2011/07/03

Post #232 Gravity

先日、家で冷やし中華を食っていた時の事だ。
俺の住む中部地方では、冷やし中華に、マヨネーズをかけて食べるのが一般的だ。コンビニの冷やし中華にも当然ながらマヨネーズがついている。他所に行って冷やし中華にマヨネーズがついていないと、いささかむっとするほどだ。意外とこれが旨いから、経験したことのない人はやってみるとイイ。マヨネーズとスープの酸味が程よくなじんでマイルドな口当たりになるんだ。
俺の家のマヨネーズは、程よく使い込まれており、かつ逆さまにして冷蔵庫で保管されてはいないものだから、うちの連れ合いは、なかなか絞り出せずに苦労していた。
俺は、マヨネーズの容器に十分な空気を入れると、逆さまに立ててやったんだ。マヨネーズはみるみる下に集まってくる。ふふふ…、死んだ爺さんが言ってた、頭とちんぽは生きているうちに使えとは、この事だ。そう、重力だ。『重力を使うんだ』俺はこともないぜって顔で連れ合いに言った。
HomeTown
『この星に存在しているモノは、全てこの地球の重力から逃れることは出来ない。霊魂すらもこの重力に支配されているんだ‥』俺は、冷やし中華をうまうま喰らいながら言ったぜ。
そう、俺たちのタマシイなんて糞ったれなモンがあるとして、その魂がこの肉体を離れちまったとき、つまーり、俺たちがおっ死んじまった時にだ、この地球から離れて、無限の宇宙を駆け巡る意識体としては活動できないってことだ。俺たちのタマシイは、この地球の重力に捉えられてしまうんだ。
重力、恐るべし。
先日も話に出てきた2001年宇宙の旅だって、ディビット・ボーマン船長は、遠路はるばる木星まで行って、木星軌道上に浮かぶモノリスに接触して初めて、人類史上初の宇宙意識体・スターチャイルドになることが出来たんだぜ。スターチャイルドの道は険しいのさ。地球の重力に捉えられている限りは、ムツカシーだろうな。
今は亡き伝奇作家半村良の最高傑作『妖星伝』も、実はそんなテーマが隠されていた。一揆が頻発する江戸時代中期の日本を舞台に蠢く、生まれながらに異様な能力を持った一族・鬼道衆。しかも略奪や殺戮こそ、神の意にかなうと信じるこの一族が、幕府を揺るがす計画を立てながら、刀で切っても槍で突いても殺すことのできない謎の外道皇帝を巡って繰り広げる抗争の果てには、そんな壮大なテーマが隠れていたっけな。最初は単なる山田風太郎もどきのエロ忍者小説家と思いきや、俺達を江戸時代から、遥かな大昔へ、そして宇宙の彼方へといってくれる。
これは面白い本だから、興味のある向きは読んでみるとイイだろう。何しろ、他でもないこの俺自身が、この本を読んで、人生を変えるべく、夜逃げまでしたくらいなのだから。その辺の話しは、聞きたいというリクエストがあったなら、することにしようかな。
HomeTown
年々驚くような犯罪が明らかになる。嘘をへーきで突きまくるような奴は、掃いて捨てるほど世間に満ち溢れている。くだらない奴らが、この世の中に増えてきているのは、人間の数が増えることによって、多くの動物が死滅絶滅するだろう、で、そいつらのタマシイがこの地球上で行き場をなくして、仕方ないから、人間様に生まれてきちまってるからに違いないぜ。
気を付けろよ、皆の衆!
あいつはとんでもない奴だって思ってたら、外見は人間だけれど、中に入っているタマシイとやらが、犬畜生にも劣る糞ヤローがこの世間を横行してるんだぜ。世の中ろくでもない事件ばかりが続いても仕方ないってもんさ!
俺達のようなぼんくらが、この星の重力から離れて、スターチャイルドになんかなれるわけないぜ。残念だ、結構楽しみにしていたのに・・・、本当に残念だ。
これまた今は亡き小説家の埴谷雄高は、自分は死後、アンドロメダ星雲で生まれ変わるんだと語っていたが、おそらく、埴谷センセーを以てしても、この地球の重力からは逃れられなかったことだろう。
ましてやこの俺なんて、無理だろうな。
仕方ない、次はやはりスギヨのカニ蒲鉾に生まれ変わって、みんなにおいしいおいしいって食べてもらうしかないんだろうな、俺。

