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| Bhaktapur,Nepal 山羊座の俺にとってヤギは特別な存在 |
僕はいままで、君たちに出来うる限り正直に、書けることはすべて書いてきたつもりだ。
けど、今回、それについてはなかなか書きがたいものがある。
相手のある話だし、自分でも信じられないような話だし、なによりすごく長い話なんだ。
小説が書けそうに長い、長い話だ。書いたとしたら、全米が泣いたってことはないだろうけれど、ちょっとしたイイ話に仕上がるだろう。
けれどそれが、君たちにとってそんな大切な話だともい思えない。
そんな話に付き合ってもらうわけにはいかないだろう?
けれど、僕はとっくの昔に失くしたパズルのピースを、それもとても重要なピースを、手に入れたような気分なのさ。それはきっと僕だけじゃなくて、相手の人もそうだろう。
少年の頃、そのピースをつかみかけたけれど、それは指の隙間から零れ落ちてしまった。そんなピースがあることすら、故意に自分の記憶から消し去って生きてきた。
そしてとっても大事なピースが欠けたまま、心のどこかに満たされない思いを抱いたまま何十年が過ぎ去ったんだ。
その間に、いろんな経験をした。うれしいことも、悲しいこともあった。
そうしてやっと、そのピースの重さに耐えうるほどに、大人になったのさ。
僕らはすごく遠回りしたけれど、そのピースを手にすることができるくらいに大人になったということさ。
そう、僕らの人生の全てに意味があって、今につながっているって実感してるんだ。
それがどんなドラマチックな話だろうと、僕とその相手以外には、なんの意味も持たない話だから、ここに書く必要がないってことさ。
そう、僕と相手の胸のなかに、そっとしまっておこう。そのほうが美しい。
一つだけ言えることは、僕ほどドラマチックな人生を送っている男は、そうはいないってことさ。
読者諸君、失礼する。もう、自分の中の穴ぼこを埋める必要なんかない。もう、誰かに存在を認めてほしいと悩むこともない。先のことはわからない。けど、僕は幸せな男なのさ。