2012/06/18

Post #568 TRANSIT #8

Helsinki
Helsinki
Helsinki
読者諸君、世の中下らない話ばかりだ。
写真とはカンケーないが、少しぼやかせてもらおう。
茶番劇のような政治の世界の話しは言うに及ばず、それを覆い隠すかのようなタイミングで、オウム事件の容疑者の逮捕劇。既にどんな犯罪も起こす能力の無い一人の中年男を追い詰めるのに、マスコミは大騒ぎだった。まるで、国民の目をそちらに向けておきたいかのように。
財界はかつての軍部のように露骨な圧力を政治に加えている。大多数の国民の声を、政治家は聞き入れることもしないか、自らの空疎なパフォーマンスに利用するだけだ。そんな政治家共には正直うんざりだ。逆境こそ、新しいイノベーションを興す契機となるはずなのに。
何も改革は決まらないのに、増税だけは粛々と決まっていく。民主党も自民党も、まるで兄弟のように同じようなことしか言っていない。しかも、彼らには将来を見据えた理念もなければ、政治を通じて正義を実現する意志のかけらもない。しかも、民主主義の名のもとにこのぼんくら連中を選んだのは、俺たち自身だというお粗末さだ。
もう14年もの間、毎年3万人以上の人々が、自ら命を絶っている。こんな世の中じゃ、希望が持てなくても仕方がないのかもしれない。挙句の果てには、死刑になりたいと言う理由で、縁もゆかりもない人を殺すバカまで出る始末。
世界に目を向ければ、シリアでは国民を守るべき軍隊が、自国民を虐殺し続けている。
世の中が悪くなっていく。悪無限だ。だが、俺は自分のことで手一杯だ。誰だって、そうだろう?一体どうすりゃいいんだ?

読者諸君、失礼する。希望は、いったいどこにあるんだ?

2012/06/17

Post #567 TRANSIT #7

Helsinki
寒さに震えていても仕方ないんで、まずはヘルシンキの駅の周りをぶらついてみる。
Helsinki
なにしろ、こちとら意図せずたまたまこの国にやってきたんだから、何の予備知識もない。出たとこ勝負って奴だ。
Helsinki
この駅舎ってのがこれまた、時代が懸った大げさな建物だった。石造りで、堅牢にして重厚って奴だ。我が国のALCで作ったような安出来とは違うぜ。19世紀的な物々しさだ。大したもんだぜ。
Helsinki
このシリーズ、いったいどこまで続くのか。続くったら続く。失礼する。

2012/06/16

Post #566 TRANSIT #6

Helsinki
バスを降りると、そこはイカにもヨーロッパの都市といった趣だった。重厚で浮ついたところの無い、カッチリとした街並み。しかし、既に4月だというのに、道行く人々の装いときたら、俺に言わせればまるっきり真冬だった。よれた革ジャンでどこまで俺は耐えられるのかと、ふと不安になってきたってもんだ。
Helsinki

すでに随分と遅い時間だったはずなのに、まだ日は沈み切っていない。さすがは北欧だ。時間の感覚がおかしくなってくるってもんだ。
Helsinki
読者諸君、先日、写真家深瀬昌久が死んだ。もう20年以上前、新宿ゴールデン街の飲み屋の階段から落ちて以来、深刻な後遺障害を患っていたので、若い読者諸君は、ご存じないかもしれない。斯く言う俺も、森山大道をはじめ、さまざまな書き手によって記された深瀬昌久を知るばかりだ。そこには、男っぽい風貌のうちに、さまざまな苦悩を抱え込んだ不器用な愛すべき男の姿があった。写真を撮る理由を訊ねられ、『暇で退屈だからさ』とことも無く言ってのけるような無頼な男の姿があった。カッコいいなぁ。

俺の手元には、深瀬昌久の写真集が一冊だけある。
『鴉』だ。この写真集を作るため、深瀬昌久は屠畜場に通い詰めたという。

『鴉』は凄まじいほどイイ写真集だ。

機会があったら、あなたも君も、御覧になる事をお勧めするよ。ただ、今時の写真とは異なる、情念の重さがズシリと伝わってくるような写真集だから、覚悟してみたほうがイイかもね。決して、『この写真ステキ♥』とかで済ませられるような写真集じゃないんだなぁ。最近は、そんな写真集って多くないかもしれない。『暇で退屈だから』なんて言う軽い写真ではなく、ズシリと重たい写真だったなぁ。
写真家が死んでも、写真は遺る。それが、写真のおそろしさでもあり、素晴らしさでもあり、あざとさでもあるかと思う。
あらためて、『鴉』をじっくり見ることが、深瀬昌久への供養になるように思うんだが、どうだろうか?
読者諸君、失礼する。深瀬さんのご冥福を心からお祈りする。