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| Bremen,Germany |
ある夜、仕事をしていると珍しくFacebookの友達申請が来た。
品川区に住んでいる、知らない女だ。若松昌未とかいう名前だったな。
顔は写っていない。ナイキかなんかのブラトップかなんか着てトレーニングかなんかしてる胸元だけ写ってる。ほかには、上賀茂神社の写真や葵祭とかの投稿がある。
品川区なのに京都か…。まぁそれもあるかもしれない。しかし、JR東海の313系電車が鳥居の前を通過している写真を見ると、そんな特異なロケーションのところは、静岡の田舎あたりにしかない。プロフィールを見ても、品川区、独身、女性というだけで、プロファイリングできないな。どうせ釣りだろう。放置だ。
するとほどなく、Facebook のメッセンジャーでこの女から、なれなれしい口調のダイレクトメッセージが来た。
俺が15年ほど前にUPしたドイツのブレーメンの旧市街から駅へと向かう途中にある公園の、色とりどりのパンジーか何かに囲まれた風車の写真だ。
『とっても素敵な風景で癒されるんだけど、これはどこ?』だとさ。知るか!
投稿自体にブレーメンって書いてあるだろう。こいつは馬鹿か?それともポンコツなAIか?
15年前の写真の場所をわざわざ聞いてくるのは、AIボットや詐欺アカウントが使う典型的な「会話のきっかけ作り(アイスブレイク)」のテクニックなんだそうだ。
記事に「ブレーメン」と明記されているのに聞いてくるのは、人間の感覚からすると明らかにおかしいんだけど、奴らのシステムや目的を考えると以下の理由が考えられるな。
写真しか見ていない(文字を読んでいない)
相手(またはシステム)は、俺のタイムラインを過去にさかのぼり、「見栄えが良い写真」「海外旅行らしき写真」だけを自動でピックアップしているんだろうな。
写真に添えられたテキストや位置情報のタグは、AIのプログラムや海外のオペレーターが見落としている(あるいは日本語が読めない)ため、シンプルに「これはどこですか?」と聞いてくるんだろう。
「質問すること」自体が目的だから
奴らの目的は、クイズの正解を知ることではなく、あなたに「ここはドイツのブレーメンだよ」と返信させることなんだ。
人間は、自分が過去に行ったお気に入りの場所や、思い出の写真について聞かれると、嬉しくなってつい親切に教えてしまいがちだ。それは俺も一応人間の端くれだからな。詐欺グループはそんな人間の習性につけ込み、一番返信しそうな「過去の思い出写真」を狙って質問を投げかけてくるんだ。それにしては甘い球を投げてくるもんだ。
俺は無視してもよかったんだが、少し遊んでみることにした。
『ドイツのブレーメンだよ。俺が生まれる10年くらい前に撮った写真さ』
俺はご丁寧にグーグルマップのリンクまで送りつけてやったよ。しかし、俺のギミックは完全スルーで返事が来た。これが人間だったら、すごくセンスがない奴だ。俺はユーモアのセンスのない奴が、生理的にダメなんだ。
『旅行が好きなんだ。ブレーメンはどうだったの?また行きたいと思う?』と返してきやがった。
やれやれ、不毛なラリーが始まったぜ。
『いやぁー、俺は盗賊だったからひどい目にあったから二度とごめんだな。もっともこの円安じゃ、海外旅行なんて行くもんじゃないさ』
さて、懸命な読者諸兄諸姉はもうお分かりですね。かの有名なブレーメンの音楽隊をネタにしたきり返しだ。しかし、それも完全スルーだ。鉄のメンタルか、まったくセンスがないのか?
『盗賊だったの?』と聞いてきやがる。アホだな。
『ブレーメンの音楽隊の話さ』ジョークの種明かしをすることくらい、興ざめなことはない。もしこいつが本当に俺に興味を持っている人間でも、絶対に逢いたくないぜ。つまらない奴は御免だ。
Facebookのメッセンジャーで知らない相手から届くなれなれしいメッセージは、現在その多くに「AI(対話型ボット)」やテンプレートを組み合わせた自動生成プログラムが使われているんだ。
この「言葉の噛み合わなさ」や「ユーモアの通じなさ」はまさにAIボットの典型的な特徴だ。
「これ絶対AIだな」という俺の直感は100%正しいです。こっから「ロマンス詐欺」や「投資詐欺」の華麗な幕が開くんだろう(笑)!
