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| Bhaktapur,Nepal |
日本に帰ってきてから、仕事の風がぴたりとやんだ。当てにしていた仕事も延期になった。こんな時は悪あがきせずに、内心の動揺不安を抑え込んで、どっしり構えていたほうがイイ。
慌てる乞食は貰いが少ないって奴だ。果報は寝て待てだ。
できればこんな時こそ、君がすぐそばにいてくれて、いろいろと話し合ったりできたらイイのにとは思うけれどね。
さて、承前。
どうにも最近、このブログが私小説的になっているように思うが、どんなもんだろう。
自分でも、こんなに赤裸々にいろいろ書いていいものかなとも思うが、まぁ、手を付けちゃったんだから進めるしかないだろう?君だって、気になるんじゃないのかい?
とはいえ、内容が内容だけに、書きにくいッたらないな。
カミさんは俺に涙ながらに訴えるんだ。
『子供を作れなければ、生きている意味なんてない。それに誰の子供でもいいって言ってるわけじゃないでしょ』
うむむ・・・。
『私は何年も前から子供が欲しいって言ってるのに、』
えっ、俺は何もきいてないぜ。そんなこと言ってたっけ?
『あんた、いつも夜勤や出張ばっかりだし・・・。だから、たまに家にいるときにそれとなく誘ってみても、あんたはもう寝なさい、明日も仕事なんだからとかいうばっかりだし・・・』
うむむ・・・。
『法事とかでもあんたは、おばさんたちにうちは子供は作らないことに決めてるんだとかぬけぬけと言ってたし…』
確かに言ったな・・・。
しかしですねぇ、俺の商売なんてまったく先の見えない博打みたいなもんだしなぁ・・・。
『わたし、子供の養育費くらいしっかり貯めてるし・・・経済的にも不安なんてないんだって・・・』
えっ、そうなの?いつの間に?
『会社だって、産休制度とか育児休暇とかしっかりとれるところで働いてるんだから、子供作っても、経済的に何の不安もないよぉ・・・市の保育制度だって、3か月から預かってくれるし・・・』
うむむ・・・。どれも返す言葉もない。
『それに、あんただって、子供がいたほうが絶対かっこいいって・・・そう思うもん・・・』
そういうもんかねぇ…。
ここまで自分の女に言われてぐずぐず言ってるのは、男としてそうとう格好悪いぜ。
俺は、天然パーマの子供を引き連れた自分の姿を想像してみた。
相変わらずのロック野郎な男伊達、もじゃもじゃした長髪を風になびかせながら夕日の街をそぞろ歩くと、これまたくりくりした髪の毛の子供がおぼつかない足取りで後をついてくるんだ。
時折抱き上げ、肩に乗せる。
急いでるときには、その小僧をわきに抱えて走るんだ。小僧は面白がって、ころころ笑うだろう。
子守唄はロックンロールだ、英才教育だ。
あえて危険なことを面白がってやらせてみたりするんだ。もちろん、ほんとに危ないときにはがっしりと鷲掴みして護ってやるのさ。それは俺の役目だ。
ユニクロの服を着たそこらのお父さんとは、一味もふた味も違うだろう。
俺以上にとんでもないニンゲンを作り出して、この退屈な世の中に解き放ってやるんだ。
さんざん苦労すればイイ。そのほうが味わい深い奴になる。
悪いけど、子供は男の子しか想像できないぜ。
悪くない。全然悪くない。いやむしろ超かっこE!
『分かった。よくわかった。わかったからもう泣くな。そして、パンツを脱げ!今から作るぞ。』
人生、先はどうなるか分かったもんじゃない。けれど、大事なのは今だってことだ。あたりまえのことだ。先々、自分がどうなっても、カミさんはきちんと育て上げてくれるだろうよ。それでこそ、俺のカミさんだ。俺以上に信用できる。俺はまったく信用ならないろくでなしだ。
ことが終わったとき、俺の頭に電光のようにひらめいた。
子供の名前がスパークしたんだ。
命名、麒麟児。これしかない。
どうだ、スゲーだろう。こいつはそこいらに溢れるキラキラネームとはわけが違うぜ。由緒正しく格調高いんだ。まるで大昔の相撲取りみたいだ。
新明解国語辞典によれば、麒麟児とは技芸才能がすぐれていて、将来が期待できる少年とあるんだぜ。昔神童、今不良と言われる俺の子供にもってこいだ。
一言言っておくと、麒麟ってのは、動物園にいるキリンじゃないぜ。
キリンビールのラベルに書かれている麒麟だ。
あれは古代中国で、聖人が生まれ、王道が行われているときに現れるとされていた霊獣だ。
つまり平和の象徴なんだ。けっしてアル中になってほしいわけじゃないんだぜ。
素っ頓狂な名前のようだが、カミさんもどうやら気に入ってくれたみたいだ。
もっとも、テストの時に名前を書くのが億劫ではあるよな。
織田信長の長男の信忠は、その幼名を奇妙丸と言った。生まれたばかりの顔が奇妙だったから信長が名づけたそうだが、それにも引けを取らないイカれたセンスだな。
以来、俺は気を取り直して頑張ってる。
ウサギが20匹、ベッドの上で跳ね回ってるみたいだ。
名前は決まった。俺は目には見えない命の海から、この麒麟児(仮)を召喚して、破天荒なとんでもない奴に育て上げるんだ。くそ、目にもの見せてやるぜ。
麒麟児、早く俺のところにやってこい!
どんな女よりも可愛がってやるぜ。
読者諸君、失礼する。この件に関して、あんまり口外しないでくれよ。カミさんにばれたら最後、ぶっ殺されちまうぜ。でも、女の子が生まれてきたら麒麟児はまずいな。そん時はまた考えるか?
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