2011/08/04

Post #264 俺流のプリント作法

おとといの夜から昨日の夜まで、仕事が3タテでブッキングされていたんで、今日はゆっくり寝かしてもらった。目が覚めたらとっくに昼をまわっていやがる。人生が無駄になったような気がするが、無理して心筋梗塞なんかになって死ぬのはゴメン蒙る。これくらいの緩い感じがいいカンジなのさ。はたから見てるとろくでなしのごく潰しに見えるところも、ロックンロールなカンジがにおってきそうだ。
そろそろ仕事が忙しくなってくるんで、今日はプリントしておこうかと企画していたんだが、如何せん暑い。暑すぎる。あまりの暑さに、やる気が失せてしまう。どうしたもんかとも考えたが、このまま一人で家にこもっていると、またぞろ最近の傾向として怒りや悲しみが金山寺味噌みたいに熟成されてしまうので、思い切って髪でも切りに行くことにした。行きつけの美容院で、若くてかわいらしい女の子に髪を洗ってもらったりしながら、面白おかしい話をしていたりすると、心がほぐれるんだ。同じ要領で歯医者もかなり好きなんだが、これは虫歯とかにならないといかないからね。
これがキャバクラなんかだと、あまりのバカバカしさに、これまた心がささくれてしまうんだが、美容院のいいところはお金を払った分、髪型が変わってすっきりするってことで、呑みに行って、高い金を払って、自分が気を使って嬢を笑わせて、原価の高いしょんべんを体内で製造するのとは、雲泥の差だっちゅうことだ。
今日は思い切って、2ブロックにしてみたんだ。読者諸君もご存じのように、泣く子も黙るほどのモジャモジャ頭だ。はっきり言って夏は暑くてかなわない。サイドから襟足にかけて、15年ぶりくらいにバッサリと切ってみた。さっぱりだ。体感温度がゼンゼン違うぜ。こいつぁイイ。唯一の難点は、髪をしばると、短いところと長い部分のジョイントで地肌がライン状に見えてしまい、横着な若い衆みたいに見えてしまうところか。まぁ、致し方なかろう。切り落された髪は、まるで小柄なプードルのようだ。
Amsterdam
閑話休題。
今日は俺のいい加減きわまるプリントの手順を話しておこう。
俺がプリントのやり方を習ったのは、友人のI上さんからだ。学生時代に写真部で基礎を身に着け、大手カメラチェーン店で働く彼は、今では遠く首都圏で働いているが、以前はうちの近所の店に勤務していたナイスガイ、独身だ。まず教本を買ってきて見たんだが、なんだか面倒臭そうなんで、テキトーなやり方を一二度俺の家に来てもらって伝授していただいたって次第だ。
他には、森山大道のドキュメンタリー映画『≒森山大道』の暗室作業のシーンをDVDで何度も見て真似してみたりしただけだ。ZONEシステムなんて、本屋で立ち読みしてみただけで、俺には向いてないってわかったぜ。
プリント作業は、洗面所に机を運び込み、引伸機をよっこらっせと机の上に運ぶことから始まる。で、引伸機の横に現像液と停止液のバットを並べ、床に定着液のバットを並べる。ユニットバスの中には水洗バットをおいて、シャワーで水を一杯にはっておく。現像液は、以前はゲッコール(PQ)を買いだめしたおいたのを使っていたけれど、無くなってしまったので、今はフジのコレクトールEだ。どちらも使っていくと褐色もしくは黄褐色に変色してくる。変色しきったら、潮時だろう。トイレに流してはいけない。行きつけの写真屋さんに持って行って、一緒に処分をお願いしよう。下水にそのまま流すのは、あまりにも環境負荷がたかいってもんだ。
予め、ネガの袋にダマートペンシルで、プリントするカットを選んで、大まかなトリミングも兼ねて枠線を記入しておく。暗室に入ったらよほどのことがない限り、それ以外のものは焼かない。キリがないからね。
さて、あらかじめ選んでおいたネガをキャリアに挟み、ブロワでほこりを飛ばしてから、引伸機に突っ込む。これ、ブロワで吹かないと、たいへんなんだ。目に見えないほどの小さなホコリも、引伸ばすと同じように拡大されて、印画紙にインモーが張り付いているような線が走ってしまうからだ。ムカつく。地球温暖化に心を痛めながら、容赦なく吹っ飛ばすべし。
ちなみにレンズはローデンシュトックのロダゴン50㎜、F2.8だ。これ、コントラストがたかっくて、キリリとした好調な像を結ぶ、実にすんばらしい引伸レンズだ。おすすめです。
このレンズを開放にしておき、光を通してみて構図を決める。そのあとで、じっと、じっくりとイーゼルの上に映し出された白黒反転の画像を見ながら露出を考える。もちろん、露出計は使わない。あくまで感覚だ。
俺は実際に焼き付けるときはF11に絞るので、それを勘案して露光時間を決める。紙で部分的に光をさえぎって行って適正露光を見てみたり、カビネ判でテスト焼きをしてみたりは、トーゼンながら一切行わない。紙と時間がもったいないだろう?第一、面倒臭いったらないぜ。商売じゃないんだからそれで失敗しても、自己責任だろう。すべてぶっつけ本番だ。自分を信じていこう!
