2014/12/23

Post #1357

Kathmandu,Nepal
今日はNHKで朝から夕方まで『ごちそうさん』の総集編を見倒してしまった。貴重な一日が空費されたわけだ。仕方ない、それも人生だ。

先日、中学高校時代の先生や、その教え子つまり俺よりずいぶん年上の先輩にあたる人たちと、愉しい時間を持つことが出来た。
酒と旅を愛した歌人『若山牧水顕彰会』という、まぁ酒飲みのおじさんの会に、何故か俺も入っているので、その忘年会に行ってきたのだ。
おおかたの会員は俺の恩師である先生の教え子ばかりなんだが、誰もかれも俺より10歳は歳食ってるおじさんばかりだ。
どうして、そんな会に入ったかと言えば、俺が中学生の頃から世話になっていて、学生時代はほとんど毎日お邪魔していた浅井先生という方が、その会の重鎮で、俺は気分的にはその人の息子みたいなものなので、まぁお前も一口入れって誘われたわけだ。

俺はこう見えて、中高一貫の私立の高校に通っていたので、先生はずっと変わらない。
この先生は、既に75歳を超えておいでなのだが、昔から白髪の長髪で、自由な考えを持った方だった。今日の俺は、この先生をはじめとしてこの中高一貫校の個性的な先生方の、勉強以外の課外授業の英才教育によってはぐくまれたのだ。
俺は、90年続く学校の歴史の中で、もっともぶっ飛んだ生徒だった。
なにしろバリバリの進学校なのに、モヒカン刈やスキンヘッドで学校に通っていたんだ。
それだけじゃない、生徒会の副会長もやっていたしな。
成績に関しては、劣悪ではあったけどね。-30点という素晴らしいスコアをテストで叩きだしたこともある。まぁ、とびきりのバカヤローだったわけだ。

かつて俺に数学を教えてくれていた中島先生も、いまは校長先生だ。ちょっと合わなくなったうちに、偉くなったものだが、この人の前の校長にも、担任してもらていた。やはり、問題児に接した経験がないと、偉いさんにはなれないのだろう。

20年以上お会いしていなかったが、お元気そうで何よりだ。
俺をかわいがってくれた先生の中には、とうにお亡くなりになった方もいる。想い出すと、なんら恩返しが出来なかったのが、心底悔やまれる。俺がランボーみたいな早熟の天才だったらどれだけ喜んでもらえただろう。
中島校長は、俺が自分の携帯の画像フォルダのなかに入れていた高校時代のモヒカン刈の写真を見せたやったら、ずいぶんと懐かしがって喜んで、メールで送れと言い出す始末だった。
中島校長が言うには、最近の生徒さんたちはずいぶんと大人しいので、むかし君たちの先輩のなかには、こんなはっちゃけた奴がいたのだと一席打つ算段らしい。
冗談じゃない。
俺が世に隠れもない赫々とした才能をぶちまけているんなら、それもなかなかに面白い話だが、しがない現場監督で身過ぎ世過ぎの半死半生、どうにかこうにか生きてますでは、単にそんな阿呆だったから、なるべくしてそうなったとしか思われないじゃないか・・・。
先生方が言うには、俺のようにはっちゃけた奴は、今は皆無で、誰もかれもが物わかりのいい優等生なんだそうな。つまらない話だな。つまらないからこそ、教えておきたいんだそうだ。
FUCK OFF!
こうなりゃ講堂で、若者相手に漫談してやるのもやぶさかじゃないぜ。いっそ、流行の妖怪体操第一でもやってやろうか?

