2011/09/10

Post #301 海峡慕情ボスポラス #4

ボスポラス海峡を横断するフェリーは、シルケジのエミノニュ埠頭を出発し、アジア側のハイダルパシャを経由してカドキョイへと至る。港の建物を出ると、キオスク(これ、確かトルコ語だったはず)がそこここに建っている。そこでは、まぁファーストフードが売っていたりするわけだ。
目につくのは、ジプシーのおばちゃんたち。ヨーロッパ側に比べると、はるかに数が多い気がする。
ジプシーはフランスなんかでもスッカリお馴染みなんだけれど、トルコのジプシーの顔立ちは、フランスなんかで見かけるジプシーの顔立ちよりも、東方の色合いが濃い。ジプシーがインドからやってきたというのが、納得できるような顔立ちだ。
彼女たちは何をしているのか?そう、行き交う人々に花を売りつけているんだ。どこから仕入れてくるんだろうか?
Istanbul,Turk
ワンピースに素足も露わな現代的なトルコ人のおねーさんに比べると、ジプシーの皆さんが着ている服が、まるで中世からそのままのような、浦島太郎的なギャップを感じさせる。
ジプシーはご存じのとおり、放浪の民だ。アジアとヨーロッパの交わるこの街に、どこかからやってきて、どこかに去っていくのだろう。花を売り、歌舞音曲で人々から喜捨を受けて生活するようだ。
トルコはジプシーが多い。ヨーロッパのジプシーは、黒海をぐるりと回ったルーマニアあたりが本場らしいが、トルコのジプシーはどこからきているのだろうか。どことなく顔立ちも異なることを考えると、ルーマニア方面のグループとは、ずいぶん昔に別れ、アジアに残っているグループなんじゃないかとも思う。まぁ、単なる旅人の俺にはよくわからないさ。ひとつわかるのは、下手に買うと、きっとずいぶん吹っかけられるだろうってことぐらいだ。俺は大抵いつも、見て見ぬふりをしてやり過ごす。目をあくぁせては、必ず売りつけにやってくるからだ。第一こんな旅先で、花を買ってもねぇ・・・。
Istanbul,Turk
まぁ、さわらぬ神に祟りなしだ。俺は何だかんだといって、結構目立つんでターゲットにされやすいんだ。積極的にかかわりあわない方がイイだろう。
このアジアの涯の港町に、アジアのはるか彼方の島国から来た俺は、ふと、彼女たちの暮らしがどんなものだろうかと思う。高度に、必要以上に発展した国に住む俺には、皆が生きてゆくために、いらないものを頭をひねって考えだし、それが必要だと洗脳するために、TVやネットやさまざまな媒体でコマーシャルされる奇妙な世界から来た俺には、彼女たちの売る花の値打ちがよくわからない。
Istanbul,Turk
けれど、彼女たちの生活が俺達よりもシンプルで、ある意味明解なものであることだけは確かなような気がする。うむ、しかし彼女たちとはいえ、いまどき携帯電話くらい持っているかもしれないな。まぁ、住所不定じゃなかなか契約できないかもしれないが。
もしかしたら、俺たちの身の回りに溢れかえるある意味いらない商品の山よりも、彼女たちが路上で売る一房の花束のほうが、人間には必要なもんかもしれないけれどね。
けど、まぁぼられても仕方ないんで、見なかったことにしよう。信号待ちをする様な顔をして、俺はこっそりとシャッターをきったのさ。
そう、信号が変わるまで、俺は飽きもせずまたあの歌を口ずさむ。

♪ボスポラス海峡 男一匹ぃ~ 道行く人の 言葉は俺には わからない
明日の行方も 東も西も 今の俺には わからないィ~♪

読者諸君、また会おう。合言葉は海峡慕情ボスポラスだ。

2011/09/09

Post #300 海峡慕情ボスポラス #3

う~、体調は最悪を脱していないというのに、忙しい。独楽鼠のようにくるくると回っているだけで、貴重な人生を空費しているようなブルースで、俺の心はいっぱいだ。財布がいっぱいになれば、そのブルースも少しは癒されるだろうが、世の中そんなに甘くない。人生には影のようにブルースが付きまとうのさ。
俺は、遠い旅の空を想い出す。そう、あのボスポラス海峡を照らす夕陽を思い出すのさ。
Istanbul,Turk
沈みゆく夕陽は、乗り合わせた人々の顔を照らし出していただろう。
ヨーロッパ側からアジア側に、往く人帰る人、それぞれに喜怒哀楽を抱きながら、同じ船に乗るのさ。
Istanbul,Turk
なかには、肩が凝ってる人もいるようだ。
人生が交差し、また離れていくそれがこのボスポラス海峡。
俺はそこから、はるかかなた、アジアのはるか辺境の島国で、狂ったように働いている。どうなってんだまったく。
♪ボスポラス海峡 はるかに離れ 今じゃアジアの果ての涯
疲れた体に 鞭打って 働き想うは 旅の空
ボスポラス海峡 男一匹ぃ~ ♪

読者諸君、また会おう。

2011/09/08

Post #299 海峡慕情ボスポラス #2

読者の皆さん、今日はついにダウンだ。朝、起きることが出来ずに、お客さんとの打ち合わせに激遅れてしもうたわ。社会人として失格だ。身体が異常に怠い。眠気が治まらない。きっと風邪だ。
案の定、先ほど行きつけの病院に行ってみると、熱があった。しかし、仕事は続く。
そんなわけで、今日はもう、これだけで勘弁して!俺には休息が必要なんだ。
Istanbul,Turk
シルケジのフェリー乗り場から、カドキョイ行のフェリーに乗って、ヨーロッパからアジアへと20分ほどの格安クルーズ。地元のトルコ人ばかりが乗っている。アジア側に行こうっていう観光客は、ほとんどいないようだ。やはり旅はそうでなくっちゃね。
おすすめの席はもちろんデッキ席だ。それも、客室の周囲の狭い甲板に並べられたベンチのデッキ席。奥から詰めて座らないと、あとから乗り込む人に迷惑だ。とはいえ、すねをけるようにして、どいつもこいつもお構いなしに自分の好きな席に向かう。海峡を吹き渡る風に吹かれながら、タバコを吸って、乗組員に叱られる若いカップルもいる。
そんなデッキ席だけれど、船の右舷のデッキ席に座るのがお勧めだ。
ヨーロッパからアジアへと吹く風を感じよう。波しぶきが時折顔にかかるほどだ。手すりに足をあずけ、リラックスして海を渡る。何も考えない素敵な時間だ。その間にも、フェリーはボスポラス海峡を南下するように進み、対岸のカドキョイを目指す。
すると、君にも見えてくるだろう、かつて中近東は言うに及ばず、北アフリカ、東ヨーロッパまでも支配したオスマン・トルコの皇帝の宮殿、トプカプ宮殿が、ギリシャ正教の総本山だったにもかかわらず、オスマン帝国に占領されイスラム教のジャーミーとなったアギァ・ソフィアが、そして六本の尖塔を持つスルタンアフメット・ジャーミーが。
俺はデッキで夕日に浮かびあがる栄華の跡を眺めながら、口ずさむ。

♪ボスポラス海峡~ 男一匹ぃ~ 夕陽に照らされ どこに行くぅ~♪

読者諸君、今日はこれで失礼する。俺は熱っぽい体に汗をかきながら、はるか遠くの海峡を想っている。あの潮風にまたあたりたいと想ってる。まぁ、津軽海峡ってのも悪くないけどね。