今日はいささかオカルトっぽい話で、相済まぬ。今日は一日眠って暮らした。日頃の睡眠不足を取り返すような勢いだ。しかし、これからまた仕事に出撃だ。俺には土日も夜もへったくれもないのさ。

2011/07/02

Post #231 When I was A Boy, I Was A Punk

はるか昔、まだ豊臣秀吉が、まだ木下藤吉郎と呼ばれていた頃…、いや、そんな昔じゃないな、俺は生まれてないし。そう、はるか昔、20世紀の頃、俺はパンクだった。
モヒカンにガーゼシャツ、編上げのブーツを履いて、トゲトゲのリストバンドを手首に巻いて高校に通っていた。ほほえましい高校生だ。将来が危ぶまれる。しかしそれでこそ、好感が持てるというものだ。
生徒指導の先生には、3日に一度は呼び出されていた。しかし、糞ったれな校則には髪は肩に掛かってはいけない、パーマをかけてはいけない、髪を染めてはいけないという規則はあったが、俺はそのどれにも抵触していなかった。なんたってモヒカンだからね。もちろん俺の学校にはそれまでモヒカン刈りの奴なんていなかったから、当然のようにモヒカン禁止なんて校則はなかった。今にして思えば、ルールを逆手にとってやり放題、小憎たらしいガキだ。ふふふ…、何事も法の抜け道ってのがあるってことを俺は学んだんだ。素晴らしい学校だ。
Fashion Punk In HongKong
俺のオヤジも、それについては文句たらたらだったんだが、オヤジの友人から『お宅の息子さんは、なかなかナウい(すでに死語だな)髪型してみえますな』なんて、明らかに社交辞令を頂きましてね、それを真に受けてから何も言わなくなったっけ。

