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| ベトナム阮朝の旧都フエ。庶民はスクーターで縦横無尽に駆け抜ける |
かつてのアメリカ軍は、徴兵制だった。
様々な階層から徴兵された兵士が、組織の中に混在していた。なかには、後に政治家や大統領になるようなエスタブリッシュメントの若者も軍務につき、第一線で活躍してノブレス・オブリージュ🔗を身をもって果たしていた。
当時のアメリカの政治家やエスタブリッシュメントたちにとって、戦争は他人事ではなく、自らの子弟が参戦して命を懸けた戦う類のものだった。だからこそ、質の高い文民統制が機能していたんだろう。
しかし、ベトナム戦争における市民の反発を受け、徴兵制はなくなった。
なくなる前から、エスタブリッシュメントの劣化は進んでおり、徴兵逃れが蔓延していた。
世界のノーベル平和賞候補No.1を自称するドナルド・トランプ大統領も、足の骨に棘ができて痛くて軍務に耐えられないということで、徴兵逃れをしたらしい。彼らしい微笑ましいエピソードだ。
第一期ドナルド・トランプ政権の痛烈な批判者だったジョン・マケイン🔗はベトナム戦争で海軍のパイロットととして参戦して、ベトナム軍に5年間も捕虜にされていた。
そして、生還した彼は英雄と讃えられた。
そんな生きた英雄で、トランプの暴政に節を曲げなかったマケインを、トランプはとことん嫌い『彼は(ベトナム戦争で)捕虜になったから戦争の英雄だと言われているが、私は捕虜にならなかった人たちの方が好きだ』とイランことを言って顰蹙を買っていた。
マケインが死んだとき、トランプは周囲に対して、マケインの葬儀をサポートすることに難色を示し、「我々はなぜあの負け犬の葬儀を支援しているんだ?」といった趣旨の不満を漏らしていたという疑惑が浮上したという。彼らしい微笑ましいエピソードだ。
さて、徴兵制が廃止された後に、誰が自発的に軍隊にはいることになるだろう?
そう、生活に余裕がない者。もっとストレートに言えば貧困層だ。アメリカの製造業の退潮に伴い、かつての好況な時代なら、工場でそこそこの仕事にありついていた層が、ズルリと貧困ラインを割り込んでいった。そして、そのクラスの若者たちが割の良い収入、大学への学費補助、家族も含めた無料の医療費などを目当てに軍に入る。
そして、ブートキャンプで軍人、つまり戦争機械へと脳改造されるって筋書きだ。
アメリカ軍の5つの軍種(陸・海・空・宇宙・海兵隊)の中で、海兵隊は最も訓練が過酷で、規律が厳しいことで知られている。フルメタル・ジャケット🔗を見れば分かるだろう。そう、ハートマン軍曹🔗が出てくるあれだよ、あれ。
このブートキャンプで行われるのは、訓練という名の洗脳だ。オペラント条件付けだ。
そこでは徹底的な自己の破壊と再構築が行われるんだぜ。
まぁ、もっとスマートに言えば洗脳だ。
俺はごめんさ。
「ブートキャンプ」と呼ばれる新兵訓練では、ハートマン軍曹みたいなドリルインストラクター(つまり鬼教官)から凄まじい怒声と精神的プレッシャーを浴びせられ、個人のプライドを一度完全に破壊されることになる。
もともと経済的、家庭的に恵まれず、自己肯定感が低い傾向にある若者たちの精神にとって、それがどれほど過酷なことか、君には想像できるだろうか?人間としての中身が徹底的に否定され、空っぽにされてしまうんだ。
この過程で、「上官の命令には条件反射で従う」という、戦場でパニックにならないための強靭なメンタルを植え付けられるわけだ。兵器としての軍人に、自分で考える必要はない。
撃てと言われたら、条件反射のように撃つ。殺せと言われたら、躊躇なく殺す。そんな優秀な兵士に、戦闘員に洗脳されるのさ。
そういえば、ハンナ・アーレント🔗はユダヤ人虐殺を指揮したアイヒマン🔗を考察するなかで、『考えないことが罪』であるという結論に達していたっけな。
その対極の人間性を叩き込まれるのさ。
そのかわりと言っちゃなんだが「海兵隊員」としての強烈な誇りがインストールされるんだ。
一度海兵隊員になった者は、退役後も "Once a Marine, Always a Marine"(一度海兵、生涯海兵)と言われるほど、組織への忠誠心と戦闘集団としての規律を叩き込まれるんだけど、それは除隊したあともその狂気のメンタリティを自ら肯定し続け、自らのうちに内包しながら市民社会で生きるということを意味してるんだ。
そんなの残酷な呪い以外の何物でもないな。
かつて、日本軍も中国で捕虜にした中国人な首を、新兵に日本刀で刎ねさせた。これも、市民社会での倫理や常識を破壊し、上官の命令によって、犯し尽くし、殺し尽くし、焼き尽くすという苛烈な、非人道的な指令を全うさせるためだった。当時の日本人は、東洋鬼(トンヤンキー)と言われたもんだ。
未だに日本人に対して、中国人が仮想敵と考えるのはそのためだ。彼らの反日感情の根底には、日本人がかつて大陸で繰り広げたウルトラ・バイオレンスがある。それを忘れ去って、敵視するのはお門違いも甚だしい。
まぁ、いつだって靴を踏んだほうは覚えていないが、踏まれたほうは忘れないものさ。
俺はそんな話を子供のころ、おばあさんから何度も聞かされた。俺のばあさんはある意味俺のハートマン軍曹みたいなもんだな(笑)。
このブートキャンプで徹底的に、その兵士自身の自尊心や市民してのメンタリティを徹底的に破壊することこそが、海兵隊員などによる、終わりのないレイプや強盗殺人などの凶悪犯罪を生み出す契機になっていないだろうか?
