2010/12/20
Post #31 The Clockwork Orange
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| Paris |
そうそう、俺はある意味、ピンチを迎えていた。例の電気屋のさっさんが『スパークスさんだけは、絶対俺にキスさせてくれない!』とか吠えていた。俺はまるで時代劇の用心棒が、刀を抱え込むようにして愛用の髑髏の杖を抱え込んで、海鮮鍋をつつくことになったんだ。こんなことなら、白のつなぎにDr.Marten'sの14ホールのブーツを履いて、股間を防御するためにコッドピースを付けてくれば良かった。杖もあるし、あとは山高帽をかぶれば、『時計仕掛けのオレンジ』に出てきたアレックスのコスプレができただろう。
そもそも、俺の方針としては、そういう性癖の方のことは理解はして温かく見守るつもりだが、あくまで同好の志でやってほしいもんだ。
さすがのさっさんも、若いころパンクスだった俺の放つ、『時計仕掛けのオレンジ』の主人公アレックスみたいなウルトラバイオレンス準備OK!てな雰囲気に、強行突破は無理と思ったのか、自分がホモに転向したいきさつを語りだした。曰く、3年ほど前にストリートガールをゲットしたんだが、いざその時になったら相手は実はオカマだった。仕方ないから、そいつのケツにぶち込んだら、以来病み付きになったんだそうな。OK! そりゃロックンロールだな。だからって、俺の尻に執着するのはやめろ!
だいたい、さっさんはいつも仕事の折に、俺のケツなんか触ってきやがって、その度に『気安く触んじゃない!』って俺に一喝されていたんだ。俺の尋常じゃない怒りぶりを周囲はいぶかしんでいたらしーんだが、事情を知った今となっては彼らも納得してくれたことだろう。ちなみに、さっさんは俺の小ぶりで筋肉質な尻が好きらしい。ジョーダンじゃ無い。
俺はいつも、仕事でトラブったりはまったりするとき、『終わらない仕事はない』って思うことにしてるんだが、俺はこの夜もそう思うことにした。そうこうして、じっと嵐の過ぎ去るのを待つうちに、さっさんと大騒ぎしてた連中が酔いつぶれてトイレにこもったりし始めた。これはいい。どんな台風も陸地に上がって水蒸気の供給が断たれると、急速に勢力が縮小してゆく。いつの間にか、さっさんは、俺たちのもとを離れ、元の席に戻っていった。しかし、ほっと一安心していると、向こうのほうからさっさんが、『あいつら変態でどーしょうもならん』とか言っているのが聞こえてきた。俺は飲んでいたウーロン茶をまたまた吹き出し、『エー加減にせいや!』って怒鳴ってから、呆れたように笑ってたのさ。
そんなこんなで怖ろしい第一ラウンドが終了した。お店の皆さん、他のお客さん、ご迷惑をおかけしました。
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| Paris |
しかし、さすがに一挙に25人も乗り込むと、おねーさん?の数が不足して、10対2くらいの席もあった。俺の席だ。しかも、おねーさん?が座っているのは、俺からかなり遠い。おねーさん?が『オカマが足らなーい!』ってしゃがれた声で叫んでいたぜ。これはつまらん、急激に冷めてきた。こんなところ初めてで、ドン引きしてるやつも結構いる。中には眠ってるやつまでいる始末だ。ヤバイ、他の席に移ろう。
他のBOX席に移ると、そこは例のさっさんの席だった。まぁ、ここでいいか。
最初はそこには店のNo1ママ(上品なカンジで、俺的にはタイプなんだが、オカマなんだよね)ともう一人がいたんだ。ラッキー! だが、しばらくすると店の主みたいな、ああ、まさにオカマみたいなおっさんおばはんがやってきた。しかも毒舌だ。俺のこと捕まえて、『あんた葉加瀬太郎みたいな頭ね。この間、葉加瀬太郎来てたのよ。あたし浮浪者が座ってるのかと思ちゃったわ』だってよ。俺は死んだ親戚にはガジローって呼ばれていたぜ。寅さんに出てくるあの佐藤蛾次郎だよ!それが今度は葉加瀬太郎かよ?くせ毛なんだからほっといてくれよな。
よせばいいのに、さっさんは『俺はホモなんだ』とここでもカミングアウトしてたが、嗄れ声で『あんた、オカマとホモは違うのよ、一緒にしないでくれる!』とか軽くあしらわれていたぜ。この毒舌おばはんがやたら人気者で、なかなかこの席から動きそうにないんで、仕方ない。またよそに行くか。俺は綺麗どころが好きなのさ。
そうこうするうちに、オカマのおねーさん?に股間を触られて、『結構なものお持ちね』なんて言われたりしてた。相手が見た目きれーなおねーさんだから悪い気はしないが…、俺はそういうのじゃないって言ってるだろう!
