2010/12/14

Post #26 Taxman

Paris
今日は税務署に行ってきた。年末調整だ。
今ここで初めて明かすが、SPARKSというのは、本来俺の会社の名前なのだ。
もちろん本名ではない。(さらに言うと、SPARKSちゅう名前もThe Whoの曲のタイトルから頂いた。繊細かつ豪快、美しく、かつノイジーないい曲だ) 
つまり、俺、こう見えて社長。
けれど、部下無し。
つまり俺一人の会社なんだ。だから年末調整も税務申告もみんな自分でやるのさ。
極めてめんどくさいが勉強になるもんだ。

だから、今日のテーマはTAXMANだ。The Beatlesだ。これでピストルズはクビ確定だ。いや、でもあの曲はなかなかにタイトなリフが決まっているぜ。カッコE。その次の曲の“Eleanor Rigby”も渋い。人生について思わず考えさせるような名曲だ。

税金はできたら払いたくない奴がいっぱいだ。今日の新聞にも、菅総理が、法人税の5%引き下げを指示したと書いてある。さっそく経団連のお偉いさんがこの決定を評価するとの談話を発表していたぜ。とはいえ、赤字会社の俺にはカンケーないね。法人税が払えるようになってから、評価したいもんだぜ。
しかし、どうしていつもこの経団連のお偉いさんたちは、こうもエラソーなんだろう。まるで日本の支配者みたいにふるまっているぜ。
儲けたら税金を払う、そしてその税金が低所得者のために使われたり、インフラストラクチャーの整備のために使われるのは、必要だし大切なことだと思うが、諸君、どうだろうね。俺だって税金は極力払いたくない。儲かっていないからな。しかし、お先真っ暗な日本の若者や子供のために、俺の払った税金が使われるんなら、良しとしておこうぜ。
だいたい、昔はみんな、高額納税者番付に載ると、名誉なこととしていたらしーが、最近ではそんなこと言っているのは、まるかんの斉藤一人さんくらいのもんだ。えらい奴だぜ。みんな税金は払いたくないが、デカい車に乗ったり、相も変わらず似合わないブランドもんのカバンなんか持って、セレブ気取りかよ。セレブってのは成金って意味もあるんだぜ、成金だ。金は天下の廻りものだが、こう景気が悪くて先行き真っ暗で、皆の衆の財布のひもが固くなっていると、ますます悪循環で景気は悪くなっていくんだ。ぱぁーっといこうぜ、植木等だって、♪金のない奴ぁ、俺んとこ来い。俺もないけど何とかなるさ♪って歌っていたぞ。いつも俺の90になるばあさんが気に入って歌っていたな。
みんなマックス・ウェーバーの歴史的名著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』でも読んで、勉強したほうがいいぜ。岩波文庫から出てる。700円くらいだ。目から鱗が落ちるぜ、きっと。
俺たちは、一代限りの世界を生きているんじゃない。次の世代に続く、悠久の時の流れのなかで、次の世代に世界を、自分が生まれてきた時よりも、少しだけましにして渡してやるために生きているんでもあるんだぜ。税金も払わず、給食費も払わず、自分の目先の欲望のためだけに銭を使っちゃいけねぇよな、人として。
まぁ、そーは言っても、日本のお役人さんや政治家の皆さんには、モー少しまともな銭の使い道を考えて貰いてーな。あいつらの世間知らずにはうんざりするぜ。

そういえば、俺の母方の爺さんは10年くらい前に亡くなったんだが、この人が税理士だった。税理士になる前は税務署員だったようだ。戦後すぐには、なんだかわけのわからない零細製薬会社なんかをやっていたとも聞いたが、人に歴史ありだ。
そういや、税務署員を長くやると、日本では税理士になれるんだぜ。俺の愛するロック界最強のベーシスト、ジョン・エントウィッスル(もちろんThe Whoだ。)もバンドがプロになる前は、税務署員だった。手堅い商売だ。ちなみに彼は、世界有数のベースとギターのコレクションを持っていたんだが、彼の死後(ハリウッドでのライブの前の晩、コカインを決めて、コールガールを呼んで、いい年してハッスルしすぎた挙句、コールガールが上にまたがったまま心臓が止まって死んだんだ。サイコーだぜ、ジョン。まさにロックンロールだ)、息子は相続税が払えず売り払ってしまったそうだ。うん、これまたロックだね。