そういえば、こんなことがあったな。今みたいに暑い盛りの季節だった。俺は例によって、いつものように生徒指導室に呼び出されて説教を食らっていた。生徒指導室には冷房がかかっているので大喜びだ。
先生は言ったぜ。『お前の髪形が気になって、みんな授業に集中できなんだが、何とかならんか、その髪型。』差し向かいで対峙する俺は、唖然としたぜ。酷い、言いがかりだ。こういう時には、俺の脳みそは高速回転する。とにかくキレが良くなるんだ。『ちょっと待ってくださいよ、先生。このクソ暑いのにクーラーもない教室で授業を受けて、集中できると思いますか?第一、俺の髪形は昨日今日始まったことじゃないでしょう、気になって授業に集中できないなんて、とんだ言いがかりだよ。そもそも、みんなが授業に集中できないのは、この暑さと、そして何よりセンセーの授業が退屈だからじゃないのかい?それを棚に上げて、人の髪形をとやかく言うのは筋違いってもんでしょう?』
勝負は決まった。センセーもこの暑さには閉口していたんだろう。
『うむ、確かにお前の言うとおり、この暑さだ、これじゃ授業に集中するのも難しいだろう…。』
『高い授業料取ってんだから、クーラーくらいいれてくれないと困るってもんさ。進学校の名が泣くぜ。』とかなんとか言ったんだろうな、細かいところは昔過ぎて憶えてないけれど、俺の事だ、いかにも言いそうだ。
『うむ、お前の言う通りなんだが、やはり予算とかいろいろと問題があるんだ。きっと、21世紀が来るころには、教室にクーラーも導入されているだろうが…』
21世紀!まだ1980年代半ばの俺には、夢の未来だ。人類が月に基地を作って、火星にロケットを飛ばしまくっているような未来の事だ。冗談じゃない。
『そんな気の長い話には付き合っちゃいられないよ。センセー、帰っていいかな?』本当にバカバカしくって付き合っちゃいられないぜ。大人はいつだって、こんな程度さ。今でもそう思う。そんなくだらない大人になんかなってたまるか?今でもそう思う。
『いや、お前の髪形の事なんだが・・・』
『だからセンセー、あんたたちもプロの教師として飯食ってるんだろ?だったら、問題児の一人や二人クラスにいたからって、そんなの小手先でちょいちょいとウマい事あしらってみなよ。その能力もないし、退屈な授業しか出来ないような奴のいうことなんて聞く耳持たないぜ』
俺はバカバカしくなって生徒指導室を出た。今思えば、まるっきり『魁!クロマティ高校』に出てきそうな話だ。
俺が卒業したあと、生徒手帳の校則には、モヒカン禁止の一文が加えられた。ついでに言うと、俺が卒業した年の夏、教室にはクーラーが配備された。俺の後輩諸君は、俺の水面下の努力に感謝してほしいもんだぜ、まったく。
Fashion Punks in Barcelona
俺は友達のナカムラ君とよくライブハウスに行ったっけな。
ナカムラ君は、自衛官の息子で後に東大に入った秀才なんだけど、ハードコアパンクしか聴かないイカレタ奴だった。眉毛をそり落として、GIG(当時はライブをそう呼んでいた)では壊れた操り人形のように踊り狂っていたっけ。俺もナカムラ君も、学校では浮きまくっていた。もっとも俺は、彼のような秀才じゃなく、まったくの落ちこぼれだったけどね。彼の家に遊びに行くと、母親をクソババア!と罵倒していたっけ。どっか人間としていかれてたのさ。まぁ、そんな奴じゃなきゃ、ハードコアパンクなんて聴きゃしないか?
ライブハウスの前には、大きな歩道橋があり、ライブハウスが開くまでの夕方のひと時、街中のパンクスどもが集まり、歩道橋の上にずらっと並んでいたっけ。今見たらひっくり返りそうな風景だ。モヒカンや、長髪をスプレーで立ち上げたような奴ら屋、真っ黒なアイメークで、耳や鼻に安全ピンを刺した女の子たちが、歩道橋の上にずらりと並んで、車にガンを飛ばしながら、タバコを吸ったり、唾を吐いたりしているんだ。サイコーだ。今からすれば、奇人変人ショーか動物園だぜ。もちろん、俺とナカムラ君も、その中に並んでいた。今の俺なら、絶対に写真に撮るだろう。
そのライブハウスも、今はもうなくなってしまった。
あのパンクスどもは、いったいどこへ行ったんだろう。砂漠に水が染み込むように、消えてしまった。まっとうに暮らしているんだろうか、俺のように?良き父親や母親になって家庭におさまっているんだろうか?それとも、くだらないことで身を持ち崩してしまったんだろうか?
 
俺はそののち、学校史上初のモヒカンの生徒会副会長になり、就任のあいさつの際には、スキンヘッドにして学校中を沸かせたりもした。センセー達は俺が改心したと喜んだが、何時までたっても髪が伸びてこないのと、前にも増して俺の人相風体が悪くなったことで、困惑していた。そりゃそうだ、俺は毎日、カミソリで頭を剃り上げてから学校に行っていたんだ。生えてくるわけないぜ。 
そうこうするうちに、俺は飽きた。単調なパンクロックじゃ物足りなくなった。俺はストーンズやヤードバース、キンクスやスモールフェイシズ、そして何よりザ・フーといった60年代のイギリスのロックにはまっていった。そうして、高校を卒業すると、細身のスーツにモッズパーカーを羽織ってモッズを気取っていた。
それは単に、他から見れば、ファッションを乗り換えただけの事だろう。けど、このころの俺が今の俺の土台になっているのは間違いない。もちろん今の俺は、そんなスタイルは放棄して、単に俺流の何とも言えないセンスの持ち主になっちまったんだけどな…。おかげさんで、子供にはじろじろ見られるし、キャバクラの呼び込みすら声を掛けてこないぜ。もちろん若い女の子なんて、近寄っても来ないぜ。
けどイイのさ。俺の心の中には、何時でもロックンロールが鳴っているからね。
HomeTown
今でも、その頃の格好でティッシュ配りをしている奴らを目にすると、複雑な気分になる。なにしろ、何十年も前のスタイルだ。今そんな恰好をしても、何の衝撃力もない。この糞ったれな社会に対する異議申し立ても出来ない。単に一つのファッション、それも時代遅れの古典的なファッションという意味しかないんだ。ファッションパンクっていう言葉があったが、本人たちの意識はどうであれ、この21世紀にそんな恰好したって、ファッションパンクにしかなれないのさ、残念ながら。第一、そんなカッコウでいきがってティッシュ配っても、みんな受け取ってはくれないだろう?

