2011/10/08

Post #329 A Sewing Machine Shop Of Izmir

今日も一日眠って暮らした。人生の貴重な一日が台無しだ。
妙に目が乾く。ドライアイかと思い目薬を差してもどうもいけない。熱っぽいことに気が付き体温を測ると熱もあるじゃないか。まるで体のブレーカーが落ちてしまったようだ。まぁ、そんなときもあるさ、人間だもの。初公判の夜にいきなり尿路結石で入院するような人もいるくらいだ。仕事が一段落ついて、体調を崩したって悪くはないさ。世間は秋の行楽真っ盛りだろうが、調子にのって出かけると、これまた体調を崩してしまうだろうし、高速だって混んでいることだろう。大人しく眠っているのに限る。I'm Only Sleepingだ。
ふと、去年の夏の旅行で訪れたトルコの地方都市イズミルの事を思い出した。排ガスもうもうのメインストリートに面したローマ時代の遺跡、その遺跡と道をへだてた一画に広がる活気あふれるバザール。礼拝の時刻を知らせるモスクのアザーン。どれもとびきりエキゾチックで、素敵な思い出だ。そんな中でも、ひときわ思い出すのが、イズミルの下町のミシン商のことだ。
Izmir,Turk
その朝、俺とつれあいは古代アゴラと呼ばれるローマ時代の遺跡を探して、イズミルの街の路地をうろついていた。ガイドブックのちいさな地図と、前の日にバス会社のおやっさんからもらったイズミルの街の観光地図が頼りだ。ガイドブックの地図は小さすぎ、もらった地図はすべてトルコ語だ。これはなかなかに難しいオリエンテーションだ。そうこうしているうちに俺達は、観光客なんて、まずいそうにないブロックに迷い込んだ。
そこでうろうろしている俺たちに声を掛けてきたのが、このミシン商のおやっさんだった。
中央でおどけたポーズをとっているのが社長だ。その隣が英語の得意な番頭さんだ。ついでに左の子供は、社長のご子息だそうな。むくむく太っている。
おやっさんは俺達を見つけると『あんたら日本人かい?まぁここに座ってチャイ(トルコでよく飲まれる紅茶だ)でも飲んで休んでいくとイイ』と声を掛けてきた。日本人的な感覚で、いえいえお構いなく、なんて言う間もなく、何が何やらわからぬ間にどこからか丸い椅子が出され、俺達は座るように促された。おやっさんはそこらを歩いているチャイ屋のアンチャンに声を掛け、自分たちの分も合わせてチャイを注文してくれた。
そしてチャイが届けられると、ミシンの天板を机にして、皆でチャイをすすりながらよもやま話に花を咲かせたんだ。大人も子供も、そこにいる誰もが話の輪に入っていた。仕事はいいんかい?と突っ込みたくなるほどだ。まぁ、ほとんどしゃべっていたのは社長さんと、通訳担当の番頭さんだが、そうじゃない人々も、終始ニコニコと笑っていたっけな。
どうにもトルコでは日本人は好かれているようだが、ここまで歓迎してくれるのはなかなかないぜ。ありがたい事だ。
Izmir,Turk
社長さんと思しきおやっさんは、頼まれてもいないのに、『俺がボス、つまりはプレジデントで、こいつは俺の右腕の営業担当。こいつは俺の倅で、あいつは機械担当で、そっちの子供はあいつの息子だ』なんて次々紹介してくるんだ。で、社長は英語の得意な番頭を通じて、自分は日本製のミシンを扱っていること、なかなか商売は順調な事などを話し続けた。
聞けば年齢は俺とさほど変わらないようなんだが、従業員を雇い、手広く商売しているようだ。大したもんだ。
みんなニコニコしている。楽しそうだ。店といっても、ミシンは道路にずらりと並べられている。日本人の感覚はここじゃ通用しないんだ。オンザロードのミシン展示場なのさ。路地を抜ける地中海の風に吹かれながら、中年の機械担当のオヤジさんが、ニコニコしながらミシンを整備している。
見れば、店の中はもちろん、道路をふさぎそうな勢いで並んでいるミシンの大半は日本製だ。そう、JukiやBrotherなんかのミシンが、ユーラシア大陸の反対側で人々に愛されているのさ。俺の死んだオフクロが、俺が子供の頃内職で使っていたミシンとよく似たミシンが、このアジアの涯に勢ぞろいだ。俺は少しうれしくなったな。
社長は、ムチムチと太った息子に、今から商売を仕込んでると言っていた。番頭さんは、観光客は誰も彼もイスタンブルに行くばかりだが、イズミルはイスタンブルよりも、ずっとアットホームで人情がある街だから、もっと多くの観光客に来てもらいたいと語っていた。確かに俺もそう思う。こんなに素敵な町なのに、ガイドブックの扱いはたったの見開き2ページだ。
チャイを飲み干すと、社長は従業員の息子に、水を買ってくるように言いつけて、俺たちに振る舞ってくれた。そう、真夏の地中海沿岸は結構暑いのさ。
そして、おやっさんは俺たちにどこに行く気かと尋ねた。俺達はアゴラに行くんだというと、そこに居合わせた誰もかれもが、ミシン店の店先の路地を奥に進んでいくように指差して、口々に説明してくれた。ありがとう、イズミルのミシン屋さん。
もう、この懐かしい人々に会うことはないかもしれない。
けれど、この人たちが今日も幸せに暮らしていることを、願わずにはいられないのさ。
読者諸君、失礼させてもらうぜ。君達がもしトルコに行くことがあったなら、イズミルに行ってみることをお勧めするよ。そうしたら、このイズミルのミシン商の店先を覗いてみてくれないか。きっと彼らは君たちのことも大いに歓迎してくれることだろう。ガイドブックに載っているようなところを見て回るだけの旅じゃ、つまらないもんだぜ。自分の足で歩き回り、人と触れ合うような旅。それがイイのさ、それがサイコーなのさ。

2011/10/07

Post #328 少し休ませてくれないか?

