2015/03/06

Post #1430

Moulay Idriss,Morocco
働き過ぎると、何もかも放り出してとんずらしたくなる。
地の果てまで。
携帯の電波も、税務署も、そこまではさすがに追ってこないさっていうような地の果てだ。

アフリカ大陸の西岸に位置するモロッコは、日本からすれば、まさに地の果てだ。
俺は、モロッコの聖都ムーレイイドリスの写真を引っ張り出して、懐かしく思い出す。

『地の果て 至上の時』

そんなタイトルの小説があった。俺の大好きな中上健二の小説だ。
熊野の森と海に抱かれた新宮を舞台に、腹違いの弟を殺し、腹違いの妹と交わった主人公が、実の父と繰り広げる情念の確執を描いた小説だ。
軽佻浮薄な平成の世を生きる世人には、いやはやなんとも重苦しい小説だが、俺は大好きだ。
何といっても、タイトルがイイよな。
思わず口ずさんでみたくなる。
君も目を閉じて、呟いてみるがいい。

『地の果て、至上の時』と。

俺は目を閉じ、未だ見ぬ地の果てをおもう。

生温かい人の気配など、微塵もない地の果てを。
吹き渡る風。
それは身を切るように冷たいか。
それとも、熱気を孕んで熱いのか。
草いきれのにおい。
波のにおい。
空の色は、どんな青だろう。
トルコ石のような水色か、
それともラピスラズリのような藍色か。
何が聞こえるだろう。
風が虚空を渡る音か。
打ち寄せる波が砕ける音か。
それとも、世界の果てのさらに向うを目指して飛ぶ
鳥たちが鳴き交わす声か。

そこでは、時間はなんの意味もない。
一瞬が永遠に接続する時空だ。

だから、そこには至上の時が流れる。

本当はいつだって、どこにいたって、今、ここが、『地の果て、至上の時』でなければならないんだけどな。できうれば、そんなふうに生きていたい。世の中から浮きまくり、ずれまくってもかまいやしないぜ。つまり、瞬間瞬間を主体的に生きるってことか・・・。

読者諸君、失礼する。そうはいっても、来月には旅行に行くんだった。もう少しの辛抱だ。

2015/03/05

Post #1429

大昔に金沢で・・・。
朝の5時半まで働いて、家に帰ってすやすやと気持ちよく眠っていたら、銀行からの電話で起こされた。
俺はATMの窓口に通帳を忘れていたらしい。まいったな。
俺は一度起こされると、眠れなくなるので、これは有難迷惑な話だ。
しみったれた金しか入っていない通帳よりも、今日の睡眠の方が大切なのに。

しかも、今日の今日、いつもならまだゴロゴロしているような時間に、急遽現場の手直しをすることになったから行ってくれないかという。
渋りながらOKしたんだが、当然今夜も夜勤だ。そうすると、14時間も拘束されてしまう。そうでなくても、いろいろとやるべきことは山盛りなのに。

畜生め!今日はアマゾンから待ちに待ったノエル・ギャラガーのCDが届くことになっていたんだが、そんなことしていたら今日、そのCDを聴けないじゃないか!
仕事とロックと、どっちが大切だと思ってるんだ?
ロックが大切に決まってるだろう

まったく憤懣やるかたない。

仕方ない。しっかり請求させてもらうぜ。一日いくらで契約してても、一日の作業には限度があるのさ。俺だって、マシンじゃないんだ。
睡眠時間を削って、女の子と遊んでみたり、プリントに没頭してみたりするのは全然苦にならないんだが、こういうのは本当に堪えるぜ。

こんな時、携帯電話を叩き壊したくなる。
実は以前にも一度、現場で電話していて、あんまりにも腹が立ったんで、思わず携帯電話を叩き壊したことがあったな。携帯電話屋がどうやったらこんなふうに壊れるのか、不思議がっていたぜ。

出来る事なら、このひも付きの生活を見直したいものだ。

睡眠が必要なんだ。そうじゃなかったら、ヒロポンとか打たないとやってられないよ。ヒロポンってのは覚醒剤だ。現場で歳食った職人さんなんかと話していると、大昔は突貫工事の時なんか、みんなヒロポンを薬局で買ってきて、打ちまくって仕事していたそうだ。
スゲー時代があったもんだ。癖になったら大変だぜ。
因みに、戦争中の日本軍は、このヒロポンを打ちまくって戦争していたらしい。そりゃ、残虐行為もへっちゃらになっちまうだろうよ。