俺の愛機 S690 年代もんだぜ
ちょっとセクシーなシールで気分を盛り上げようぜ!
俺の愛用の引伸機は、その爺さんの息子、つまり俺のおふくろの弟が、若いころ使っていたものだ。FUJIのS690っていう年代物だ。時代遅れの写真を撮って喜んでいる俺にはお似合いだ。しかし、女だって、若けりゃいいってもんじゃないのとおんなじで、マシーンだって新しけりゃいいってもんでもないんだぜ。
こいつを俺は、爺さんが死んでしまったんで、仕事に使っていたプレハブ小屋を片付けている時に、ちゃっかりいただいたのさ。
しかし、引伸レンズだけは、いろいろ試した結果、ドイツ製の名玉Rodenshtockの50㎜F2.8を使っているんだ。このレンズでプリントすると、写真の黒の締りがサイコーだ。素晴らしい。写真がハードなカンジに仕上がって、変なたとえだけれど、ビシリとハイテンションで張った弦で、ジャーンってコードを鳴らしたみたいなカンジなんだよ。
写真はレンズで決まる。プリントもレンズで決まる。写真にはレンズが大切なんだ。その点、デジカメはその辺の味わいが薄いんだよねぇ…。残念ながら。
まぁ、この引伸機をゲットして以来、モノクロだ。それまではKodakのE100VSって、これまた明度彩度がサイコーに高い、ついでに値段も高いリバーサルを使っていたんですがねぇ。最近はめっきり使わなくなってしまいましたねぇ。まぁ、リバーサルで撮った写真もそのうちご覧に入れよう。色味がえぐいぜ。下品だぜ。写真には人間性が出るもんだ。仕方ない、これもロックンロールだ。

さて、今日はうちの人が会社の友人と一緒に韓国旅行に行ってしまったので、俺は寂しい夜をプリントでもして過ごすことにするぜ。そうじゃないと寂しくて、キャバクラなんかにフラフラ出かけて、不要な散財をする羽目になるぜ。きっとキャバ嬢たちは税金なんかまともに払ってないんだ。経営者だって怪しいもんだぜ。日本の将来のためにならん。
とにかく、これは俺にとって、年に何度もないチャンスなんだ。俺はプリントするときには、周囲に人がいるとできない性分なんだ。自分の内面から湧き上がる記憶とイメージの渦に巻き込まれ、暗闇の中、ぼんやりとした赤い光に照らされた自分自身の妄想と欲望で、発狂しそうになりながらプリントしているのさ。こんな姿は、決して人にはお見せできない。鬼気迫るといえば、聞こえはいいがね、楽しい反面苦しい作業なのさ。そう、やっぱり舞台裏は見せないもんさ。
だから、こんなチャンスはなかなかない。ブログなんかのんびりやってる場合じゃない。人生は短いんだぜ。朝までがんがんやっちゃるぜ!なんせ、明日は仕事がOFFだからな。君たちは、お肌の健康のために眠るがいいさ。今夜の成果は、明日のブログでお見せしよう。出来たてホヤホヤだ。まさに産地直送だ。さぁ、どこの写真をプリントしようか?トルコか、大阪か、それともパリか?なんでも来いだぜ!
OK! あのくっさい薬品も作ってあるし、倒れるまでプリントしよう。寿司職人のように、身体に酢酸の臭いが染み込むのさ。こんな酢酸くさい男でも、君は受け入れてくれるだろうか?

Post #25 Don't Forget To Bring Your Wallet!

Viet Nam
寒中水泳ではない。フルチンで川遊びだ
冷たい雨が降っていた。今日は寒かったぜ。しかし、冬の北海道ウラジオストックに行ってみたいという野望に燃える俺は、この程度の寒さに負けるわけにはいかない。熱いコーヒーでも飲んで、頑張るしかないのだ。
そんな俺も、今日は寝坊してしまった。遅くまでブログを作り込み過ぎた。なんせ昨日はスライドショーを増設したからな。とはいえ、9時から男の現場だったのに、起きたのが9時23分だったてのは、いくらなんでもありえない。寝坊なんて何年振りだろう。コーヒーを飲む間もなく、仕事に出かけたぜ。
しかも、元請のさっさんと昼飯を食いにいたっとき、さらに笑えることが起っちまった。俺たちは、現場のそばのラーメン屋にいっしょに行ったんだ。男同士で連れ立って飯を食いに行くなんて、プライベートならホモのカップルと間違えられるのであまりやらないようにしている。しかし、仕事は別だ。
北海道への熱い熱い未練たらたらの俺は、迷わず塩ラーメンにコーン&バタートッピングをオーダーした。熱いラーメンで心も体も温めたかったのさ。さっさんは(彼はねずみ男みたいな風貌の電気屋さんなんだが、自分を俺のブログに出せといつも言うんだ。まいったなぁ)ラーメン+唐揚げセットにするといっていたのに、俺が塩ラーメン+コーン&バターをオーダーすると、すかさず自分も同じものをオーダーしやがった。俺は思わず、『あんた、自分の意思はないのかよ?』なんてお客に対する言葉としては、一般的にきわめて不適切なセリフを吐いちまったぜ。まぁ、気にすんな、いつもこんな調子さ。

