2013/01/08

Post #691 カメラを持った男の怪しさに関する考察

Amsterdam
街中で仕事をしていると、昼休みなんかにカメラを持って歩いている男を見かける。
女の子がPENなんかを持って歩いていても、気にもならない。風景の中に馴化しているんだ。全然異様な感じがしない。写真が好きなの?そう、素敵ですね、とか言ってあげたくなる。どんな写真を撮っているのか、少しだけ興味が湧くが、きっと俺の好みではないと思う。
白いキャノンのズームだか328だかをカメラに取り付けている男も散見する。
俺は、あの手の存在を主張しまくるカメラは好きではない。白いデカいレンズが、撮ってます、撮ってますって自己主張を、街中にまき散らしているように感じる。風俗街の真ん中で、あんなカメラを振り回していたら、直ぐに強面のアンチャンに事務所まで引っ張られていくことになっちまうだろう。野生動物なんかどこにもいないコンクリートだらけの町中で、あんなデカいレンズを使って、いったい何を撮っているんだろう?うんと離れたところから、スナップのような写真を撮っているのだろうか?俺にはよくわからない。使ったことが無いからな?まず第一に、重くて疲れちまうぜ。
ブレッソンは、カメラを目立たせたくないので、黒いライカばかり使っていたという。ファインダーや採光窓すら黒いライカがあったら最高だと言っていてという話しすら、なんかで見たことがある。
そうだろう、そうだろうとも。
ブレッソンはきっと、写真を撮ることの中に、窃視狂的な後ろめたさが潜んでいることをわきまえていたに違いない。
デカいデジカメを持ち歩いている人のなかには、中国人も多く見かける。彼らはあからさまに観光客といったオーラを発散している。だから、何故カメラを持っているのか理解しやすい。
人は、理解できないモノには、胡散臭さを感じてしまうのかもしれない。

最近俺が見た中で最もノイジーだったのは、エプソンのRD-1だかに、Mマウントのレンズをつけて写真を撮り歩いていた男だった。彼はせわしなくせこせこ歩き回り、ふと立ち止まったかと思うと、カメラを構えて難しい顔をして、ビルの上のほうだとかを、アングルを変えながら何枚も撮っていた。
すごく変だ。
表情は真剣そのもので、その眼はどこか狂ったような真剣さに溢れている。しかし、そのレンズの狙うほうを見ても、俺にはなんもピンとは来ないんだがね。まぁ、人間の価値観や興味関心は様々だから、仕方ないか。けれど、俺ですらよくわからんのなら、世間一般ピープルに、何が面白いのかわかるわけもないんじゃぁなかろーか。分からないモノを怪しく感じるのは、世の常だ。一概に彼が間違っているわけではない。間違っているのは世間のほうだ。
しかし、そうは言ってもこの男、どうにも周りが見えていないように見受けられた。善男善女の群れの中に、静かな狂人を放り込んだようにすら感じる。
そりゃ、職質されたって仕方がない。そんな気がする。
おい、ヤバイな。俺も写真を撮って歩いている時には、そんな風に見えているんだろうか?
だとしたら、こりゃ職質されても、致し方あるまい。もっとも、俺の場合、シャブの売人かなんかと間違えられて職質されたようにも思える節もあるんだが。
しかし、不思議なことに女性(たいては俺の内縁のカミさんだけど)と一緒だと、職質されない。
男が、独りで、カメラを持って、そこいらをうろついている。そして、カメラを構えて写真を撮っている。
やはりそれがどうにも不審者とみなされ、何らかの(軽)犯罪者というか、(性)犯罪者予備軍のような印象を与えてしまうのかもしれない
どうして、写真を撮っていると、職質されるのだろうか?その答えの一端が、そこにある。
狂ったように集中して写真を撮っていると、何かしら犯罪者めいた狂気を身に纏ってしまうからなのだ。その証拠に、俺は観光客候の中国人が写真を撮っていて職質されたという話を、聴いたことが無い。いや、実際にはあるのかもしれないけれど、寡聞にして俺は聴いたことが無いぜ。
そして、もう一つ。PENとかぶら下げたカメラ女子が、写真を撮っていて、職質されたという話も、これまた聞いたことが無い。どうしてだ?
写真というのは、あくまで光学的かつ科学的(アナログ派の俺は化学的と書きたい。この違い、解ってもらえるかな?)な技術の結晶なので、男が撮ろうが、女が撮ろうが、何ら変わりない、はずだ。
しかしながら、いったい俺達ちんのついた人間がカメラを持つと、どうしてもオマワリ達を刺激してしまうのは、何故なんだ?
純粋に写真に対する狂気のなせる技なのか、それともカメラを持った男は、こっそり女性のスカートの中を撮ったりするモノだという偏見があるのか?みんながみんな植草教授じゃないんだぜ。
(もっとも俺はスカートの中の布きれよりも、そのまた中のほうに興味津々だがね。ダッハッハ!そういうこと言うから、これまた職質のフラグが経つのか?勘弁してくれよ。軽いジョーク、アメリカンジョークさ。セクハラで訴えるってのは、頼むから無しだぜ。)

