2011/01/05

Post #47 Sound Of Music をみて、思い出に浸るのさ


VietNam
俺はまずは、皆さんに謝らなけりゃならない。今日はプリントして、ニューハーフ嬢の写真をお送りするつもりだったのに、諸般の事情により、プリントしなかったんだ!すんません!
正月三ケ日も終わって、俺はふと仕事の事を考えて見た。そうそう、請求書を作らないとな。12月の帳簿もまだしめていなかった。それどころか、今月末は納税の期限じゃないか!決算準備表を作らないとな。う〜ん、45万の赤字だ!まいったなぁ…。これで法人税は払わなくてすむが、書類は作らないとな。俺は零細事業主だから、税理士さんにお願いする金なんかねぇのさ。Do It Myself だ。マサにPunk Rock の精神だ。たったの3コードで人生を乗り切るんだ!そうそう、年末に届いた書類に目を通さないとな…。なんだこりゃ、さっぱり解らねぇ…。

まいったなぁ…。煮詰まってしまったから、連れ合いの自転車のカゴでも替えてやるか。傷んで錆だらけだ。新しいのは是非ともステンレス製だ。うん、最高だぜ、ついでにチェーンに油でも注してやるか。素晴らしい。乗ってみな。なに?違いがわからん?なんてこった!

もうダメだ。今日はここまでにしておこう。明日か明後日、税務署に行って、税務署員聞きながらやろう。昔から俺は、能力はあるんだ。だけど、やる気になるのも能力のうちだと、しばしば諭されてきたんだ。ケツに火が着かないと、エンジンがかからないんだ。
仕様がない。TVでも見るか。おっと、Sound Of Muric がやっているぜ。高校生の頃、付き合ってた娘が好きだった映画だ。当時の俺には、ロックンロールしか頭になかったから、興味もなかったが…。そういえば、その娘は、俺のすぐ下の弟の嫁さんと顔見知りだったな。風の噂に結婚したと、随分前に聞いたけれど、幸せに暮らしているだろうか?そう、前にも書いたことがある、5万で買ったビートルで、海に行った女の子だ。もし、今会うことがあったなら、なんて言われるだろう。幸い俺はハゲてもいないし、体型だって、変わっていない。しかし、目尻や眉間には、浮世の風が長年刻んだシワがあるぜ。あんた、みっともなく老いぼれたねなんて言われたら、かなりショックだ。
女性に対して、そんなのお互い様だろうなんて、言えないしな。
VietNam
連れ合いと一緒にメシを食いながら、Sound Of Muric を見つつ、俺はそんなことを思い出していた。
そうこうしていると、年賀状を送った知り合いから、電話なんかかかって来て、なんだかんだ話しこんでいたんだ。大体今どき年賀状のやり取りするのは、取引先か普段疎遠な人ばかりだ。彼女(言い忘れてたが女性からだった)は、俺の事は忘れられないっていうんだ。いやいや、けっして昔の彼女とかじゃない。彼女に以前話した俺のずっこけ話が忘れられないっていうんだ。
去年の冬の事だ、男の仕事をしているとなんだかケツが寒いんだ。冷えてきた、スースーするぜ。やっぱり冬でも下着はTバックってのはまずいかなと思いきや、作業服のズボンのケツが、なんとぱっくり破れていたって話しだ!俺はとっくにそんなの忘れていたぜ!その程度の事は、日常茶飯事だろう?いつまでもおぼえているような事かな?まぁそんときは、ケツにガムテープを貼って一日しのいだぜ。もちろん、そのズボンは自分で繕って今でも使っているぜ。俺はビートルズの名曲エリナ・リグビーに出てくるファーザー・マッケンジーみたいに、そう、靴下の穴を繕うあの神父さんみたいに、涙ぐましい程につましい男なのさ。
あぁ、こんなんで今日はプリント出来なかったって訳だ。
皆さん、ごめんなさい。俺は何時だって現行不一致な政治家みたいなダメな男なんだ!許してくれ!          