Amsterdam
この時ばかりは、光に対する感覚をフル稼働させる。ココが、ココこそが一番の勝負どころだ。
息をひそめて集中し、時には目を細めて、どこが明るくて暗いかをイメージする。
強調したい部分をどれくらい覆うか焼きこむか?その時の焼き込みは、どんな形で手を組み合わせるのか?それらをじっくりイメージしたり予習してみたりする。おかしな形で覆い焼きをすると、手が攣りそうだ。もちろん、丸や四角い紙に針金を付けたような焼き込み小道具も、面倒だから使わない。ほとんど2本の腕と10本の指を組み合わせて覆い焼きをする。テキトーなんだ、スマン。
そうして、露光時間を決める。全体を30秒焼いて、このハイライト部分だけ、20秒露光して、空は紙を使って、段階的に80秒焼きこんでグルーミーなカンジを出す、地面は60秒焼きこんで、暗い感じに仕上げると、そんなことを一人でブツブツ呟きながら決めていく。こうして人物だけ、オーラをまとったように焼きこんでみたり、くらい背景の中から浮き上がるように覆ってみたりすると決めていくわけだ。まぁ、大まかに言えばこんなカンジだ。
これらの事が決まれば、あとはイーゼルにフジのRCペーパー、FM4号(特別硬調)六切りを放り込み、露光するだけだ。俺は特別硬調しか使わないんだ。多階調紙は便利なんだろうけど、フィルターとかどうにも面倒臭そうで、手が伸びないんだ。ずぼらでスマン。
露光している間にも、空いてる手で床に置かれている定着液(スーパーフジフィックス)のバットをゆすり撹拌する。これをまめにやっとかないと、せっかくのプリントがハイポ焼け、つまり定着不十分で、セピア色に変色してしまうからだ。
露光が終わると、さっと一気に現像液のバットに滑り込ませる。ここはじっと我慢で、白い印画紙に黒々しい画像が浮かんでくるのを待つ。程よく像が浮かび上がってきたところで、竹ピンでつまみ、停止液に滑り込ませる。この時、我慢が足らないと、竹ピンでつまんだところだけ現像不十分で、半円のムラが出来たり、現像ムラが出来たりするから、せっかちは禁物だ。
こうして、停止させたときには、速やかに次のネガに交換して、一からまた同じことの繰り返し。
もしも、この時にプリントの出来栄えが気に入らなかったら、今のはテスト焼きだったんだと自分に言い聞かせ、露光時間を替えてみて、再度チャレンジ。気に入るまで何度でも焼くときもあれば、これはこれでありかってあっさりやめて、次のコマに行くときもある。基準はあくまで、自分の好み。言うなれば、気まぐれだ。
一枚焼くのにだいたい5、6分~10分ってところだ。こうして次々流れ作業で一日(とはいえ実際には3,4時間)に20~30カットほどプリントする。それだけやると、髪の毛には薬品のにおいが移って、かなり気持ち悪いことになる。
じゃんじゃん焼かれていったプリントは、最後の一枚が終わるまで予備水洗のバットのなかで、豆腐の様に浮かんでいる。こいつらは、最後の最後にシャワーを使って20分くらい水洗され、一枚ずつイギリスのパターソンってメーカーのスクイーザーでバシャバシャ水切りされる。そうして、やはりパターソンのRCペーパー乾燥ラックに立てかけて一昼夜乾燥させておくんだ。このパターソンのラックとかスクイーザーは便利なんだが、残念ながらニッポンじゃ売ってない。パターソンのサイトからメールでオーダーし、PeyPalで入金して送ってもらった便利グッズなんだ。
こんなカンジで、粗製乱造されているのが俺のプリントなんだ。
ふふふ・・・、余りにいい加減すぎて、誰の参考にもならないだろうな。
読者諸君、御機嫌よう。今日はこんなところで失礼させてもらうぜ。

2 件のコメント:

  1. sparksの作り方が分かりました(笑)
    って違いますね。
    多階調なプリントも好きですが、
    硬調で攻撃的なプリントも大好きです。
    ぶっつけ一枚勝負というのがとてもsparksさんらしくて
    良いと思いました。

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  2. いや~、僕つい最近まで、皆さんこんなカンジでやってるんだと思ってたんですけど、知人に訊いてみると、こんな乱暴というか思い切りがイイやり方の人は、そんなにいないって言われちゃいました。
    何事も勢いだけで正面突破しようとするのが、趣味にも現れちゃってますね。

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