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| Kathmandu,Nepal |
そんなものは、突き詰めてみれば単なる幻想だ。
もしも、まかり間違ってそんな羽目になったとして、のちのちの世の人たちが、ちんけな映画や安っぽい小説にして、これまた安い感動の涙を流して俺のことを忘れないと言ってくれたとしても、俺にはカンケーないのさ。まっぴら御免だぜ。
けど、好きな女のためだったら、話は別だ。
ちんけな俺の命を懸けるくらい、安いもんだ。
何回でも懸けてやるさ。
まかせとけ、もう泣かなくていいんだ。
俺が何とかしてやる、だからもうそんな顔するな。
そんな気分だ。
なにしろ女はこの手で抱けるけれど、国家も宗教もこの手で抱きしめることはできないんだ。
この手でいとおしむように抱けないもののために、命を懸け棄てるなんて、阿呆らしくて考えたくもないのさ。
そりゃもちろん、国家だ宗教だ、歴史だって大きな話も必要さ。
けど、人間それだけじゃないだろう?
そう、まさに主人公だ。
いちどこっきりの人生なんだから、わざわざ好き好んで脇役やその他大勢に甘んじることはないのさ。
本当に大切なのは、俺と君の間のことなのさ。
読者諸君、失礼する。俺は自分の写真に世界を負わせるようなことはしたくない。写真も生き方も、個に寄り添っていきたい。
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