2011/01/03

Post #46 Fragment Of Fragments #6

Barcelona
俺はパイプを使ってタバコを吸ってるんだ。
前はジタンを吸ってたんだが、値上げ前に体調を崩して、やめたんだ。
でも、口が淋しいので、パイプでタバコを吸う習慣だけが残ったんだ。これを吸ってると、よく、あんたソレ大麻だろってからかわれるぜ。
去年の夏に、長年使ってきたロンソンのヴァラフレームっていう、クラッシックなガスライターを失くしてしまってから、長らく100円ライターだったんだ。男は小物にこだわるべきと信じている俺には、これは正直言って落ち着かないもんだぜ。わかるだろ?まったく以て落ち着かないんだ。それに100円ライターでパイプに火をつけると、しばしば右手の親指が焼けているんだ!焼肉みたいにな。危険極まりないぜ。指の皮が面の皮ほど厚いからよかったものの、そうじゃなかったら、今頃食べごろだぜ。君も酒のつまみにひとつどうだい?
そこで、年も改まったから、良い節目だってんで、パイプにお誂え向きのライターを買ってきたんだ。メタルでできたターボライターというより、むしろチャッカマンみたいなもんだ。ノズルが特徴的で、象が鼻を垂らしているみたいに湾曲しているんだ。パイプにつめたタバコの葉に火をつけるにはもってこいだ。気に入ったぜ。これさえあれば、俺の指が燃えたり焼けたりすることもないぜ。第一こんなけったいなものを持っている奴は、そうはいないだろう。これはまた、飲み屋の嬢や仲間内で大好評に違いないぜ。てことであっさり買っちまったんだが、なんてっこった、そいつがイマイチ調子が悪くって、明日にでも調整に出すべきかと、悩んでいるのさ。
やはりデザインと企画はイギリスでも、中国製ってところが問題だったんだろうか?モノづくりでは、やはり日本人やドイツ人の右に出るものはいないようだしな。中国が世界の工場っていっても、まだまだだって実感してるぜ。昔から、カメラみたいな精巧なものを作るのが得意な奴らは日本人かドイツ人だしな。車だってドイツ車や日本車は故障が少ないしな。
まぁ、そんなこと言っても仕方ないか。
面倒くさいが、6,000円くらいしたからな…放ってはおけないか。トホホ…。
Barcelona
しかし、明日はプリントしたかったんだがな。例のニューハーフ嬢の写真だ。早く君たちにお届けしたいんだよ!う~む、とりあえず明日、買った店に電話してみよう。それからだ、何事も。
また、出かけるんならついでに写真でも撮るとするかな。それも悪くないか?
何れにせよ、自分のヒキの強さにうんざりするぜ。
仕方ない、こうして人生のディテールが形成されていくんだろう。
しかし、まいったなぁ…、やんなっちゃうぜ。

2011/01/02

Post #45 Daddy Rolling Stone

HongKong
今年の正月は暖かい。俺は歩いての自分の住んでる町の神社に初詣に行ったんだ。俺の住んでる町は、この神社の名前をとっているだけあって由緒ある神社らしいんだが、かつて俺はこの神社で初詣した次の日に、ヴェスパで事故って大腿骨骨折、入院と同時に失業というスゲー苦境に陥った経験があるので、毎年かならず行っているわけじゃない。
それに神社に欠かせない森が、第二次大戦の空襲で社殿諸共に焼き払われてしまったので、神社特有のマイナスイオンたっぷりのキーンと張りつめたような、神聖さを感じさせるような空気感が感じられないんだな。行くといつも、屋台の焼き鳥やたこ焼きの香りが立ち込めていて、神域ってカンジがしないんだ。俺はいつも、エルサレムの神殿の前から露店商を叩き出したイエス様の事を思いだすのさ。
さて、拝礼のあとで引いたおみくじは小吉。可もなく不可もなしってカンジだね。小市民的な穏やかな暮らしがイメージされてくるぜ。あんまりロックンロールなカンジはしないな。