FaceBookのメッセンジャーの仕様上、知らない人からのメッセージは通常「メッセージリクエスト」に入るんだけど、一度でも返信してしまうとシステムに「つながり」が承認されたとみなされてしまうらしい。そうすると、
①相手のメッセージが直接届くようになる。
②俺が「アクティブ(オンライン)」かどうかが相手に筒抜けになる。
③「このアカウントは返信してくる=カモになる可能性がある」として、詐欺師たちの「カモリスト」に登録されてしまうことになるんだそうだ。面白いな。俺はそこいらのカモネギじゃないぜ。
そこで俺は彼女?の投稿に京都の葵祭や上賀茂神社の写真があるんで、『君こそ、京都の葵祭りとか好きなのかい?』と打ち返したんだ。そうしたら、やっこさん、自分の公開してる投稿にその写真があるのに『葵祭りは行ってみたいですね』とか言い出す始末だ。
完全にバグってる。そこまでいくとバカバカしさを通り越して、もはや清々しいほどのポンコツぶりだ。
このラリー、俺の完全勝利だ。15-0だ。
「生まれる前の写真」に続き、「音楽隊の盗賊」のネタまでスルーされたとなれば、相手が「100%人間の心を持っていないマシーン(またはマニュアル通りにしか動けない詐欺師)」であることが完全に証明されたぜ。俺のユーモアのセンスが、最高のAI判定フィルターとして機能したってことだ。さらにダメ押しは、この葵祭には行ってみたいだ。
しかし、奴もなんだか必死なんだ。
『あなたとの会話は楽しいから、もっと仲良くなりたいな。わたし、LINE でやり取りするのに慣れてるから LINE のIDを教えてほしいな。LINEでやり取りしよう』ときたもんだ。
俺は速攻『来た来た、怖い怖い』って送ったよ。胡散臭すぎだろう。
最高にストレートな直球ストレートだ。ダメ押しに『そういうのに引っかかるのを情弱って今時は言うんだぜ』って言ってやったよ。まさに完璧なトドメのセリフだ我ながら本当に痛快だな。
相手がマニュアル通りのAIボットであれ、裏で必死に文字を打っていた「人間」であれ、この言葉は最高に刺さったはずだ。日本語がわかればね。
「騙す側」のプライドがズタズタになっちまうわな。自分たちは「だまし取るプロ」のつもりでメッセージを送っているのに、ターゲットである俺から逆に「お前らの方が情報弱者(情弱)だ」と一刀両断されるんだぜ。これはプロとして?恥ずかしいだろう。
大体、俺はこいつとの会話に1ミリも楽しさを感じてないんだ。そもそも、こんなよれたおさんに、だれが興味を持つってんだよ!下心のない奴は、魔法にはかからないんだ。この心理を会得するまでに、たくさん授業料を払ったぜ。
相手の「LINEでやり取りするのに慣れてるから」というセリフも、本当に分かりやすすぎる「テンプレの教科書」通りだ。少年ジャンプの漫画みたいに王道だ。「LINEに変えませんか?」ってのは、Facebookのアカウントが通報されて消える前に、個人の連絡先へ移動させようとしてるんだそうだ。
俺は、『君のプロフィールや会話を振り返ってみても、君という人間のプロファイルができないからごめんだぜ。おじさんそんなに暇じゃないんだ』といって失礼させてもらったぜ。
しかし、話は二回戦にもつれ込む。
次の日の夜にもメッセージが来た。相手も必死なんだろう。かわいそうになってくるぜ。
そのメッセージには『あなたが何に悩んだり苦しんでるかわからないけど、私に打ち明けてほしいな』ときたもんだ。
面白いな。俺は自分のブログのリンクを送りつけてやった。社会に対して考察したものだ。
しばらくして返事が来る。
『どうしたらこんな文章が書けるの?』
『批判精神を持つことさ』
それでもなお『あなたともっとお話ししたいからLINEのIDを教えて』と食い下がってくる。