ザ・ローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズは9日間眠らなかったことがあるそうだ。
そんな不滅な体力が欲しいが、かみさんに話したら、そんなのシャブやってるに決まってるって一蹴されたぜ。
なんといっても、キースは身体から覚醒剤だのコカインだのの成分を抜くために、スイスの血液銀行で血液を総入れ替えしたっていう伝説があるくらいの奴だからな。しかも、その後に言った言葉が振るっていやがる。『これでまたシャブが楽しめる!』ときたもんだ。本当か嘘かわからないけれど、キースならあり得ると思えるところがいいところだ。

クソ!もう今日は眠るのはやめだ。このままシャワーを浴びて起きていることにするぜ。

読者諸君、失礼する。眠らないで済む秘訣は、飯を食わないことさ。道理で最近体重が減りまくるわ、立ちくらみはするわ、白髪は増えるわだ。たまらないぜ。

2015/03/04

Post #1428

Bhaktapur,Nepal
毎度おなじみネパールの古都バクタプルでゴムとびに興じる子供たち。

俺が子供の頃の日本の子供と、全く同じだ。
この子たちの将来に、幸あれ!
そういえば、最近ゴムとびやっている子供なんて、とんと見ないもんだな。
みんな妖怪ウォッチでもやっているに違いない。結構なこった。


3月の俺は、どうにも殺人的な忙しさだ。
馬車馬のように休みなく働く羽目になりそうだ。
冗談じゃない。俺は働くために生まれて来たんじゃないんだ。
しかし、遊び暮らすにもこれまた金が要る。それに、託された仕事を放り出しては、俺の男がすたるというもんだ。
まったく悩ましいことだ。俺の永遠の課題だ。

俺は仕事も遊びも、ほどほどなんて出来やしない。いつだってなんだって、全力疾走だ。散々使ったマヨネーズを、チューブから絞り出すようにして生きてるんだ。時折憂鬱になって、全力で失踪したりしたくなるけどな。

うっかり気を抜くと、仕事に忙殺されて、道行く街の人々と同じ男に成り下がってしまう。
鏡に映った自分の顔を見て、目に力を込めてみる。
怪しい眼光が光り出す。
全然OKだ。
歳食った非行少年がそこに潜んでいるのが解かるのさ。ブルースとグルーヴがぐるぐる渦巻いている。
俺はスペシャルな奴だ。間違いない。痴漢の漢と書くほうのおとこだ。それでこそ、君たちに恥ずかしくない大馬鹿野郎だ。

俺が、社会に対して自分が納得できないことを、自分の言葉で異議申し立てする気概を失っていない限り、俺は並の男に成り下がったりはしないんだ。
異論はあるだろうが、俺的には特上だ。
もっとも、財布の中身はサイテーレベルだがな。

俺はいつだって、イギリスのストリートアーティストのバンクシーや、フランスのストリートアーティストJRの活動を見たり、イギリスの社会活動家にしてフォークミュージシャン、ビリー・ブラッグや、一昔前のレイジ・アゲインスト・マシーンの音楽を聴いたりすると、それぞれにやり方は違うけれど、彼らが持っている社会に対して挑戦してゆく気概ってものに、心を打たれる。思わず泣けてくるくらいだ。歳を取ると、涙腺と膀胱が緩くなるのさ。
音楽なりアートなり、それぞれが選んだ武器で、時に激しく、時にユーモラスに、時には優しく諭すように、世間の皆さんの意識を揺さぶり、世界を少しでもマシにしようって誠意を感じる。

いくら仕事が忙しいからって、俺が彼らに共感を感じなくなったり、自分の内側のささやかな、しかし硬質な気概を失ってしまったら、俺はおしまいだ。
そして、俺はまだまだおしまいになる気は、サラサラないのさ。
そして、俺は自分の武器として、気が付いたらバールやこん棒やマシンガンじゃなくて、カメラを握っていたんだ。
この人生、行けるところまで、行ってみるつもりさ。老後の資産のことなんか、考えて暮らすような、しみったれた生き方は御免蒙るってもんさ。生きていけなくなったら、さっさと死ねばイイのさ。自然なこった。後のことは、君たちに託すよ。

読者諸君、失礼する。今夜も俺は大忙しで働いているのさ。また会おう!