俺の髑髏の杖はここでもオカマちゃんたちに好評だった。しかし、お前ら俺の杖にしか興味ないのかよ。とはいえ、さっきみたいに股間とかに興味を持たれても困るけどね。俺はいつものように君たちのパンツの中より、心の中に興味津々なんだがね。
ショータイムのコントでは、俺だけが例のおばはんとかのコントに、笑い袋のように爆笑していたぜ。
まるでトムとジェリーみたいにげたげた笑っちゃうのさ。さっさんは一万円を崩して、誰彼かまわずチップをくれてやってたぜ。景気のいい奴は違うな。よせばいいのに、俺もつられてチップをオカマちゃんの胸の谷間に挟んだりしてた。
ラッキーなことに、何人かのオカマちゃんの写真を撮らせてもらったりしたぜ。その写真はいずれ皆さんにお届けすることができるだろう。楽しみにしていておくれよ。あるオカマちゃんには、今度自分のヌードを撮ってほしいなんて言われたりもしたぜ。俺にはそのケはないんだけど、いざその機会があったなら、写真のためだ、俺はやるぜ。普段使ってない中判カメラとか出動させて、ガンガン行くぜ。
そう、天才アラーキーみたいに『イイねぇ、バシャ!もう一枚行ってみよう、バシャ!最高、バシャ!股開いてみて、バシャ!』なんてノリでね。
Ok、楽しみになってきたぞ。それこそまさに写真人生だ。ロックンロールだ。
こうして、忘年会は終わったのさ。
2010/12/19
Post #30 The Idiot
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| Osaka |
ちっとも儲かってないから、正直言って気が進まなかったんだけど、仕方あるまい、これも男の義理だ人情だ、ロックンロールだ。けど、野郎ばっかり25人だろう…。たまらんな。
夜8時からなんて、絶対終電に間に合わねぇなぁと思いつつも、会費は2次会までのパック料金になってたからな、仕方ない、なるようになるさと腹をくくって出かけたのさ。
どうしても行かなけりゃならない理由があったんだ。この忘年会、例の電気屋のさっさん(Don't Forget to bring your wallet! 参照)の会社の忘年会だったんだが、さっさんと先日一緒に引いた電気のケーブルが、2、3日してもう一度現場に行ったら、全部盗まれていたんだって!数日前、プリントをしていたら、消え入りそうな声で『おれ、もう駄目ですわ…。』って電話があったんだ、実は。
で、さっさんかなり落ち込んでいたから盛り上げてやらないといかんなってね、俺なりに思ったわけだ。そう、俺はこう見えても優しい男なんだぜ。とはいえ、自分でそういうこと言う奴は怪しい。事実、俺が微笑んでいると、大抵の奴は俺がなんか悪だくみを思いついたって感じるらしいんだ。誤解だろう、それは。
それはそうと、俺の108の秘密の一つをここで明かすと、俺、実は痛風もちなんだ。女の人はまず発症しないこの病気は、ビールやあんきも、ホルモンなどに含まれるプリン体なるおいしそうな名前の物質を体内で分解するときに出来る尿酸が、身体の中で、ある一定以上の濃度に達すると、飽和状態になって結晶化することで起きる。つまり、その結晶が神経細胞に突き刺さるという、考えただけでも痛そうな病気だ。風が吹くだけでも痛いから痛風というのさ。
