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| タイ北部、辺境の町メーサロン |
夜の百貨店で仕事だ。それがいつだって俺の主戦場だ。年々身体に残るダメージは蓄積されている。心身ともに辛い。しかし、働かざる者食うべからずだ。
いつまでも遊んで暮らしているわけにはいかない。まだ老人じゃないんだ。
この仕事をしていると、よく、怖くないですか?と聞かれる。
真っ暗なバックヤードを歩くこともあるし、暗く静まり返った売場も不気味に感じるんだろう。古い百貨店なら、しばしば幽霊のうわさも聞く。
しかし、いまだかつてその手のかたにお会いしたことはない。残念だ。
子供が生まれたころに仕事をしていたビルは、戦後すぐに建てられたものをつぶして建て替えた商業施設とオフィスの複合ビルだった。
ここでは、ゼネコンの建築作業員たちの間で、女の幽霊が出るという噂がささやかれていた。ゼネコンの作業が終わった後に、俺を含めた店舗工事部隊が入ってくることになるんだが、そんなおもろい噂を聞いた俺は、「よし、みんなでその幽霊にお会いして、美人かどうか確かめてみようぜ!いい女だったら、みんなでかわいがってやろう!」と意気軒高だった。
結果、俺たち店舗工事の部隊が乗り込むと、その女の幽霊はパタリとでなくなったという。
残念だ。残念極まる。
去年まで毎晩働いていた京都の百貨店も、昔飛び降り自殺した女の幽霊が出るって話だったが、それも見たことがない。まぁ、この年になれば女は面倒だからいいとい言えばいいけどね。
今まで俺が驚いたりビビったりしたのは、深夜、暗闇の子供用品売り場に響く、キティちゃんのポップコーン自販機から流れ続ける、キティちゃんの声だ。
あと、近江八幡の商業施設のバックヤードで遭遇したイタチ。このイタチによって、鼬の最後っ屁という言葉の意味を思い知った。
どうも俺はそういう類の方々と波長が合わないようで、うちのカミさんも昔はしばしば怖い思いをしていたそうなんだけれど、俺と暮らすようになってから一度もそんなことはないらしい。
むしろ俺が包丁を持ったカミさんに追いかけられて、怖い思いをしたことが何度かあると言い添えておこう。
諸君、失礼する。
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