で、俺は今夜一年振りにオヤジの家に行ったんだ。オヤジは俺の家から歩いて行ける同じ町内に住んでいるんだが、近いとかえって行かないもんだ。まぁ、お互いに自己主張が強く、それがお互いに鼻につくから、いつもなんだか気まずくなってしまうんだなぁ…。
オヤジは70歳。しかし、元気極まりない。介護なんか必要ないぜ。未だに独りで商売し、随分年下の資産家の未亡人の彼女がいるんだ。それどころか、お袋が死んでから30年近く、いつも女がキレた事がないっていうドン・ファンぶりだ。その前の彼女は、俺とさほど年の変わらない人だった。まぁ、女の趣味はともかくとして、これはスゴい事だぜ。ストイックな俺は、オヤジのこの女出入りの激しさが好きになれなかったんだが、最近認識を改めた。ある意味尊敬に値することだ。
中学卒業と同時に社会に出て、繊維関係一筋で56年だってよ。いつも自慢たらたらだから、素直に感心できないんだが、確かにたいしたもんだぜ。そう、仕事師だ、ヤリ手だ。
だから、お袋が生きていた頃には、家にいることもまれだった。俺はガキの頃、遊びに連れていってやると言って日曜に連れ出され、オヤジが一日ゴルフをしているあいだ、ゴルフ場のクラブハウスの片隅で、本を読んで待っていた事もある。放置だよ、放置。車の中だったら、熱中症で死んでただろうよ。お袋は子どもを連れて実家に行く準備をしていたのに、オヤジがかえって来なかったために、実家に行けなかったって事もあったな。すっぽかされたんだ。
とにかく、金儲け以外にはゴルフぐらいしか興味のないオヤジだったんだ。もちろん、自分じゃカップ麺すら作れないような人だった。
それが、今日行ってみて驚いたぜ。俺にとっては、21世紀になって最大の驚きだ。
なんと、オヤジは料理教室に通っているらしい。
Paris
70にして『初めての男の料理教室』だとさ?参ったぜ。しかも、自分で材料を準備して、すき焼きをご馳走してくれたんだ。しかも、しかもだ、食器まで自分で洗ってたぜ!死んだお袋が見たら、思わず墓から這い出してくるんじゃないかって、俺は気が気じゃなかったぜ!
まったく、人はいくつになっても変われるもんだ。
この調子なら、俺のオヤジは長生きするだろう。あと30年は死にゃしないさ。
俺の友人のオヤジさんは、家で転んで圧迫骨折で、介護サービスが必要になっちまったらしいんだが、そのことを考えると有難い事だぜ。オヤジ、俺より長生きしてくれよ!
オヤジは食事の後に、俺が生まれた頃の備忘録を見せてくれたぜ。それを見ると、まだこの地球に来たばかりのいたいけない俺に、過大な期待をしていたのがわかる。期待通りにならなくて悪かったな。誤算だらけのこの世界で、人生打率3割行けば、大したもんだと俺は思うが、どうだろうか?
そのページにテープで貼られた一枚のカラー写真、そこにはまだ24歳のお袋が、生まれたばかりの俺を抱いている瞬間が、半永久的に固定されていた。俺は思わず、目を瞠った。
お袋は、まだ頬にニキビなんかあって、俺が憶えているイメージとは随分違っていたんだ。まるで、そのあたりの女の子みたいだ。不思議な感覚だ。思わず、この女の子に、よく頑張ったねって言葉をかけて労ってあげたくなったぜ。
あぁ、そういえば、そんな年頃の女の子なんて、キャバ嬢くらいしか話す機会がないなぁ、最近。俺は不思議と年寄り、オバハン、偏屈な職人のオヤジ、若者、子供には大人気なんだが、金回りのいいオッサンや若い女の子には不人気なんだョ、悲しいぜ。
他にも、仕事場を記録したモノクロのスクエアフォーマットの写真もあった。もう還暦を過ぎた叔母がまだ二十歳くらいで事務をしている。
もう既になくなってしまった会社の倉庫で出荷作業をしている。
なんつうリアリティーだ。眩暈がしてくるような感覚だ。
俺はこれを見て、写真のスゴさと切なさを、時空を光速で流れていく現実の移ろい易さと儚さを、正月そうそう、実感しちまったぜ。
そうだ、もっと今年はリキ入れて写真を撮るぜ!老後の楽しみのためにもな。