Viet Nam
俺たちはがつがつズルズルとラーメンを食ったぜ。さっさんはよせばいいのに、しこたまにんにくを自分のラーメンの中に放り込みやがった。俺の車に乗って息を吐くんじゃないぜと思ったものさ。そして食い終わった時、俺は今朝、財布を持って出た記憶がないことに気付いた。俺はそもそも、かつてバルセロナの地下鉄でアコーディオン弾きを装ったスリに財布をすられて以来、財布は持たないようにしている。マネークリップと小銭入れ、そしてクレジットカードと名刺を入れるカードケースは、お出かけ3点セットなんだが、昨日の夜出かけたときに着ていたヒョウ柄のジャンパーのポケットの中に入れていて、出した記憶がない。しかも、3点セットを持って出た記憶もない。俺はポケットを探しまくった。ない。やっぱりない。寝坊してしまったために、持って出るのを忘れてしまったんだ。ヤバイ。食い逃げするか?しかし、社会人としてはどーよ?困ったなぁ・・。
俺はさっさんに切り出した。『悪いんだけど、俺、寝坊したついでに財布もわすれちゃったみたいなんで・・、金貸してくんない?』
さっさんは笑って奢ってくれたが、しっかり『人に自分の意思のない奴だとかいっときながら、奢ってもらうとは・・』って、呆れたようにヒヒヒッて笑っていたぜ。まるでねずみ男みたいにね。まぁ、そのあと食後のコーヒーも奢らせたけどね。ものはついでってやつだな。しかし、さっさんと一緒でよかったよ。でなきゃ今頃、ラーメン屋で皿洗いをしてるところだった。まいったぜ、ホント。
君たちも出かけるときには財布を確認したほうがいい。そのためには寝坊しないようにすることだ。OK?くれぐれも俺みたいにグデグデな一日を送ってはいけないぜ。まぁ、それも人生で、ロックンロールなカンジだと言えないこともないんだけれどね。
今日は寒かったから、常夏の国、ベトナムの写真をお送りしておこう。経済発展著しいベトナムだ。こんな風景はいずれ見られなくなることだろう。きっと、100メートルに一軒づつコンビニが並び、くそ暑くても、男たちはネクタイをするようになる日も近いだろう、この日本のようにね。そんな時が来る前に、またベトナムに行きたいもんだぜ。
君も一緒にどうだい?寒いところもロマンがあっていいけれど、暑いところも、それはそれで面白いもんだぜ。