俺達は、あの頃何がしたかったんだろう?何を求めて、パンクロックばかり貪るように聴いていたんだろう。セックスピストルズに憧れていたのか?社会に対して不満たらたらだったのか?それもあるだろう。それもあるだろうけど、本当の答えはきっと別にあったんだろう。
そう、俺たちは自分が何者か知りたかったんだ。自分にいったい何ができるか、知りたかったんだ。
ピストルズは教えてくれた。下手糞だって、好きにやればいいじゃないかって。
ストーンズやフーは、ジジイになってもロックし続ければいいって、身を以て教えてくれた。ありがとう。
おかげさんで、下手糞な写真を飽きもせず撮り続けているのさ。

読者諸君、失礼するぜ。冷房の効いたホテルの部屋は快適なんで、ついダラダラと長話ししちまったぜ。すまなかったな。また会おう。

2011/07/01

Post #230 Naked Eye #10

しっかり朝まで働いて、 今日は一日ホテルの部屋で眠っていたんだ。
HomeTown
よって、話すべきこともないカンジだ。悪いな。出張といっても、ドサまわりだし、仕事も夜だから場末のスナックにすら行くこともないんだ。そう、扉を開けると、厚化粧で目じりの皺を埋めたオバサンが、どこで買ったのか見当もつかないようなとんち黄な服を着て出迎えてくれるような場末のスナックだ。そんなところすら行くこともできないのさ。ホテルで眠り、体力に余裕があればしけた町をぶらつく。マックや吉野家で燃料を補給するように飯を食い、一晩中働く。そんなとんでもない暮らしが続いているのさ。我ながら、笑えてくるぜ。
そんな時に、無理して話を捏ね上げたって、読んでる方もつまらないだろう?
だから今日はさらりと写真だけさ。
HomeTown
あぁ、うまいコーヒーが飲みたいぜ。熱くてシブくてコクがあって、飲んだ途端に目が覚めるような奴を飲みたいぜ。そして、ガンガンプリントしたいもんだぜ。
自分で言うのもなんだが、自分しか知らないことだからあえて言うけど、最近の俺は傑作力作揃いだからな。印画紙も買い貯めてある。薬品も機材もビンビンだ。しかし、肝心の俺にその時間がないのさ。けど、その時が来たら、うんざりするほどお目にかけよう。沢山披露しすぎて、インフレーションを起こして、どれも大したことのない写真に見えるほどに、お目にかけよう!約束するぜ。俺は約束は守る律儀な男なのさ。
読者諸君、失礼する。一年も半分過ぎたってのに、俺は相変わらずこんな調子さ。
この平凡で単調な人生に耐えて、飽きもせず日々小さなチャレンジを積み重ねて、行けるところまで行くのさ。どこまで行けるのかわからないけれどね。永劫回帰って奴だ。うん、つまりはニーチェだ、ツァラトゥストラはかく語れりだ!
まぁ、毎度のことながら、これが俺の人生さ、ロックンロールさ。