俺の予想通り、軍事心理学や社会学の研究、そして元海兵隊員たちの証言においても、ブートキャンプにおける「自我の徹底的な破壊と戦闘員への再構築」が、退役後や駐屯地周辺での凶悪犯罪、アルコール・薬物依存、そしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こす重大な要因(トリガー)になっていることは、繰り返し指摘され、問題視されている。
海兵隊の訓練システムが、どのようにしてご指摘のような問題につながっているのか、見てみよう。
1. 自我の破壊と「超攻撃的・男性優位」な人格の刷り込み
ブートキャンプでは、これまでの市民としてのモラルや自尊心を奪う代わりに、「海兵隊(集団)としての誇り」と「敵を殺傷するための攻撃性」が新しい自我として植え付けられる。
それは一言でいえば、暴力性と支配欲の肯定だ。
訓練の中では、攻撃的であること、強靭であること、相手を圧倒することが最大の美徳とされる。
このマインドセットが基地の外(一般社会)に出た際、特に女性や市民などの「自分より弱い立場の人」に対する支配欲や暴力の衝動(レイプや強盗、暴行など)として歪んだ形で破裂してしまうケースが後を絶たないわけさ。
そして彼らが社会を見る視点は「組織の内と外」で極端に分離するんだ。
自我を破壊し、海兵隊員であるという代替物をインストールされた彼らの脳みそのなかには、「自分たちは選ばれた最強の海兵隊員(身内)であり、それ以外(一般市民)は守るべき対象、あるいは格下の存在」という選民思想的な歪みが生じるという歪んだエリート主義だ。今回のバラード容疑者のSNSの投稿にも見て取ることができるように思う。
しかし、本当の自分自身に基づいていない自尊心に、いったいどんな意味があるというのだろう。
そして、この肥大した自尊心がこれまた現地住民への犯罪に対する心理的ハードルを下げてしまう効果絶大だ!
2. 空虚になった内面を埋めるための「酒・薬物」への依存
人間は、自尊心や個人のアイデンティティを根本から奪われると、内面に深い精神的空洞(トラウマや過度なストレス)を抱えることになる。
人間は、どんなに肉体を鍛えても精神を鍛えることは難しいのだ。
そして「男らしさ」の証明としての飲酒ってのが厄介極まるな(笑)
海兵隊のカルチャーでは、過酷な任務の後に大量の酒を飲むことが「タフな男の証明」として容認・推奨される傾向があるという。
訓練で麻痺させられた恐怖や不安、良心の呵責、あるいは失った本来の自分から逃避するために、多くの隊員がアルコールに依存し、それが理性を失わせ、さらなる凶悪犯罪(飲酒運転、暴行、殺人など)の引き金になっていくんだ。こんなのうちの小学生の息子でも分かりそうなもんだぜ。
3. 「戦場(異常)」と「日常(正常)」のスイッチの切り替えの難しさ
海兵隊員は「いつでも戦場へ行き、人を殺せる状態」を維持するための訓練を受けている。即応部隊だからな。
しかし、その高ぶった精神(過覚醒状態)のまま一般社会に戻されると、脳がバグを起こしちゃうわけだ。
ここには、自衛隊との決定的な違いがある。
日本の自衛隊は「法を遵守する公務員」としての自我を維持したまま訓練を受けるけれど、海兵隊は「戦う戦闘マシン」としての自我を求められる。
この「人を殺すための規律」は、一歩間違えれば一般社会における最悪の犯罪者を生み出すシステムと紙一重であり、アメリカ国内でも海兵隊員の退役後の犯罪率の高さやホームレス化、自殺率の高さは深刻な国家問題となっているんだ。
なんて素晴らしい社会!
なんて素晴らしいシステム!
こいつは一体、誰が幸せになるシステムなんだ?
さて、こんなことを知っても、君は海兵隊員のナイスガイを、君の家にホームステイさせるかね?
俺は厄介事はゴメンだぜ。
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