![]() |
| モロッコ、フェス |
ケニーと飲んだ話は大した話じゃない。急ぐ話でもない。どうせおっさんが酒飲んで仕事の愚痴を言い合って、いいきぶんで別れただけの話だ。君にとって知りたい話でもないだろう。だからまた明日な。
昨日の夜、息子が右足の付け根が痛いと足を引きずっていた。
どうしたんだと聞けば、図工の時間に椅子からずっこけて打ったといっていたんだが、そんなのでびっこ(おっとこれ差別用語か?面倒臭えな)じゃなかった、チンバ(あ、これもか)じゃなかった、跛行するほどのことになるだろうか?
俺の心の疑念が浮かび、どんどん膨らんでいった。
俺はいつも物事の推移を想定する際に、最悪の事態を第一に考える癖がついている。
監督業という仕事柄もあるが、酷いことが起こったときに想定よりもまだましだったぜベイビー、助かったな!と思いたいからな。専門家面しておきながら、想定外でしたとかいうのは、まことに薄みっともない。
東日本大震災の時や、今度の選挙の結果でも想定外という言葉を何度聞いたことか。ばかばかしいったらありゃしないぜ。
俺は、大腿骨の骨頭部が血行不良により壊死するペルテス病🔗やギランバレー症候群、よくて風邪の後遺症による単純性股関節炎の可能性を検討した。
なんとなく、どれも当てはまりそうに思える。
足が痛くて一人で風呂に入れないという息子に、おまえ、最悪そういう病気の可能性があるから、お母さんにお礼を言って「愛してるよ、僕を産んでくれてありがとう」って言っておけよと言ったら、「おれはまだ死にたくない」と言って泣き叫んだ。
そう、最近読んだ話だとホスピスに入っている患者さん(死は病ではないのだから変な呼び方だな)は、自分の式がわかるかのように、最後の時が訪れる前に家族を呼び「愛しているよ、ありがとう」というんだそうだ。息子にもこの話をしてやったうえで、お母さんにお礼を言うんだといったんだ。
まぁ、そうなるわな。しかし、人は生まれたからには死ぬ定めだ。
10歳の息子には過酷な運命かもしれん。風呂に入っているのにカミさんを呼びつけ、ふろの扉を開けてカミさんに泣きついている。まったく寒くて体も洗えやしないぜ。
そうなったら、おらが町の英雄・小田凱人みたいに車いすテニスでもやってもらうか。彼は骨肉腫だったな。そう慰めたら、ますます泣き喚いたからたまらなかったぜ。
仕方ない。風呂から出た息子を背負って二階の寝室まで上がり、股関節あたりにシップを貼ってやり、やっとのことで寝かしつけた。
俺は毎晩眠るのは、小さな死だと思っている。よく死ぬにはよく生きることが必要なように、よく眠るにも一日悔いなく生きることが必要だ。なんて意味ありげなことを言っておくか。
一夜明けて今朝。やはり息子は足が痛いといっているので、俺は高校の同級生の岩田君がやってる整形外科に連れていくことにした。
あそこはやたら混むから行きたくないんだよな。痛風の薬もらいに定期的にいってるけど、リハビリに通うお年寄り(あぁ、俺もそんな年だな、くそ!)が多く、まるでお達者クラブだ。
気が滅入るぜ。
息子は歩きづらいというので、一丁前に俺の髑髏の握りの付いた杖を突いていた。若年寄かよ。今の若者は内田裕也なんか知らないだろうな。俺が使うとそんな感じなんだが、息子がついてると学芸会のももたろうに出てくるお爺さんだ。
で、待つこと一時間余り、その間にリハビリの予約の服部さんが何人も呼ばれる。そのたびに息子はびくっと声のするほうを向く。東海三県には服部という名前が多いんだ。服部半蔵の関係があるのかないのか。俺はあるけど。
で、息子の名前が呼ばれたんで、一緒に診察室に入るなり、岩田君に(どうしてもこいつを先生と呼ぶ気になれないな)状況を説明し、ペルテス病じゃないよねぇと言ったら、そんなのあるわけないよ!と一笑に付されたぜ。やはり最悪の事態を想定しておいてよかった。
結局、ただの捻挫だったようで、痛み止めの鎮痛剤を処方され、昼食後に飲んだら、けろりと元気になりやがった。よかったなベイビー!昨日ギャン泣きしてたのはいったい何だったんだ?ただ学校休みたかっただけなんじゃないのか?まぁ、いいけどさ。

0 件のコメント:
コメントを投稿