さて、俺はなにしろこの痛快な性格なので、60過ぎのおじさんたちに、えらく可愛がられる。きっと自分のうちでは子供に構ってもらえないんだろう。
俺は現場暮らしで身に着けたスキルで、年長者にも気さくに気後れせずに面白おかしな経験をしゃべりまくり、高いところのものをひょいと取ってあげたり、後片付けをテキパキこなしたりしているわけだ。みんな俺に大喜びだ。
すると、学生時代の俺を知っている先生や先輩たちから、『あのコーイチロー(あぁ、これ俺の名前ね。覚えといて)がこんなことをするなんてねぇ・・・。』なんていう声があがるくらいだ。
なにしろ、授業中に先生にぶん殴られたり、窓から放り出されたりなんて日常茶飯事という超問題児だったからな。頭にきて職員室に消火器をぶちまけたことすらある。
フツーのことをして感心されるのも無理もない。これが優等生だったなら、なにも感心されないが、もともとの出来が悪いとこういう時得するってもんだ。
しかし俺だって、今日まで笑い話のネタになるような、普通ならしなくてよい苦労を重ねて、やっと大人になったのだ。
おかげで今では、その辺の子供たちには面白いおじさんとして親しまれ、仕事仲間には信頼され、年長者には可愛がられるという、自分にしては出来た漢に仕上がったのだ。
ただし、若い女性には敬遠される。それは俺の人相が悪いせいではなく、スキニーパンツが未だに似合い、それ故に『(足の太さに悩む)100万人の女性の敵』と世間で言われているからだ。

宴もたけなわの頃、恩師の奥さんが、『コーイチローくんは、小説書いてるんじゃなかったっけ?』と俺自身もすっかり忘れていたことを持ち出した。
いやぁ、恥ずかしながら若いころ、そんなこともやってみたっけな。
どうにも文章が上手くないのと、物語を紡ぎだし、魅力的な人物を造形するには、俺は人生経験がなさすぎるということを痛感し、きっぱり諦めていたのに・・・。
そもそも、いつも読んでくれている諸兄諸姉は、俺の文章には何の魅力もないことをよくご存じでしょう?だからこそ俺は、写真を選んだのだよ。
俺は、久々に返答に困った。御歳を召した方は、往々にしてそんな黒歴史を覚えてくれているからな・・。
俺は仕方なくこう答えておいたよ。

『鳴かず飛ばずの45年!』

自分で言って悲しくなるよ。

読者諸君、失礼する。才も徳も無くして、世渡りしていくってのは、ちょっと心細いもんだな・・・。

2014/12/22

Post #1356

Kathmandu,Nepal
今夜、急に仕事が入ってしまった。
商売繁盛だ。しかし、調子に乗って働き過ぎれば、必ず体調を損なうことになるぜ。気を付けないとな。ただでさえ風邪をひいているというのに。

昨日も夜仕事して、朝も八時半から動いているんだ。
睡眠不足にもなるだろう。実際に眠りたくて仕方がないぜ。

夜まで少しお昼寝させて頂こう。
考えたいことはいくらでもなるけれどな。

読者諸君、失礼する。仕事納めは未だ遠い俺なのさ。

2014/12/21

Post #1355

Istanbul,Turk
風邪で不如意な身体を横たえ、いろいろと夢想する。
頭をよぎるのは、街で見かけたちょっといい女か。カミサンは、俺を置いて出かけている。夜の仕事までの退屈しのぎに、自分の中で妄想してみる。


初めて抱きよせて、口をつけた途端に感じる唇の柔らかさ。
その味は、なにより甘い。
抱きよせている腕に、力がこもる。
思わず、『人生が狂っちまったら、どうしよう』と口にしてみると、
あなたは呆れたようにくすりと笑って、『そんなことあるわけないじゃない・・・』ともう一度唇を重ねる。

けれど、俺という人間は、骨と血と肉だけじゃなく、出会った人の思い出でできている。
あなたのことを知ってしまったからには、もうさっきまでとは、すっかり違う自分になっているのだ。
俺そのものが変わってるんだから、人生なんて狂っても、おかしくないだろう?
本当の人生は、道を踏み外したときにはじまるものさ。