2010/12/13

Post #24 Over The Blakiston Line

Paris
どうやら、北海道出張はなくなりそうだ。
冬の北海道なんて、旅情をいたくかきたてられるが、なかなかに寒そうだ。しかし、どうせ北海道に行くのなら、ここはやはり冬だろう。バナナで釘が打てる程寒いんだろう。だが、俺は寒波に襲われたパリを、革ジャンで乗り切った男だ。何とかなるだろう。いざとなったらユニクロでヒートテック肌着でも買えばいいのだ。しかし、どうも今のところ、話しは立ち消えだ。残念だ。まったく以て残念だ。やる気マンマンだったのに…。
仕方ない。森山大道の写真集『北海道』でも眺めて見るか。どうも北海道の写真と言うと、雄大な自然やキタキツネなんかの野生動物なんかをテーマにしたものが多いようだが、生憎俺はそういう写真にはあまり興味がないんだ、道民の諸君、悪いなぁ。
この『北海道』なる写真集は、1978年の5月から7月、当時、写真に手応えを失っていた森山大道が、鬱と不安に取りつかれ、それから逃れるために睡眠薬を濫用するという状況のなか、再び写真を撮るためにたった一人で札幌にアパートを借り、250本のフィルムを撮影した経験から生まれた写真集だ。当時の森山大道は、自分の撮った写真にやはり手応えを感じることができず、その膨大な写真はごく一部を発表したのみで、長年お蔵入りになっていたという。その辺のいきさつは、河出文庫から出ている森山大道の自伝的エッセイ、『犬の記憶』やその続編である『犬の記憶 終章』を見ればよくわかる。写真を撮ることに、手応えのない鬱屈と、焦燥が滲み出てくるようだ。
Paris
その写真は2008年に、総ページ数664ページという大作としてよみがえった。限定1500部、2万円。Hey Men! 風俗に行って女を買うより、写真集を買ったほうがいいぜ。限定本なら、あとあとかなり値上がりするんだぜ!とはいえ、俺は売らないけどな。
そこには、北海道の美しい自然や逞しく生きる野生動物など写っていない。70年代の北海道の、多くは地方都市の、日常の風景が、コントラストの高いモノクロ写真で、淡々とつづられている。めくっても、めくっても、黒くどこか時代から取り残されたというべきか、むしろ時代を超えているようなある意味殺風景なイメージが集積している。同じような風景が、次々出てくる。そのシーケンスがまた、北海道を強烈にイメージ付けてゆく。どこか、荒涼としたざらりとした感触だ。
しかし、どうでもいいけれど、この写真集、重い。軽く10キロくらいありそうだ。自分がどうやってこんな本を買って帰ってきたのか、さっぱり見当もつかないぜ。あまりに重くて、最後のページが折れてしまった。これはいかん。
仕方ない、貴重な写真集を損なってしまうのもなんだから、これはまたゆっくり見よう。
代わりといっちゃなんだが、札幌宮の森美術館によって制作された、『北海道』のダイジェスト版、『Northern』、『Northern 2』を見るとするか。
これには当時のことをまとめたインタビューも入っているし、『犬の記憶』のなかの北海道に関する文章も収録されているしな。
『Northern』は全編横位置の写真、対して『Northern 2』は全編縦位置だ。潔いレイアウトというか、ダイナミックな編集方針だ。こんなダイナミックさも、北海道を感じさせるぜ。いずれも見ごたえがある。黒がきりりとしまっていて、堪らないぜ。
しかも各3000円+TAXという良心価格だ。これは大切なことだぜ。
この中でも触れられているが、本州のほぼ中央に生まれ育った自分にとっても、北海道はエキゾチックな世界だ。津軽海峡を東西に走る『ブラキストン線』という、動植物の分布に関する境界線がある。北海道はその向こう側なんだ。北海道には、野生のニホンザルはいないんだぜ。ゴキブリだってほとんどいない。つまり、本州以南とは自然だって違うんだ。
むしろ、ヨーロッパに近いイメージなんだ。行ったことないのにそれはないだろうって感じだけどな。冬の北海道なんていうと、いつも飛行機に乗って、ヨーロッパに向かうとき、窓の下に見えるロシアの景色をイメージしてしまう。そう、雪に埋もれた広大な原野に、どこから流れてくるのか見当もつかない大河が、のたうつように黒々とした水を運んでいる、あの風景にきわめて近しい気がするんだ。いつも、そんな風景を眼下に眺めながら、こんな厳しい風土の中を、寒さに耐えながら、冷たい風に涙を流しながら、漂白するような旅がしてみたいと思うのさ。
まだ、俺に若さが残っているうちに、苛酷さに耐えられるエナジーが残っているうちに。
俺の中では、北海道は、それにきわめて近いイメージなんだ。気候風土も、巨大な農地も、なんとなく大陸を思わせる。それも、俺的にはユーラシアの北方につながっているイメージだ。
行ってみたい、冬の北海道に。
それも流氷や知床の自然や、札幌雪祭りを見るためではなく、どんなところで、人々が暮らしているのか、僕のイメージ通りなのかそれともまったく違うのか?それをこの目で確かめるために行ってみたいのさ。あぁ、寒くったって経費がしゃびしゃびだって、出張行きたかったなぁ。
今回は仕方ない、しかしいづれ近いうちに、北海道へ行ってみたいぜ。出来れば青函連絡船に乗って、て今あるのかな青函連絡船?