昔の日本じゃ、なかなかそんなもんにありつけなかったから、痛風は贅沢病って呼ばれていたんだけど、食べ物が肉食中心になってきた昨今では、結構若いうちから発作の起こるようになる奴も多いらしい、俺みたいにな。まぁ、俺の場合は尿酸を排出する機能が遺伝的に弱いらしい。まいったなぁ。
この発作は主に、足の指やくるぶしなんかによく発症する。骨折に匹敵すると言われる強烈な痛みとともに、みるみる足が腫れ上がってくるんだ。思い出しただけでも痛くなりそうだ。だから俺は酒を飲みに行くときは、必ず杖を持っていく。そう、殺傷力十分なクロームの髑髏の握りのついた杖だ。内田裕也かメープルソープみたいでカッコEぜ。これさえあれば、発作が出ても何とか帰ってこれるし、何かトラブルになっても、実力行使が可能だ。いい年こいて、そんな実力行使はしたくないのだが、人生には、望むと望まざるとに関わらず、災難は襲ってくるものだ。心構えだけはしておいたほうがいい。牙を抜かれた狼は死ぬしかないのだ。
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| Osaka |
みんなたまってるんだな。
しかし、例のさっさん、最初のうちこそは隅のほうで静かにしていたんだが、俺が声をかけて隅から引っ張り出した途端に、『皆さん、聞いてください!今日、カミングアウトします!僕は、3年前からホモにめざめていました。僕はホモなんです!』とぶち上げやがった。俺は食っていた鍋のえのきを思わず、ブッ‼て噴いてしまった。みんなは、俺の驚きようを見て笑い転げたさ。しかし、ことの重大さを察知していたのは、俺だけだったんだ。何せ俺以外は、さっさんがホモだなんて知らなかったんだからな。
別に俺はホモだってことに驚いたわけじゃない。俺は2年前、本人から、初対面の時にカミングアウトされて知っていた。ホモだからって差別するつもりはねぇ。そんな狭量な人間ではいたくねぇんだ。理解はする。が、俺はホモじゃないからねというのが、俺のスタンスだ。しかし、しかしだ、『それが世間に知れたら、自分は終わりになってしまうから、絶対に誰にも言わないようにしてほしい』と、何度も何度もくどいくらいに言われていたのに、いきなりここでカミングアウトはねぇんじゃねーの!
しかも、さっさんは、どうして初対面の俺にカミングアウトしやがったかってーと、
①俺がホモに理解がありそうに見えたから(それは正解)。
②俺にもホモっ気があるように感じたから(それは誤解だ)。
③しかも、俺がさっさんの好みのタイプだったから(勘弁してくれ‼)。
雲行きが怪しくなった。風雲急を告げる展開だぜ。半分くらいは酒を飲んでいて聞いてなかったが、それを聴いたやつの大半は、またさっさんがジョーダン言っているんだろうって、思っていたんだ。
しかし、さっさん悪乗りし始め、自分の乳首にぶりの照り焼きをつけてから、ほかの奴に食わせたり、誰彼かままわず、男にキスをしたりするようになって、俺は焦った。
誰かが冗談半分でさっさんに『この中で誰が一番好みのタイプなんだ!』なんて、要らんことききやがった!『この中では、スパークスさん…』さっさん、恥ずかしそうに言うなよ。
俺は護身用にも使える杖を抱え込んだ。自分の身は自分しか守れない。こんなところでオカマを掘られるのは御免だ。
俺、ピンチ!どうする俺!しかも二次会はニューハーフクラブだって‼? 一体全体、どーなってるんだこの忘年会は!
次回に続くぜ
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