足を引きづりながら、近所の整形外科に行くと、案の定痛風と診断された。
ふ、思った通りだ。幸い今日はつれあいも休みだ。思いっきり甘えてダラダラさせてもらったぜ。それでも、お客さんに見積もりやら請求書やらを持っていかなくちゃならないんだ。例によって髑髏の杖でもついて、思いっきり不調をアピールさせてもらうぜ。なにしろ、こんなにひどい痛風発作は久しぶりだ。やはり、ラーメンばかり食っていたのがいけなかったのか。それとも、夜に昼を継ぐような働き方か、いろんな原因が考えられるってもんだ。
けど、どうだっていいのさ。これは少し体を休めろって言う、神様のおぼしめしだ。出来ることなら、痛くないメッセージにしていただきたかったんですが・・・・、ロックンロールの神様、次からはよろしくお願いします。なにしろ、この痛さは尋常じゃないんでね。
Paris/あんたも痛風かい?それともけがかい
そんなわけで、今日は失礼する。身体と心を休めるんだ。
そうそう、今年のノーベル平和賞が中東とアフリカの3人の勇気ある女性たちに贈られたことを、俺はうれしく思うぜ。いつも言うように俺は、世界の半分を占めている女性にもっと活躍してもらいたいと思っているのさ。なんてったって、女性はまず痛風に罹らないしな。何はともあれ、心から嬉しく思う。とりわけ、女性が抑圧されている地域から受賞者が選ばれたことで、喜びもひとしおだ。
それでは読者諸君、失礼致す。御機嫌よう。良い連休を過ごしてくれたまえ。俺もゴロゴロダラダラとしつつ、自分の体を大切にさせてもらうぜ。まったく、たまにはそんなときもないと、マジで倒れちまうってもんだ。

2011/10/06

Post #327 この世で俺が夢見るモノ

やっとこさ、クレージーな仕事を片付けて、旅館のユニットバスに湯を張ってボロボロの体を湯船に沈めた。目が覚めたら朝の6時を回っていた。のろのろということを聴かない体に鞭打って、荷物をパッキングする。少し間がある。9時ころまで眠るとするか。目が覚めた時には、12時だった。やばい、チェックアウトだ。今日は夕方17時30分から地元で仕事なんだ。
新幹線の中で音楽を聴き続けながらうとうとしていると、電光掲示板のニュースで、ハッカー集団アノニマスが、ニューヨークのデモに連帯を表明して、ウォール街に攻撃することを表明していた。

俺も、アメリカの若者たちの、持たざる若者たちの行動に、連帯を表明させてもらうぜ。
Paris/持たざる若者は世界中どこにでもいる、連帯しよう!
俺なんかが連帯を表明したって、蚊が止まったほどの影響力もないかもしれない。けれど、俺には
この世でいつも夢見ているものがあるんだ。魅力的な女性とかイカシタ車とかじゃないぜ。そんなちんけで安っぽいモノじゃない。なんだと思う?
そう、それは『自由、平等、博愛』だ。
フランス革命だ。人類の社会が究極に行きつくべきところだ。それは今はまだ、砂上の楼閣のようなものかもしれない。行きつくことの出来ない理想上の世界かもしれない。けれど、行きつくことができるかどうかは、今日ここに生きている、俺やあなたの一歩一歩にかかっているんだ。
誰も自由を奪われず、人として尊重され、虐げられたり、搾取されたり、傷つけられたりしない。そこには、国境もない、戦争もない、立場や肩書で、容姿や財産で、人が分け隔てられることのない社会。
俺はそれこそを、いつも思い描いている。無鉄砲で行き当たりばったり、ハチャメチャな人生に見える俺の人生だけれど、その行いの根底には、いつだってこの夢が、自由と、平等と、博愛が美しいハーモニーを奏でている。それを手にするためには、それぞれの立場で、闘争し続けていかないという大きな矛盾をはらみながらも、いつも俺の目は、俺がこの地球からおさらばした後に訪れるだろう夢のような社会を思い描いている。
夢かもしれない?けど、その夢を見てるのは、俺一人じゃないだろう。きっとたくさんいるのさ。

読者諸君、そろそろ痛風で痛む足を引きづりならも、愛車のMINI COOPER CLUBMANに乗って、仕事に出撃しなけりゃならない。俺がそんな夢を見ている男だと、笑ってくれても構わないけど、いくら君たちに笑われようが、俺はこの夢を、でっかい夢を信じて、今日も地を這う虫のように地道に生きていくんだ。マイホーム、イカシタ車、セクシーな女、それがどうした?些細なもんさ、俺の夢見てるものに比べたら。金がない?気になりゃしないぜ。俺が誰からも搾取してない証しだからな。

OK、もう一度最後に言わせてもらおう。

俺はNYの持たざる若者たちに、連帯を表明するぜ!
地球の反対側で、彼らを応援している。日本の若者たちも、愚痴ばかり言ってないで、闘え。自由モ平等も、自分たちで戦わないと、手に入らない。そして、自ら勝ち取ったモノでなけりゃ、ニンゲンは決して大切にしないんだ。