たわわな胸に顔をうずめると、息すらできないほど。
苦しくなって、ふと、このまま死んでしまうんじゃないかと不安になるが、
それならそれも悪くない。
男として、女性の胸のなかで息絶えるのは、本望だ。
耐えられなくなって、顔をはなしておおきく息を吸い込むと、
甘い体臭とほんのりとした汗の香りが鼻をくすぐる。
そのまま崩れ落ちるようにして、小さなおへそ、そして柔らかく湿った茂みの奥に・・・。

そこにするりとすべり込ませて、そのまま四肢に力を込める。
繋がったままに抱き上げて、生きている人間の重みを確かめるのさ。
あなたは途端に子供のように怖がって、おろしてほしいというだろう。
そして、少し恥ずかしそうに、『重いから…』っていうのさ。
その重みこそが、生の証しだと俺は知っているんだ。

愉悦に眉間は寄せられて、口は開く。その中で舌が小さな蛇のように、俺の舌を待ち受けている。
そんなあなたの顔をながめて、俺は思わず心の底から『かわいいなぁ…』とつぶやく。
あなたはそんな表情のまま、小さく首を振り『かわいくないよぉ・・』と返すのさ。

あなたが自分のかわいらしさを、しらないんだとしたら、残念だ。世界的な損失だ。
それとも照れてるだけなのか?
若さと美しさに溢れた年月は、あっという間に過ぎ去ってしまう。
その絶頂の愉悦の表情を、愛おしく思わない男なんて、俺からすればつまらぬ奴さ。

楽器を奏でるように、あなたに声を出させる。
後ろから見ると、まったく素敵な曲線で、ヴァイオリンかスポーツカーのようだ。
象にも駱駝にも乗ったことのある俺だが、それ以上に揺れている。
テンポをあげたその果てに、『もう行くよ』といえば、
あなたは『そんなこと、いちいちゆうなぁ・・』って唸るように声を絞り出す。
それすらも、可愛らしい。

枕語りに、『君と一緒に、旅してみたいよ』といえば、
やんわり断った心算だろうか、『あたし、外国の食べ物はあわないの・・』

俺は天井を見上げつつ、自分の旅してきた道程を想い出す。

虫たちの鳴き声しか聞こえないバリ島の、ヤモリが壁を伝うやさしい夜を。
昼となく夜となく、祝祭のような熱気に満ちたマラケシュの広場を。
どこまでも青く澄んだアドリア海に浮かぶ、水上の城のようなドブロブニクの街を。
イスラムの礼拝を告げるアザーンが、響きわたるイスタンブールの雑踏を。
どこまでも続く森のあいだ、無数の湖が宝石のようにきらめくフィンランドの大地を。
果てしなく続く雲海の向こうに、そびえたつヒマラヤの峰々を。

俺は、出来る事ならば、あなたに見せてあげたかったのさ。
見も知らぬ世界を渡り歩くことが、どれほどこの退屈な生の慰めとなることか。

どんな愉しい時間にも終わりは来る。
帰りがけ、あなたは俺に『忘れ物は?』と声をかける。
俺は、ポケットを探る。財布、携帯、煙草になんやかんや。
腕時計もしている。全て揃っている。
『忘れ物は、俺の心だけです』と言えば、
あなたは気の利いたジョークだと思って、笑ってくれる。
さようなら。
俺は車の中で、ほんのりと身体にしみついた、あなたの残り香を楽しむのさ。

けど、本当に俺は心を忘れてきてしまったのさ。
出来るなら、そんな俺の心を、あなたがそっと預かっておいてくれるとうれしいよ。

とまぁ、そんな品のない夢想を頭の中で繰り広げてしまった。
ちょっと面白かったので、忘れないように書き記してみた。
気分を悪くしたなら許してほしいぜ。

読者諸君、失礼する。俺はこれから病身に鞭打って、仕事に出かけるのさ。君たちが、これを読んで呆れるころには、俺はそんなこと思う余裕もなく、粉骨砕身、漢だらけの男祭りさ。