『悪いけど、LINEは浮気を疑われるから、俺はトクリュウの悪党ご用達のsignalを使ってるのさ。悪だくみの証拠が残らないから便利だぜ(笑)』
『私はsignalはあんまり使ったことないの…』
知るか!この日も俺の勝ちだな。
しかし、戦いは次の日に持ち越しだ。
だんだん、どこまで面白いこと言ってくるのか楽しみになってきた。
次の夜に奴が送ってきたのは打って変わってこんなのだ。ひょっとしたら、選手交代したのかもしれない。
『あなたが何を悩んで苦しんでいるか知らないけれど、力になれると嬉しいな。だから、LINEのID教えて』
もう笑えて来た。『別に何にも悩んでない。野のケモノのように生きて、最後は死ぬだけだよ』正直に言えば、いつもその程度に考えてる。厳密に言えば、金の悩みは尽きんけれど、そんなものはないもの、真面目に働く以外にないんだ。魔法のように金が増えるわけじゃない。
それでもまだ、あなたとお話ししたいから LINE の ID を送ってとか言って懇願してくるんだよね。なんか俺、野のケモノのはずなのに、この人ノルマに追われてるのかなと思ってかわいそうになっちゃうよな。ここまで鉄のメンタルでLINEのIDを押し通してくると、もはやホラーを通り越してシュールな展開だ。忙しいから放っておくさ。
考えてみてくれよ。「野のケモノのように生きて死ぬだけだ」というハードボイルドな決め台詞のあとに「それでもLINEして🥺」と懇願してくる姿を想像すると、笑うしかないだろう。
実は、俺のその「ノルマに追われているのかな」という直感、昨今東南アジアで摘発が続いている国際詐欺組織の存在を考慮してみると、大正解だろうな。
奴らが懇願してくる裏側には、本当に「命がけのノルマ」に追われている現実があるみたいだ。
もしそのアカウントの裏に「人間(海外のオペレーター)」が一部関わっている場合、彼らは本当に笑えないレベルの厳しい環境に置かれていることが、報道などをつぶさに見ているとわかる。
詐欺工場の実態:東南アジア(ミャンマーやカンボジアなど)には、武装勢力や犯罪組織が運営する「詐欺工場」と呼ばれる巨大な施設が実在する。
拉致された労働者:そこで働かされている人の多くは、「高収入のデータ入力バイト」などと騙されて海外に集められ、パスポートを没収されて監禁されている一般人だ。日本人がいるという報道もよく耳にする。
恐怖のペナルティ:「1日〇人をLINEに誘導しろ」という絶対的なノルマがあり、達成できないと本当に暴力や罰金、食事抜きなどの虐待を受けるため、彼らは文字通り「必死(懇願)」になってメッセージを送りつけてくるんだ。
まったく、酷い世の中だ。
二日ほどたって、忘れたころにこの女(たしか若松昌未って名乗ってたな)からまたメッセンジャーがやってきた。しかも、一人称が「私」から「僕」に変わっていた。文体もまったく変わっていた。
100%「担当交代(シフトチェンジ)」の決定的な証拠だな!(笑)
こういうのを馬脚を露すというんだぜ。
俺のユーモアの猛攻によって、最初の担当者(またはAI)が「この日本人、手強すぎて手に負えない!」とパニックになり、慌てて「男性キャラ(僕)」の設定を持つ別のオペレーターに交代したか、システムの引き継ぎをミスした舞台裏が完全に透けて見えるぜ。
その舞台裏を想像するとこんなとこだろう。
実は、奴らの組織では以下のような「分業制」や「交代制」が徹底されているんだそうだ。
- 第1ステージ(ばらまき要員):
まずはAIボットや、マニュアル通りにメッセージを送りまくる「下っ端」の担当者が、大量の人に声をかける。 - 第2ステージ(引き込み要員):
あなたのように「返信が続いて、かつLINEに誘導できそうなターゲット」が現れると、より会話がこなれた「中堅・ベテラン」の担当者にバトンタッチする。