そこで俺は考えた。ゲージュツなんか1ミリも理解する能力の無い、オマワリどもの職質攻撃からみをまもり、のびのび写真を撮る方法をだ。

そう、女装してカメラを持って歩いてみるってのはどうかな?

ふむ、これは新しい切り口のような気もするが・・・、どうだろう。うまく行けばするりとピンチを切り抜けられそうだが・・・、あまりに怪しすぎて、職質どころか速攻逮捕されそうだな。それはそれでなかなか面白いぜ。やれやれ・・・。

本音の話をするならば、俺としては気になるのは、やはりフィルムカメラを持っている男だ。
それも、ニコンF3みたいな一眼じゃなくて、レンジファインダーだ。あれは東京写真専門学校の学生が実習で使ってるようにも見えるから、却下。
やはり俺の好みはレンジだよ。軽やかで、如何にもスナッパーという感じがするだろう。首からぶら下げるのはダメだ。いつでも構えてシュートできるように、右手一本でホールドして、しかも人差し指はいつもシャッターにかかってる。俺の引き金は軽いんだぜってカンジさ。
そう、レンジファインダーさ。カッコよく歩き、滑らかに写真を撮り、さっと風に翻るようにすぐに歩き出す。そんなカンジがしないかい?
インドネシアであった中華系シンガポール人の男性はミノルタCLEだった。
その時、俺が手にしていたのはコンタックスG2だ。ちなみに、俺のG2はチタンカラーだ。限定盤のブラックはヒジョーに高価だったので、手に入れる気にはならなかった。いや、正直に言うと21㎜のビオゴンや、16㎜のホロゴンのブラック仕様がなかったので、買う気にならなかったのだ。パンダみたいなカメラなんて、俺の美学には合わない。
そんなことはともかく、俺達はお互いのカメラをたたえあった。デジタル全盛の今だからこそ、通じ合う心と心だ。
アムステルダムであった写真の男性は、ライカM3だった。
もちろん俺はコンタックスT3だった。日本で出会うライカのユーザーが、どことなくこれ見よがしなカンジがしてしまうのに、アムステルダムの彼は、かなりのマニアっぽい雰囲気をかもしながらも、爽やかに自然なカンジでライカを使いこなしていた。出来ることならまたどこかで会ってみたいものだ。
写真を撮ってたら職質される。夜中にクラブで踊ったら検挙される。
まったく、ケツの穴の小さいしょぼくれた世の中になったもんだぜ。
俺達はお上に家畜のように管理されて暮らすのは、まっぴらごめんさ。その役どころは、自民党LOVEな愛国主義者の皆さんにお譲りするぜ。

読者諸君、失礼する。今日は疲れてるのさ。風呂に入って体を休めたいのさ。

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