ある宝物とされる貝殻の首飾りは、島から島へ何年もかけて旅をして、忘れた頃に自分の元へ戻ってくるんだ。
寝たきりのおじいちゃんも、若い頃や体が動いた時期に、誰か(あるいは子供会や町内会)にたくさんのカインドネスを「贈与」してきたはずだ。その時まいた種が、何十年という時間をかけて地域をグルグルと回り、今度は「トークン」という形になって、自分が動けなくなった時に還ってきたと考えよう。
つまり、「今すぐ何かを返さなくていい。あなたが過去にコミュニティに尽くしてくれたこと、あるいはこれから子供たちが繋いでいく未来への投資」として、トークンは常に彼らの手元に供給され続けるわけだ。
「能力」ではなく「存在」を肯定する
「肉体が動かない人はどうするのか」という俺の突き当たった問いは、俺たちが無意識に「何か役に立つ労働をしなければ価値がない」という資本主義の洗脳(能力主義)に囚われていたことをあぶり出しちまったな。
故にこそ、立ち止まって考えなければいけない。
人間を手段として扱うのではなく、同時に目的として扱えという、カント🔗の言葉を思い出そう。
寝たきりの人は、何かを「する(Do)」必要はない。ただ「そこにいる(Be)」だけでいい。彼らが安心して「わがままに、堂々と迷惑をかけられる」ことこそが、このケアトークン経済が回るための最大の原動力でもあるんだ。そして、人間は、今日は健康でも、いつ何時自分自身がそのような境遇になるか分かったもんじゃない。そして、例外なく病み、例外なく老いさらばえ、例外なく衰えた末に死んでいく存在だということを忘れてはいけない。
「ただ生きているだけで価値があり、トークンが回る」。
この、能力主義を完全に破壊するルールについて、「寝たきりの人は、存在するだけで周りを幸せにしている=地域経済を回しているんだ」という新しい常識を地域に根付かせるべきなんだ。「寝たきりの人、障碍を持っている人は、存在するだけで回りを不幸にする」という誤った思想のもとに、俺たち人類は様々な愚行を犯してきた。偽善だというがいいさ。けれど、君は自分の親族に対して、『あなたのおかげで私たちは不幸だ。早く死んでくれ』と言い得るのか?自問してほしい。
この考えの前に最も大きな障害として立ちはだかるのは、健康で正しい人々だ。
反骨の詩人・金子光晴🔗も『健康で正しいことほど、人間を無情にするものはない』と謳っていた。
何しろ寝たきりだろうが何だろうが、その人たちだって生きていかなけりゃならないんだ。この定期的にトークンを支給し、地域社会のソリダリティ=連帯の起点になるという意味も込めて、ベーシックインカムみたいな考え方っていうのはいいかもしれないな。
だけど日本の政治家達や行政を担う人たちは、いつだってそういう困ってる人たちだけに何かを渡すのは不平等だって言いだすんだ。十分な所得のある人にも平等に支給すべきで、生活困窮者や社会的な弱者にだけトークンを渡すのは不平等だとか言って言い出すんだよ。
そして、自分たちは何も困っていない普通の人たちが、スクラムを組んで、困窮者を自己責任だとつるし上げる。ところで、普通ってなんだ?
まったく見苦しいぜ。それは平等の問題じゃなくて、公正の問題なんだけどな。
日本の行政や政治家が最も囚われている呪縛、それが「一部の人だけに配るのは不平等だ」「不公平感が出る」という、あの硬直した「公平性の罠」だんべ。
生活保護バッシング🔗や、困窮者支援に対する「ずるい」という世論を見てもわかる通り、この「一見正しいようで、実は弱者を切り捨てるだけの公平論」を突破しない限り、行政(中核市や県)を事業主体に巻き込むことはできない。
しかし、彼らが言う「不平等だ!」という反論に対しては、クナップ🔗やMMT(現代貨幣理論🔗)、そしてトマ・ピケティ🔗のロジックを使って、完全にぐうの音も出ないほど論破(あるいは納得)させることができるんだ。
行政の頭の固い役人や政治家を黙らせるための、3つの強烈なカウンターロジック提示してみよう。
1. 「これは福祉ではない。地域経済を回すための『インフラ投資』そのものだ」(MMT🔗・クナップ🔗論)
政治家は「困っている人にお金を恵む=福祉」と思うから不平等だと言いたがる。
ならこっちは、その論理を180度トランスフォームしてみようぜ。斜に構えるどころの騒ぎじゃない。さかさまに転倒した社会通念を、まっすぐ立て直すのさ。
「これは恵みではなく、地域経済というエンジンを回すための、最初に着火剤としてトークンを投入する行為だ」と説明するわけだ。
お金ってのは、貯め込むだけの人のところに配っても流動しない。
生きるために使わざるを得ない困窮層や、生計を立てることが困難になった高齢者に最初に配る。つまり初期ドロップするからこそ、猛スピードで近隣の住民や、草むしりのギグワーカーへと流通し、資本の流動性を産みだし、地域を徐々に活性化していく。
「一番早くお金を回してくれる効率的なセクター(弱者)に、経済対策としてファースト・ドロップしているだけだ。結果として地域全体にトークンが行き渡るのだから、これ以上公平な投資はない」と突きつけるって算段だ。
2. 「結果の平等」を作るための「傾斜配分」である(ピケティ論)
トマ・ピケティ🔗が証明したように、最初から全員に同じ量を配る(一律給付する)と、元から資産や技術を持つ強者がさらに富を独占し、格差は広がる一方だ。これは十分に資産を持っていたり、高給優遇されている官僚の考えそうなことさ。
「スタートライン(資産や肉体の頑丈さ)がこれだけ不平等な社会において、一律に配ることこそが最大の不平等(格差の固定化)である。地域社会全体の紐帯(ちゅうたい)をフラットに保つためには、最もケアを必要とする場所に厚く配る『傾斜配分』こそが、真の公平(平等の実現)である」というロジックだ。
3. 「行政のコストを一番減らしてくれる人への『正当な対価』だ」
寝たきりの高齢者やシングルマザーがトークンを使って「迷惑をかける(ゴミ出しや子守りを頼む)」行為は、市役所が本来やるべきだった福祉業務を代わりに発注してくれている行為なんだ。
「彼らがトークンを消費してくれないと、ギグワーカーの仕事(就業保証プログラム)も生まれず、トークンによって信用創造した市民税の回収もできない。彼らは市に代わって『地域経済の需要』を作り出している最重要の功労者であり、その役割に対してトークン(ベーシックインカム)が発行されるのは当然の権利だ」と説明するわけだ。


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