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| へい、らっしゃい! |
そのあと家族でマックに行って昼食をとったんだけれど、腹が膨れると猛烈に眠気が来る。
リビングの3人掛けのソファに寝転んで昼寝をしていたら、高校生の頃の同級生が、当時の制服のまま歩いてくる夢を見た。その子は、俺の小学校の時の先生の娘さんだったんだが、もう亡くなって久しい。
平々凡々と生きてきたが、この年になると生きているだけでも大変なことだなと思う。
同級生のなかには、家業に行き詰っての末か首を吊ったものもいる。
高校生の頃に一緒に悪さをしていたパチンコ屋の息子も、もうずいぶん前に他界したという。
内容の割に、写真がばかばかしいな。
数年前の12月の明け方、布団中でまどろんでいると北海道に住んでいた友人のアカウントからLINEが届いた。
友人の奥さんから届いた古い友人の訃報だった。
以下にそのやり取りを忘れないために記録しておく。けれど個人名は伏せておく。俺が忘れるわけないからな。
『ご無沙汰しております。Yの家内です。
こちらのLINEは、まだ繋がっているでしょうか…
主人が先日 出張先で倒れ そのまま息を引き取りました。
こういった形でのご連絡大変失礼かと存じますが、取り急ぎご連絡いたしました。
生前は主人が大変お世話になりました。ありがとうございます。』
俺は驚き、落胆し、長文の変身をつづった。
『おはようございます。
あまりに突然のことで、なんと申し上げたら良いのか、わかりません。ただただ驚き、寂しいというばかりです。
奥様やお子様の心中を思えば、おこがましいことではありますが、お許し下さい。
Yくんとは、人生のなかで大切な時期を分かち合ったかけがえのない友人だとずっと思っていました。なかなかお会いする機会もないままに歳月が過ぎながら、また、機会があったなら、いろいろと語り合いたいこともたくさんあったので、残念で仕方ありません。
いずれ、札幌にいく機会を設けて、ご挨拶に伺いたいと思います。」
お知らせいただきありがとうございました。もし何か、お力になれることがあれば、お声掛けください。非力ながら、尽力させていただきます。
文末になりましたが、Yくんのご冥福をお祈り致します。Y、いつかまたそっちで会おう!
あまりの事で、乱文申し訳ありませんでした。』
彼は高校のころ、写真部だった。宮城県の松島あたりがお母さんの実家で、色白で丸顔。愛嬌のある笑顔の若者だった。就職してからも、出張や単身赴任で名古屋に来た時には、何とか仕事の都合をつけて飲みに行ったりしたものだ。
もうとっくに無くなってしまった母校の木造の文科系のクラブハウスの暗室の中で、いつまでも話し合ったり、お互いの鬱屈を吐き出しあったり、外壁の隙間から女子テニス部が練習しているのを眺めたりしていた。
何枚か写真を撮ってもらったこともある。当時は、自分が写真を撮るようになるなんて考えもしなかったからな。もっとあのころ、一緒にやっておけばよかった。
夕方、返信が来た。
『ご連絡ありがとうございました。嬉しく拝読いたしました。
折に触れ 服部さんのお話をよくしていました。
よい青春時代を共にすごされたのかな と感じています。
寒さも厳しくなってきましたので ご自愛のほどお祈り申し上げます。』
『こちらこそお気遣いいただき恐縮です。心身ともにお疲れなのは、重々承知しておりますが、もう少しだけ、お話しさせていただくことをお許し下さい。
かつて少年の頃、Y君と僕は学校の帰り道、自転車を並べて他愛もないこと、当時の自分たちには深刻だったことなど、もう内容も思い出せないようなことを語らいながら帰ったものでした。気がつくと自分の家とは全く方向の違う、Y君の当時住んでいた一宮のマンションのすぐ側までやってきてしまい、そのまま交差点で日が暮れても語り合っていたこともしばしばでした。そんな日々が、切ないほどに懐かしく思い出されます。
奇しくもいま僕が住んでいるのが、かつてY君が住んでいたマンションのすぐ近所です。
川沿いに5分も歩けば、当時Y君のお父様が働いていたであろう会社の営業所があるような場所です。
いつか、Y君がこちらに足を伸ばす機会があったなら、是非一緒に歩いて、懐かしいだろ?と言いたいと、ずっと楽しみにしていました。
きっとY君は、少しいたずらっぼく、少年の日と変わらない笑顔を見せてくれたことでしょう。
そんなやり取りが、今生では叶わぬものになってしまったことが、残念でなりません。
久しくお会いしていなかったのですが、Y君がもういなくなってしまったことを聞くと、自分の中の何かしら大切な部分が、すっぽりと抜け落ちてしまったように思われます。
出張先でのご不幸とのこと、さぞかしなにかと大変だったのではないかと推察致します。お疲れのところ、本当に長々と申し訳ありません。
例年にも増して、寒さが厳しく感じる冬になるのではと思います。どうぞ奥様こそ、ご自愛くださいますよう。』
『おふたりの様子、情景が浮かんで 涙が出ます。
長い間 単身赴任生活で お互いに淋しい想いもありました。
月に数回 帰ってくるのを待ち侘びる毎日でした。
でももう二度と戻ってくることはない。
それが信じられない。
ふらっと ただいま って帰ってきそうな気がしています。
今は 気持ちを込めて 供養につとめたいと思っております。
本当にありがとうございました。』
『いずれ落ち着かれた頃に、ご迷惑でなければ、ご挨拶に伺います。
Y君は、精一杯生き、仕事に取り組み、お子さんたちを立派に育て上げたと思っています。
本当に良い生涯の友を持てたことを、感謝しています。』
『こちらこそ
こうやってお話を聞くことができて 幸せです。ありがとうございました。』
その約束はいまだ果たされていない。奥さま、申し訳ありません。
生き残った自分は、死んでいった人間の記憶を背負って生きてゆかねばならない。失ったものはもう戻ることはないけれど、それでも生かされてある限り、生きてゆかねばならない。
ほんと堪えたな。
旧友の死の知らせを受けて詠める歌 二首
『冬の朝 友身罷りぬと 知らされて
吾が身の内に 穴穿たれむ』
『友逝きて 哀れさびしく やるせなく
傍ら寝ぬる 吾児抱き寄せり』

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