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| Moulay Idriss,Morocco |
地の果てまで。
携帯の電波も、税務署も、そこまではさすがに追ってこないさっていうような地の果てだ。
アフリカ大陸の西岸に位置するモロッコは、日本からすれば、まさに地の果てだ。
俺は、モロッコの聖都ムーレイイドリスの写真を引っ張り出して、懐かしく思い出す。
『地の果て 至上の時』
そんなタイトルの小説があった。俺の大好きな中上健二の小説だ。
熊野の森と海に抱かれた新宮を舞台に、腹違いの弟を殺し、腹違いの妹と交わった主人公が、実の父と繰り広げる情念の確執を描いた小説だ。
軽佻浮薄な平成の世を生きる世人には、いやはやなんとも重苦しい小説だが、俺は大好きだ。
何といっても、タイトルがイイよな。
思わず口ずさんでみたくなる。
君も目を閉じて、呟いてみるがいい。
『地の果て、至上の時』と。
俺は目を閉じ、未だ見ぬ地の果てをおもう。
生温かい人の気配など、微塵もない地の果てを。
吹き渡る風。
それは身を切るように冷たいか。
それとも、熱気を孕んで熱いのか。
草いきれのにおい。
波のにおい。
空の色は、どんな青だろう。
トルコ石のような水色か、
それともラピスラズリのような藍色か。
何が聞こえるだろう。
風が虚空を渡る音か。
打ち寄せる波が砕ける音か。
それとも、世界の果てのさらに向うを目指して飛ぶ
鳥たちが鳴き交わす声か。
そこでは、時間はなんの意味もない。
一瞬が永遠に接続する時空だ。
だから、そこには至上の時が流れる。
本当はいつだって、どこにいたって、今、ここが、『地の果て、至上の時』でなければならないんだけどな。できうれば、そんなふうに生きていたい。世の中から浮きまくり、ずれまくってもかまいやしないぜ。つまり、瞬間瞬間を主体的に生きるってことか・・・。
読者諸君、失礼する。そうはいっても、来月には旅行に行くんだった。もう少しの辛抱だ。
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