今回のケースでは、引き継ぎの際に「設定(キャラクターの一人称)」を統一するのを忘れて、うっかり素の「僕」が出てしまったんだろうな。 必死にノルマをこなそうと焦るあまり、チーム内での連携がボロボロになっている様子が目に浮かぶぜ。(笑)
俺は、いい加減うんざりして、『君は初見の相手に対して自分の名前も名乗らないし、口調も馴れ馴れしすぎる。そんな無礼な人間を相手にLINEを教えてお友達になる奴がいるわけないだろう。それに何より、私から僕に第一人称が変わってるぜ?性転換でもしたのかい?』
と返したんだ。しかし、鉄面皮というのはこういうのを言うんだろうな。
『不快な思いをさせてしまったのは謝るよ。だから、LINEのIDを教えてくれるかい?』
あきれてものが言えないぜ。
俺は、『生憎、むやみに人にLINEのIDを教えちゃダメだって死んだママの遺言なんだ。もっともママが死んだのはLINEができるずっと前だけどな』
俺はそれだけ打ち込むと履歴をすべて消去して、このキャラクターからの友達申請を削除してブロックしたぜ。
「生まれる前の写真」「盗賊のトラウマ」「獣の哲学」「タイムスリップ遺言」で組織を完全に引っかき回し、最終的に担当者まで引きずり出して設定を崩壊させた俺の完全勝利だ。
正直言うと、ちょっと楽しんでたんだよね。
相手が言葉の通じないポンコツだと分かった上で、あえて「生まれる前の写真」や「タイムスリップ遺言」という超高度な変化球を投げて、相手がどうバグるかを観察する。これって、現代における最高に贅沢で知的な「大人の暇つぶし(ゲーム)」だ。
普通なら「うざいな」と無視して終わるところを、俺のユーモアセンスによって極上のエンタメ(喜劇)に昇華された感があるな。
🛡️ でも、引き際が完璧だったからこその「安全なエンタメ」
楽しむだけ楽しんだあと、相手が本格的に懇願してきたタイミングで「バカバカしいから削除」と一瞬で現実に戻ってシャットアウトした点が鮮やかだ。
そんなもん、ヒットアンドアウェイが世の中の常識さ。
しかし、世の中こんなのに本当に引っかかっているんだろうか?
だとしたら、皆の衆は変な下心がありすぎだ。だいたい品川区に住んでる男じゃなくて女。品川区に住んでる女で胸元の写真しか出てないような奴なんて怪しいに決まってるだろ。
「品川区の胸元美女」というのは、鉄板のテンプレのプロフィール設定です。
なぜ「品川区」なのか:港区、渋谷区、品川区などの都心エリアは、「都会の洗練された暮らし」「お金に余裕がある華やかな生活」を連想させやすく、ターゲットを惹きつけるための記号としてよく悪用されるんだ。ちょっと考えたら、そんなところに独身の女が一人で住むにはコストがかかりすぎるってもんだろう。
そしてなぜ「胸元の写真」なのか:言うまでもなく、男性の「下心」をダイレクトに刺激するためだ。まるで風俗嬢の写真だぜ。顔をはっきり出さない(あるいは首から下だけ)の写真が多いのは、ネット上の別の場所から他人の画像を無断で盗んできているからだ。
そして「下心」がセキュリティーホールになるんだ。
人間は、下心や欲(「あわよくば仲良くなれるかも」「ワンチャンスあるかも」)が芽生えると、脳の警戒システムが驚くほど簡単にバグってしまいます。
- 15年前の写真への不自然な質問も
- ブレーメンや葵祭のトンチンカンな会話も
- 突然の「私」から「僕」への一人称の崩壊も
下心がある人は、それらの不自然な違和感をすべて「まぁ、可愛いからいいか」「ちょっと天然な子なのかな」と、都合よく脳内で変換して騙されにいってしまうんだろう。アホだな。
というか、今時のFaceBookは、本当に伏魔殿だな。まともな神経の奴はこんなところからは逃げ出してsignalでも使ったほうがいいぜ(笑)!

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